君には諫言してくれる人がいるか?
私は基本的に警察と合わない。
理由は警察官職務執行法とか警察手帳規則という、ボクシングで例
えるなら、構えもジャブも覚えてないのに、国家権力と桜のバッジ
の威光で上から目線で物を言うからだと思う。
昨年、車が壊れたので路肩に車を停めた。しかしそこは交通量が多
く、ホテルの駐車場出入り口だった。
危ないので少し移動させたら、1人の警察がそこに停めるな、だの
駐停車違反だのと言う。
此方の主張する緊急避難という法律を「違う」と決めつけ、威丈高
に免許証を見せろ、と言う。
本来警察官は職質時、尋ねられたらフルネームを言わないとならぬ
という規則がある。所がこの警察官は「言わない」と言い張る。
安物の電気よりすぐ切れる、私の脳のスイッチは、簡単に切れた。
10数分、怒鳴り合いとなった結果、下記の様になった。
「アンタが免許証を見せたら、フルネームを言う」。
この警官の言葉で、私は車に免許証を取りに行った。
鞄の中には色んな物を詰め込んでるので結構時間がかかったが、何
とか探し当て、手に持って振り返る。
するとそこは雪国だった・・・なら良かったが、20人以上の警官
がいた。
応援で呼ばれたらしく、私は当等、凶悪犯の如く日曜の昼間、人と
車の通りの多い所で囲まれてしまう。
いやそんな事より、私は嘘と、一度言った言葉を簡単に翻す奴が、
死ぬほど嫌いなので、最後の一本である脳の線が完全にキレた。
この警察官は「この男とそんな約束はしてない、言ってない」と、
言い張った。
堪忍袋の尾がキレる、と言う言葉があるが出川哲朗の切れたナイフ
より直ぐキレる私の堪忍袋の尾は、簡単にそして芸術の如くプツン
とキレた。
20人の中から偉い様な人が2人、私と相手の警官を分けて事情を聞
いてきたので、私は嘘偽りなく事情を述べた。
結局、私の言い分が正しいと分かり、相手が非を認めた。
その上で謝るのでこれで納めてほしい、と言う事となる。
謝罪するこの警察官の目を見ると、真剣だった上、目を真っ直ぐ捉
え正直で本心から自分の嘘を認めたので、私はこの人の本当の心が
見えた気がして嬉しかった。
「分かりました。貴方の目は本当の目をしてます。その上、制服を
着た警察が、私の様な派手な服着た者に、謝る姿を一般人が見たら
警察の威信に関わるでしょう。もう結構ですから」。
そう言って謝罪を断った時、偶然うちのジムの子供と父親が通った
ので、一言二言挨拶をした。
所が・・・。
事実は小説よりも奇なりと言うが、この親子の子供さんが一度ジム
の帰りに、ジムの近くの道端で倒れ救急車で運ばれた事があった。
その時、事件性があるかどうかを調べる為、ジムからもう家に帰っ
ていた私を、わざわざ訪ねに来て、あの子は普段持病はないですか
等と聞きに来た警察官がいた。
それが何とこの警察の人だった、と言うオチまでついた。
さて、強引だが話を変え本題に入る。
前置きが長くなったが、私には何人か深いお付き合いをしてる警察
OBがいる。
1人はたまに昼飯を食べに行くハマさんという、人としてすごく尊
敬出来る、心友と言える方だが今日は、もう1人の方から電話があ
り、いきなり説教をされた。
この方は私の地元の警察ではなく、近畿地方の警察OBだが、よく
考えると2人共に捜査4課(暴力団係)。気にせず先に進む。
今日の電話の内容は、よく言われる言葉だったが、嬉しい様な悲し
い様な言葉だった。
「お前は人が良くて、金をすぐ人に出して助けるのはいいが、まだ
若いんやから老後を考えて貯金しとけ。それとな。折角いい事しよ
んのに警察怒鳴ったりしたら、そこだけ切り取られるやろ。俺はお
前をよく知ってるけど、人は悪い所しか見らんのもおる。直ぐ怒っ
たりしたらいいことしても台無しや。金儲けしてボランティアする
のはええ事やけど、ちゃんと相手見て金出さなあかんよ」。
ざっとこんな感じであった。
実はこの数ヶ月、地獄の様な日が続いた。
私は弱い所は見せないので、この人にも地獄の様な日を送った原因
は言ってない。
私が二十代の時からの付き合いで私も変わったが、この方も変わっ
た。
昔はある警察署の4課の刑事で、その中でも武闘派で通った怖い人
だったが、今はこうして身を案じて諫言して下さる。
実はこう言う諫言を、私は素直に聞く。聞いた上で自分の信念を曲
げず反省し日に日に勉強し、1日1ミリでもいいので成長したい。
今日は良い事があったが、出来の悪い者と話し、また怒鳴ってしま
った。
しかしそれもあと数ヶ月。
9月1日、自社ビルができたと同時に、付き合う相手を絞る。
余計なお世話を焼かず、己の幸せを考え、人を攻撃したり泣きそう
な顔をして同情を引く、所謂ヘンなモノが憑りそうな者と縁を切り
物事を個ではなく、大局的かつ長期的に見ようと思う。
叱ってくれる人がいると言う事は、幸せである。
それを言い訳や、間違った余計なプライドで考える人は、悲しい上
に成長はない。
そんな事を想い、来年にも始める新たなプロジェクトを考えると、
気分がウキウキしてくる。
さて、先程諫言を受けた事を踏まえても、私は騙されて失敗しなが
ら、好きな様に正しい道を歩んでいく。
無から生まれて無になり死ぬのが人間ならば、その間、喜怒哀楽を
持つ、情のある人生を送りたい。
こんな人になりたいな。