最強(たぶん)漫画で漫画術19 あのCMのネームを作ってみる
書き始めたのが12月25日と26日の日境。こじつけっぽくクリスマスがらみの話をしようと思います。
まず、ボクの作ったクリスマス動画。毎年クリスマスカードを作るのだが、今年は動画にしてみた。
で、話はこの動画の後半、「おまけ」以降である。山下達郎の軽快な曲調に乗って30年ほど前のJR東海のクリスマスエクスプレスのCMが展開…しないのである。そこを漫画のネームに起こしてみたのである。それだけを貼ってみる。
当時の牧瀬里穂の超強力な可愛らしさにはどうにも及ばないのはお許しを。
さて、こうやってみるとCM通りに描かれ、簡単にできあがっているように見えるだろう。けど、実は元のCMとはカット割りを変える工夫をしてある。元のCMと同じカット割りで描いたものもある。そちらもあげよう。後半が違う。その違いを見ていただきたい。
上の改訂版と比べるといささかぎこちない感じになってるのがわかるだろうか。その理由は、男の子が改札を出る絵のタイミングにある。漫画のコマ割の場合は動画ほどスムーズに画面を切り替えられないからなのだ。これはメディアの性質の違いで、仕方ないものだ。むしろ、それを了解しながら、ネームに起こすのが大切。漫画の場合は動画とは違って、読者が自分のペースで読み解く時間を取ってくれる。そこを利用する。
まず、彼の動作をまとめて読者に伝える。
「彼が階段を下る」→「彼が改札を出る」
ここまでの彼の行動を読者にしっかり理解出来るように丁寧に描く。
その次のシーンでは、今度は彼女の行動もまとめて伝える。既に彼の行動は頭に入っているので、そうすると彼女の行動、
「彼女がなにか探している」→「笑顔」
これだけで
「あ、さっき改札を出た彼を見つけた笑顔だな」
と、読者に伝わるのだ。そこに加えて最後のコマで改札を出たばかりの彼のロングを入れておけば、読者の理解がさらに深くなるだろう。
このように、漫画の場合は特殊な狙いがない限り、一人の人物のアクションをまとめた方が伝わりやすい。アクションのブロックを作るのだ。その時に実際の時間通りの流れになってなくても、だいたい大丈夫だ。
最初のウチはなれないだろうけど、何度かやり直せばそのうち慣れてくる。一発で作らず改稿を重ねるつもりでいけばいい。