対熊用催涙スプレーに関する記録とレビュー
はじめに
私は3年前から現任警備員の方が編み出した護身術を指導して貰っています。
去年からはキックボクシングで体を鍛えX(旧Twitter)で武術や格闘技をしている方々と交流を深めて私の拙い武術や護身術の知識を高めています。
私の師匠は「護身術には正解は無い。」と常々言っております。
私もその言葉は正しいと思います。
しかし、世にいる護身術アドバイザーの方の中には法律で禁じられている行為を使用して身を守るよう不適切なアドバイスをしたり、所持と使用が制限される護身グッズの使用を促す方がいます。
私も何が正解か何が悪いかとこの記事で決めつけるつもりはありません。
今回の記事ではX (旧Twitter)で見かける強力な催涙スプレーを用いた護身術に対して自分なりの意見を書いていきたいと思います。
今回、記事を書くにあたって地元警察署で昨年9月中に窓口の警察官と警察の電話相談センターで質問をした回答を採用しています。
私、自身まだまだ知識が浅く誤っている所もあると思いますがご了承ください。
最後に催涙スプレーの携帯は正当な理由が無い限り禁止されています。
催涙スプレーとは?
催涙スプレーは別名「護身用スプレー」と呼ばれています。
Wikipediaによれば「一般的に市販されている催涙スプレーの殆どは、オレオレジン・カプシカム(OCガス=トウガラシスプレー)が主成分であり、一部クロロアセトフェノン(CNガス)のものがある(一部には以上のガスを複数混合したモデルもある)。特にOCガスは麻薬中毒の状態にある者や泥酔者にも一定の効果があるとされ、またクマなどの野生動物撃退用の物も見られる。」
スプレーで護身用に用いられていますがその性質上、日本では犯罪目的に使われることが多く日本では正当な理由が証明できない限り例え護身用でも「携帯」は禁じられています。
しかし、催涙スプレーの「所持」は認められています。
携帯と所持の違い
勘違いされている方もいると思いますが「所持」は自宅など自分が有する敷地内で保有していることです。
一方、「携帯」は自宅外で持ち歩くことを指します。
日本の法律では護身具の大半が所持は認められていますが屋外での携帯は認められていません。
上述した通り、犯罪目的に悪用される可能性があるからです。
過去に催涙スプレー、スタンガン、警棒などを使用した傷害事件、窃盗事件が起きており警察はこれらの護身具を正当な理由がない限り携帯を認めておりません。
対クマ用催涙スプレーの携帯とその危険性
催涙スプレーにも対人、対獣用とそれぞれのケースや用途において様々な種類があります。
もちろん、人用と熊用では威力がかなり違う点を憂慮頂きたいと思います。
近年、環境の変化によって山間部にいた熊が人間の生活圏にまで進出してくるようになりました。東京都でも西部地域の各所で熊が目撃されるようになり登山をされる方やアウトドアを楽しむ方にはとって対熊用催涙スプレーは必須の護身具となっています。
クマが出没する山へ登る際に身を守るためならば熊用催涙スプレーの所持が認められます。
ただし、市街地や山間部に接していない住宅街、コンサート会場など多くの人が集まる場所での催涙スプレーの携帯は認められないケースが多いです。
もし、警察官から職質等を受けて携帯が発覚し正当な理由が述べられない場合や認められない場合は軽犯罪法による通称「凶器隠匿携帯罪」に抵触する可能性があります。
どうしても携帯したい場合は明確に登山にいく用具と一緒に持っていき正当な理由を伝えれることが必要になります。
実際に対熊用催涙スプレーを試してみた
・経緯
私はX上で護身術インストラクター(元)の方が「襲われそうになったらこの催涙スプレーをつかって撃退しろ!」「助かりたかったらこの催涙スプレーを使え!」と間違った情報を拡散している方を目撃しました。
その方は、他の武術家や護身術経験者からその方の発言は間違いがあると指摘されてもポストを辞めるどころか「自分は正しい」「アンチ乙」など幼稚な回答をしていたので本当に正しいのかと私の身体を使ってその元護身術インストラクターの方が紹介する催涙スプレーを室内で使用しました。
結果
以下、私が実際に熊用催涙スプレーを体験した結果を明記したいと思います。
・ 室内で噴射した結果、部屋の備品に粒子が付き暫くは取れなかった。
・ 1時間半ほど目が焼けるように痛くなり保冷剤などを使って冷やしたり目を洗っても2時間近く目の方は回復しなかった。
・ 喉にも入り1時間ほどむせて喉に違和感を感じた。
・ 部屋のドアは閉めて窓を少し開けた状態で噴射したが隣の部屋に家人の喉に異常を来たしてしまい小一時間ほど咳をしていた。
・ 噴射した時間は体感で3秒ほど。ほんの少しだけの量を噴射した
たった少量で直接目にかけた訳でもないのに焼けるような痛さが顔中と目を襲い自分で実験したことを後悔しました。
もし、このスプレーを人の顔面に直接向けたら失明したり逆に傷害罪になるのではと感じました。
警察への質問
このような危険な威力を持つ熊用催涙スプレーを対人用に使う護身術を広めることはマズいと思った私は護身術の師匠の相談のもとで地元警察署に昨年、2023年9月に相談に行きました。
相談内容は「熊用催涙スプレーを使った護身術は正しいのか」です。
警察署に直接赴くのは大変緊張しました(笑)
以下、警察と私の会話です。
Q. X上で「対熊催涙スプレーを使った護身術が正しいと言っている人がいるのか」
👮「間違っています。そのようなものをむやみやたらに持ち歩くと軽犯罪法に問われますよ」
Q.「護身道具としての催涙スプレーの携帯は許されないのですか?」
👮 「正当な理由がある場合なら許されるが大半の場合は許されない。持つべきでは無い」
Q.「では護身用具はどのようなものを持つべきですか?」
👮 「防犯ブザーや笛など周囲の人に周知できる物を持ち歩くと良いです。 ブザーを鳴らして速やかにその場から離れて警察に通報してください」
Q.「分かりました。このアカウント(某元護身術インストラクター)の方が言われている催涙スプレー護身術は正しいですか?」
👮「間違っております。このような、投稿は断固として許せないですし信じない方がいいです」
Q.「一応、この方が使用を勧めている催涙スプレーの箱を持ってきましたが携帯していても大丈夫でしょうか?それとも実物持ってきた方が良かったでしょうか?」
👮「私に見せられても分からないですがとにかく危険なものになるので速やかに破棄してください。あと、実物は持ち込んだらお兄さんを捕まえないといけなくなるので持ってこないで正解笑」
質問の結果
一連のやり取りを実際に愛知県内の警察署で致しました。
やり取りを見ていただいた方は分かりますが熊用催涙スプレーを携帯して人に向けて発射することは大変リスクが伴うことになり警察官の方も熊用催涙スプレーの携帯と使用を辞めるようにとの見解でした。
警察電話相談窓口にて
警察署での回答に納得が得ないわけでもありませんが1人だけの回答では満足いかないので同様の質問を警察電話相談窓口で相談しました。
結論から申しますと「そのようなものを使用することは大変リスクが伴い風向きなどで自分にも被害を受けることがある。人に向かっての使用は絶対に控えるべき」との回答でした。
私も2人の警察官の方から同様の回答を頂き納得することに致しました。
最後に
護身術には正解はありません。しかし、世の中には間違った護身術を平気で拡散し指摘や注意をすると逆ギレをする方が多く存在します。
姑息な手段や見苦しい言い訳で反論します。
もし、違和感を覚える護身術を広めている方がいたら情報を鵜呑みにせず警察や弁護士に質問することをオススメします。
正しい護身グッズの使い方が広まることを願っております。
2024年 7月9日 火曜日
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