#言葉の行方 第7回お題「暁」 感想とまとめ
さて、今回は先日Twitterの言葉の行方(@KotobNoYukue)アカウントで開催いたしました、第7回お題企画について書かせていただきます。
では、厳選2作品の発表です。
空が白んできた。逃げなくては正体がバレてしまう。可愛らしい見た目をしたお姫様の私は、引き止める王子様を城に置き去りにして深い森の中に駆け込んだ。これから様々な薬品や道具を使い、あちこちのお姫様に呪いをかけなくてはならない。私は夜明けと共に醜い魔女になる呪いをかけられていた。
— neichu(詩と小説) (@neichu20190321) September 17, 2019
まず、「暁」という簡易的な1つの漢字からここまで想像を膨らませて物語を作ることができるアイディア性が素晴らしいと思いました。設定の説明がハッキリしている所と曖昧な所のバランスが絶妙で、このお姫様兼醜い魔女の背景について読者側の想像も掻き立てられ、とても楽しみがいのある作品でした。
「しっかりね」優しく微笑んだ彼女に力強く頷いて、真っ暗な空に僕は絵の具を1滴垂らす。また1滴。ほわり、明るくなる一瞬が少しずつ長くなっていく。「あまり急に明るくしないように。人間達が驚くからね」おはよう。僕は小さく呟いた。朝という時間が作られたものだと彼らは知らずに生きている。
— ウト (@Xr22E) September 25, 2019
「ほわり、明るくなる一瞬が少しずつ長くなっていく。」この表現が、とてつもなく好きです。「暁」という繊細な朝を作っていく何者かの様子が、とても丁寧に描かれていると感じました。人間が気づかないように。そっと、そっと朝を作る。発想も、世界観も、表現も、どれをとっても素晴らしかったです。
#言葉の行方 は140字小説専用のお題タグです。隔週月曜日にお題を発表しています。
お題に沿った作品は全てRT&いいねさせて頂きます。募集期間終了後、厳選10作品をモーメントにまとめて発表すると共に、一部の作品には感想を書いてご紹介させて頂いております。
現在は第8回お題「永遠の嘘」を開催中です。
皆様もよろしければ是非、覗いてみてください!
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