新人プレスがすぐに実践できる、貸し出しのやり方
前回の記事では、リースの中で優先するべき媒体について私の考えをまとめました。
今回の記事では、リース業務の具体的な手順について書きまとめます。
スタイリストが直接来社する場合と、スタイリストが来社せずに商品だけピックアップする場合とでStep3 - 4の工程が変わります。
▼スタイリストが直接来社する場合
Step1: スタイリストからリース依頼の連絡が来る
↓
Step2: サンプルをチェックする
↓
Step3: 可否を返答し日程調整する / ピックアップ品を確定させる
↓
Step4: 貸し出し対応をする / ピックアップ準備をする
↓
Step5: 返却品を受け取る
↓
Step6: 使用分を記録する
それでは初めから順に業務の説明をします。
●Step1: スタイリストからリース依頼の連絡が来る
一番多いのは、本社の電話番号に電話がかかってくるケースです。
リースの窓口として電話番号を公表していない場合は、カスタマーセンターに電話またはメールにて問い合わせがある可能性もあります。
複数ブランドを展開する大手企業であれば、社内全体のリース窓口の電話番号があり、そこに電話が来ます。
連絡が来たら、お電話をいただいたことへの感謝を伝え、「詳細を教えてください」と伝え、どのような貸し出し要望なのか、情報を聞き出します。
慣れるまでは、聞き漏れをしないように何について聞くか、項目を付箋にメモしてPCに貼ったり、PCの付箋にメモをしたりと工夫しておくと良いと思います。
具体的に私が聞いていた質問は下記です。
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スタイリスト名:(アシスタントからの電話のときはスタイリスト名も併せてメモしておく。)
ご連絡先:090-xxxx-xxxx
媒体名:
企画名:
着用者:
ページ数:(雑誌の場合)
カット数:(雑誌の場合)
発売/公開日(放送日):
着用者SNS掲載可否:(媒体が映像やイベント等の場合)
ピックアップ日:
撮影日:
一部返却日:
最終返却日:
ご希望リース日:
①●月○日 (曜日) ◇時〜◆時の間
② 月 日 (曜日) 時以降
③ 月 日 (曜日) 午前中
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一部返却日を聞くのは、使用しないと決まったものは先に返してもらうことができるためです。
商品を貸し出したあと、スタイリストが撮影に臨む前にたいてい衣装合わせがあります。その衣装合わせにて使用しないことが確定したアイテムは、撮影前に返してもらうことができます。
日程やスタイリストの都合もありますが…。
一部返却のメリットとして、ブランド側は早く返してもらえばその間にきた他の媒体に貸し出せるサンプルが増えること、
スタイリストにとっては、一部返却を条件にできるだけ多いアイテムを借りられる可能性があることです。
●Step2: サンプルをチェックする
スタイリストからの連絡を受け、詳細を聞き終えたら、要望されているサンプルがあるかどうかを確認します。
お電話を受けている時点で分かれば、始めにいただいた電話の中で返答します。
サンプル確認のポイントは、媒体の発売日/公開日に「商品が発売しているor発売直前の状態か」ということです。
ピークを超えているであろうタイミングで露出するのではなく、「該当商品がこれからピークを迎える、というタイミングで発売される媒体で露出を図る」ことが重要です。
この項目については、Step1で聞き出した「発売/公開日(放送日)」と、商品の発売情報、MD計画を照らし合わせて確認してください。
分からないことは、先輩やMD担当者に聞くようにしましょう。
もう一つ大事なのは、「他の案件で使用する予定のサンプルではないこと」です。
オンラインショップを展開するブランドであれば商品ページ用の撮影があります。
また、PR側でも撮影する機会が多いため、スタイリストに貸し出している間に使用する人が、いないかどうかを確認しましょう。
Step2で聞き出した、「ピックアップ日、撮影日、一部返却日、最終返却日」と撮影スケジュールを照らし合わせて確認してください。
●Step3: 可否を返答し日程調整する / ピックアップ品を確定させる
サンプル状況の把握ができたら、スタイリストから預かっている貸出希望日程の中で、自身の都合の良い日程を提案します。
お電話で連絡を受けているならば、お電話で返答します。
ピックアップの場合で、スタイリストに確認をしてもらう場合は、Step2: で確認したサンプルをショートメールやメール、LINEを使って写真をお送りし、ピックアップ品を確定させます。
●Step4: 貸し出し対応をする / ピックアップ準備をする
お約束した日が来たら、スタイリストが来社する前にショールームが整っているか、ゴミは落ちていないか、不要なものは置いていないか確認しましょう。
全体の流れとしては、
スタイリスト来社
↓
貸し出し表の記入依頼(スタイリストが記入)
↓
スタイリストに貸し出し範囲を伝える
↓
スタイリストが商品を選ぶ
↓
決まったものから貸し出し表に商品情報を記録する
同時進行で貸し出し準備(ガーメントを被せる、靴箱に入れる等)
↓
貸し出し表をコピーし、スタイリスト分をお渡しする
↓
スタイリストをお見送りする
になります。
貸し出し対応で必要なのは「①何を貸し出したか記録すること」、「②始めの連絡で受けた内容から変更がないかを確認すること」、「③準備した範囲のアイテムから貸し出すこと」になります。
①に関しては、貸し出したアイテムの品番、カラー、サイズ、値段、合計点数を記録しましょう。
貸し出し表を手書きで発行する会社であれば、手書きで書き込みます。
中企業〜大企業であれば、システムが整っているためバーコードスキャンして記録します。
②に関してはスタイリストへ質問する内容になります。
貸し出し表を手書き記入する形式では、スタイリストにどの媒体への貸し出しなのかを書いてもらい、手元にある事前情報と照らし合わせて確認します。
または、口頭で確認して最後に記入してもらう形でも構いません。
事前にアポイントをとったときにはA媒体のA企画への、貸し出しだったが、Bの媒体のB企画への貸し出しに変更したいです、とか、追加したいです、といった要望はよくあることです。
媒体によって「発売/公開日(放送日)」が異なるため、貸し出す商品の内容を調整し、スタイリストにも「これはAの媒体には使用可能ですが、Bの媒体には使用をしないでください。/お控えください。」ときちんと説明しましょう。
補足: 当日その場で教えてもらうこともありますが、貸し出し後にこの媒体にも使いたいのですが、と相談連絡が来ることもあります。
③に関しては、PRパーソンとして踏ん張りどころです。
事前に貸し出しできる範囲を絞っていますが、それ以外の物を借りたいとスタイリストが申し出てくることがあります。
スタイリストとしては、企画の完成度を上げるために最適なアイテムを探そうと来社してくれています。
そのためショールームにあるもの、バックヤードにあるもの、あらゆるものから借りようとしてくれます。
しかし、全てご要望に従っていると、旬ではないアイテムが旬のアイテムよりも大きく掲載されたり、意図しない用途で使われてしまう可能性があります。
そういったときに、「申し訳ございません。こちら側の範囲のものは社内撮影のため、あいにく貸し出せないのです…」だとか「こちらは(雑誌発売時に)シーズンが終わっているものなんですよね…(どうしよう)…本当にすみません!T_T」といった形で低姿勢でお断りをしましょう。
リース業務に携わる新人PRとスタイリストでは、確実にスタイリストが年上になるために、これがどうしても借りたいと、強く主張いただくこともあるかもしれませんが、立場をわきまえつつ丁重にお断りすることが大切です。
ピックアップの場合は、スタイリストが来社した場合と同様にすぐにお渡しできる状態にサンプルを用意します。
ピックアップには、スタイリスト本人以外にアシスタント、媒体関係者、ロケバス運転手、バイク便ドライバーが来ることがあります。それでいて、何時に来るか共有されないことがほとんどです。
誰が来ても対応できるように、また、自分が離席していても社内にいるメンバーに渡してもらえるように、お渡し袋の上に読みやすいサイズの文字で、「媒体名・スタイリスト名・ピックアップ日時」を書きます。
●Step5: 返却品を受け取る
貸し出したアイテムが返却されたら、まずは返却された袋の中に貸し出し表が入っているか、貸出点数と返却点数が一致しているかを確認してください。
その後で1点1点のサンプルを見て、貸し出したときの状態と同じかを確認します。(まれに汚れてたり、傷がついていたり…ということがあります。)
●Step6: 使用分を記録する
返却時に貸し出し表をもらえたら、アイテム欄横に「使用」だとか「☆印」が書かれているアイテムがあるかどうかを確認しましょう。
これが実際に使用した分になります。
使用分は、後に媒体に露出されるため、どのように載ったのか確認したいですよね。
また、社内の他部署、他メンバーにも共有したいですよね。
掲載や放送まで、貸し出し表の控えは必ず保管しましょう。
また、エクセルやスプレッドシートに掲載されたアイテムリストを作成しておくと、すぐに確認作業ができます。
貸し出しは場数を踏むことで慣れます。
最初は動き回っているような感覚があって大変かもしれませんが、頑張りましょう。
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2022.01.23
やな
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