ファッションプレスのリアル業務
前回の記事で、ファッションプレスは「情報の媒介人」だと書きました。
他のブランドではなく自分のブランドのものを選んでもらうには、どうするか?
それは、自分のブランドのものを繰り返し見せて、潜在欲求に刷り込ませるということ、自分のブランドらしい付加価値をつけていくこと、その価値が伝わったときに始めてブランドとして認められます。
ターゲットにその情報を伝える手段はというと‥‥
ここで初めて、テレビ、新聞、雑誌、口コミ、ブランドサイト、ECサイト、WEB広告、WEB雑誌、キュレーションメディア、SNS等がでてきます。
では、実際のファッションプレスの業務、つまり、どのように戦略を立て、どこに/どこへ情報を発信していくのか、についての話を少しずつ書き進めていきたいと思います。
この世の中にある情報は、主に下記の場所で、情報の提供主から受け手に流れていきます。
(1)テレビ局→テレビ番組→視聴者
(2)新聞社→新聞→読者
(3)出版社→書籍・雑誌→読者
(4)インターネット→WEB媒体→ユーザー
(5)SNS→インスタ・Twitter等→ユーザー
(6)メールマガジン→ユーザー
(7)会話/口コミ
それぞれの場所に情報発信を専門とするメディア(例えば日テレの番組、繊研新聞、WWD、cancam、mery‥etc)が存在します。
そして、これら各々のメディアが定めた広告枠に対して、企業が費用を投入することで、企業のブランドや製品について情報を掲出することができます。これをpaid media(ペイドメディア)といいます。お金を払っているので、paid。
または、企業側が発信者となってお客様にダイレクトに情報を届けることも可能です。
それが、企業のコーポレートサイト、ブランドサイトであったり、SNSの公式ブランドアカウント、メールマガジンになります。出版物に関しては、企業がパンフレット(LOOK BOOK)をお客様に向けてお渡ししたり、DMを発送したりしますよね。それも企業側が直接情報発信をしている例になります。
これらをowned media(オウンドメディア)といいます。企業がオーナーとなっている(保有している)ことからowned。
これらの情報媒介は、上に挙げたように大小様々な規模がありますが、いくつかの分類に分かれます。
そして、SNSで一般のユーザーが発信した内容、第三者から発せされる口コミ等はearned media(アーンドメディア)といいます。信用や評判を獲得するという意味のearnという言葉からきています。消費者やユーザーが情報の発信者となっているものを指します。
主に3分類ある情報が発信される場所について、私の言葉で簡易説明しました。これらをまとめてトリプル・メディアと言います。
トリプル・メディアについては、宣伝会議さんのページやグーグル先生でも説明されています。ぜひ見てみてくださいね。
これからプレスを始めるという方には、難しい言葉で説明されているサイトも多いので、伝わりやすい言葉を意識してまとめてみましたが、何かご意見あればお待ちしています!
先述した情報発信先の中で、特にファッションブランドのプレスが情報を発信する手段として特に押えるべきものが下記太字のものになります。
(1)テレビ番組・CM
(2)新聞
(3)書籍・雑誌
(4)WEB媒体
(5)インスタ・Twitter等
(6)メールマガジン
(7)会話/口コミ
これらに付随するファッションプレスの業務と考えられるものが、下記になります。
(1)テレビ番組・CM
・テレビ番組協賛先選定、CM出稿先選定
・制作会社との調整
・商品の貸し出し
・関わるメンバーや場所のスケジュール調整
・取材対応・撮影立ち会い
・テロップ出し用クレジット提出
(2)新聞
・記者へのリリース配信、情報提供
・関わるメンバーや場所のスケジュール調整
・想定質問のヒアリング/洗い出し
・回答者への想定質問の事前共有
・取材立ち会い
・記事下書き確認
※これまでのプレス経験上、新聞広告枠への出稿は行ったことがないですが、テレビに近い業務が発生すると考えられます。
(3)書籍・雑誌
・雑誌編集部へのキャラバン
・雑誌編集部へのリリース配信、情報提供
・スタイリストへの情報提供
・プレスルームのディスプレイ、整理整頓
・貸し出し(リース)日程調整
・商品の貸し出し(リース)対応
・返却対応
・誌面掲載用クレジット提出
・ショップクレジット確認TEL対応
・タイアップ企画オリエンテーション
・ラフ案の確認→修正指示
・スタイリング立ち会い
・タイアップ企画撮影立ち会い
・写真セレクト
・3点確認→修正指示
・色校→修正指示(スワッチ/サンプル発送)
・念校→修正指示/校了
・掲載誌面確認
(4)WEB媒体
・制作会社への企画オリエンテーション
・制作会社、出演者事務所との調整
・撮影立ち会い
・写真セレクト
・写真レタッチ指示
・クレジット、商品ページURLリスト作成
・Google Analyticsパラメータ作成
・テストアップ確認
・coming soon表記指示
・バナー掲出対応
・本番サイトの確認
※上記は自社企画のコンテンツを想定した業務です。タイアップの場合は雑誌タイアップと同様の業務工程があります。
(5)インスタ・Twitter等
・投稿スケジュール計画
・素材撮影
・素材編集
・投稿テキスト作成
・投稿作業
(6)メールマガジン
・画像用意
・下書き
・配信設定
(7)会話/口コミ
・ユーザーとのコミュニケーション
・座談会の開催
あらゆる情報発信先を横断した業務として、下記も重要な業務です。
・掲載情報の社内共有
・広告換算表作成
・露出レポート作成
・サンプルの管理
・撮影備品の買い出し
・ショールームのディスプレイ、維持
・社外関係者との交際(普段のやりとり、手土産、お食事、祝花贈呈など)
ベーシックなものをまとめただけで、これだけの量があります。目まぐるしく動いている姿を想像していただけると思います。笑
その他、
・インフルエンサーマーケティング
・展示会、イベント開催
等の業務もあります。
これらの領域の業務については別途まとめます。
次回からは(1)〜(7)について深堀し、具体的な業務内容に迫ります。
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2021.11.17
やな
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