プレスが行う「クリッピング」と「広告換算費の算出」について
こんにちは。ファッションプレスをしています、やなです。
今日はプレスが行う業務の効果測定、振り返りの1要素として、「広告換算費」についてnoteを書きます。
クリッピングは、媒体問わず「広報活動を通じてメディアにとりあげられた結果を確認・分析する」ことを総称している言葉。
そして広告換算とは、企業側の報活動により雑誌やWEB媒体に商品が掲載されたり、テレビに露出した際に、もしも同じ枠を広告として出稿していたらいくらか?を換算することです。
クリッピングと併せて、広告換算費を追いかけていくメリットとして、私が考えているのは
・ブランドや商品がどれだけ世の中に認知されているか、価値があるものなのか、現状を把握できること
・広報活動の成果を測れること
・媒体選定に有効的だということ
だと考えています。
クリッピングのやり方
各企業、ブランドによっても異なりますが、私がこれまでやっていた方法としては、下記のものになります。
◆雑誌、新聞等紙媒体に掲載された場合
掲載誌面をスキャンしてデータ化します。
また、掲載誌(献本を受けたら)からページを1ページずつ切り取り、掲載商品の近くに、商品情報を記載した付箋やシールを貼り付けてクリアファイルにまとめる作業をしていたこともありました。
◆WEB媒体、SNSに掲載された場合
掲載ページをスクリーンショットし、データ化します。
そして、これらデータをPDFにまとめたり、PowerPointにデータを貼り付けたりして、1つのデータにまとめます。
まとめたデータは店舗スタッフや社内スタッフへ共有することで、販売スタッフが購買後押しに繋げたり、EC担当者がWEB商品ページに情報を盛り込んだり、ディストリビューターが在庫拠点を動かしたりと、運営力を強化することができます。
この目的以外にも、掲載箇所に誤記があった場合には、媒体側へ連絡し、印刷物の場合には次月の発行物に誤植内容について訂正紙を添えていただく対応を依頼したり、WEB媒体の場合にはページを更新いただく対応を依頼したりと、改善策がとれるため、クリッピングは重要と考えています。
広告換算費のもとめ方
◆雑誌に掲載された場合
各出版社・雑誌ごとに異なる広告料金体系があります。
WEBで「雑誌名 広告料金」と調べたり「雑誌広告ドットコム」をチェックすると簡単に広告料金を知ることができます。
表紙でも裏表紙でもなく、中の誌面に掲載されることが圧倒的に多いと思います。
中の誌面の場合は、4色カラー(4C)1ページの広告料金をベースに、掲載された記事のサイズ(面積)から広告換算額を算出する方法が一般的な方法になります。
しかしこの方法では、記事の中で自社商品だけでなく他社商品をもミックスされて掲載されていた際には、他社商品の分まで換算費をもとめていることになります。
そもそも、広告として購入していた際の換算費をもとめているのですから、自ブランド商品のみの換算費をもとめる必要があると思います。
そこで私は、掲載された記事サイズの中でクレジットが載っている他社商品数を考慮して細かく広告換算費を計算していました。
4C 1ページ料金が320万円の媒体の、1ページの1/4サイズの範囲に、載ったモデル1カット(全7アイテムのクレジット記載)に、自ブランド商品が2つ掲載された際の広告換算費は下記のようになります。
3,200,000円(広告料金) × 1/4(掲載範囲) × 2/7(掲載品数) = 228,571.4..円
電卓で計算する際には下記の数式になります。
{(3,200,000 ÷ 4) ÷ 7 } × 2
◆WEB媒体に掲載された場合
雑誌同様に、各媒体ごとに異なる広告料金体系があります。
WEBで「媒体名 媒体資料」と調べれば、その媒体の広告料金が記載されたPDF資料をダウンロードすることができます。
その中を読めば、広告料金を知ることができます。
基本的には「1記事=PR記事広告料金」として広告換算費を測っていました。
◆Instagramに投稿してくれたという場合
タレントへの、TV番組用衣装貸し出しや、ギフティング等の活動成果でInstagramに商品着用写真を掲載してもらえることがあると思います。
その際の広告換算費は、インフルエンサーに広告発信を発注した際の料金を基準にしてもとめることができます。
現状の相場では、「1フィード投稿あたり、フォロワー数×2~4円」の費用感がベースになります。
単価2円/1フォロワー 設定を基準にすると、150,000フォロワーのタレントに投稿してもらえた際の換算費は、300,000円となります。
上記に記載した方法は全て、私が経験してきたプレス業務で得られた、もしくは自身で編み出した算出方法であり、全てのファッション会社、またPR支援会社にて同じ方法を採用しているわけではないことをご了承ください。
広告換算費は全ての会社で測定しているのか?
これまで私は日系中小企業→外資系企業→日系大手企業のファッションプレスを勤めてきました。
1社目の日系中小企業では、広告換算費を測ることはありませんでした。
2社目の外資系企業では、毎月本国へ “これが私達の活動成果です” とレポーティングする必要があり、その1種として広告換算が使用されていました。
3社目の日系大手企業は、複数ブランドを持つグループになるため、各ブランドにPR担当がいるだけでなく、企業全体の広報活動を行う広報部があります。各ブランドでは広告換算費を求めないものの、広報部では毎月広告換算費をまとめているようです。
広告換算費は自動的に測れないのか?
上記で紹介した広告換算費の算出について、重要なことではありますが、目先の業務に比べると緊急度は下がりますし、自力で全て行うとかなりの時間がかかります。
そこで活用したいのが、リリース配信サービスを提供するPR TIMESが行う「Webクリッピング」サービスです。
Web上の掲載に特化して広報活動の成果を自動的に抽出調査することができるもので、月額1万円の料金で利用ができます。
例えば、雑誌本誌に掲載された記事がWEB版に載ったり、LINE NEWSや他WEB媒体に載ったりすること、またプレスリリース原文が転載されたりと、様々な形で露出された記事について、換算費を自動的に算出してくれます。
WEBシステム上でデータ抽出できる他、Excelファィルにも落とすことができるので、レポートをまとめる際にも役立ちます。
外資系企業に在籍していた際、広告換算費を本国にレポーティングするのが私の業務の1つにあったため、毎朝の業務ルーティンとして必ず、このWebクリッピングを確認するようにしていました。日々、Webクリッピング、雑誌、Instagram、TV…の広告換算費を全てExcelデータに記入し、現状の成果を把握するようにしていました。
毎日チェックし、月末にまとめていると、昨日は一昨日よりも露出が多かったなぁとか、一ヶ月ごとの成果の伸びを肌で感じることができ、自分の活動モチベーションにもなると思います。
本記事の参考サイト:
@Press
雑誌広告ドットコム
PLAN-B
PR TIMES
それでは、今回はこのあたりで。
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2022.02.13
やな
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