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Eurovision Song Contest 2023 注目しているアーティストたち

 今年もやって参りましたEurovision Song Contest(以下、Eurovision表記)。欧州放送連合(EBU)加盟放送局により開催される、年に一度の音楽の祭典、2023年の会場はイギリスLiverpool Arenaにて、以下の日程で開催されます。

準決勝1 CEST 2023年5月9日 / JST 2023年5月10日

準決勝2 CEST 2023年5月11日 / JST 2023年5月12日

決勝    CEST 2023年5月13日 / JST 2023年5月14日
※全て開始時間はCEST 21:00 / JST 4:00

 ロック好きには耳馴染みのあるリヴァプールでの開催。本来であれば、2022年の優勝国ウクライナで開催されるはずだったのに……なんて思う寂しさはありますが、今年もこのコンテストが開催されることを、まずは喜びたいと思います。

 そんなこんなで、今回は出場する37組の中から、現時点で気になっているアーティストを取り上げておきたいと思います。
 公式のプレイリストはこちら👇

 また、選出された曲を聴きながら、何となく感じた今年の傾向なんかも薄っすら書き残しておきましたので、音楽好きな一般市民が何を感じるのかご興味のある方は、ぜひ覗いてみて下さい。

※2022年のEurovision関連記事はこちら。


注目しているアーティスト

 まずは、特に注目しているアーティスト。事前情報を得ずに、先述のプレイリストを中心に楽曲を先に聴いて7組に絞りました(順不同)。
 まあ、後述の何となくの今年の傾向でも4組ピックアップしていますし、書き切れなくて掲載を断念したアーティストも居るので、全組気になっているようなものなんですけれどね!

※前提として、全ての出場者・楽曲に対して、私は「生まれて来てくれてありがとう」の気持ちでおります。今回挙げられなかった人・音・地域を軽んじているわけではありませんので、その点をご理解頂いた上で、この記事をお楽しみ頂ければ嬉しいです。


Joker Out "Carpe Diem"(スロベニア)

 2016年5月のバンドで、この楽曲は正統派なインディーロックです。彼らを選んだスロベニアごと愛してしまいそうなくらい好き。かなり前に出場が決まっていて(公式のプレイリストに入ったのは2023/02/05)、その時からコンテストで見られるのを楽しみにしておりました。

 歌詞がスロベニア語ということもあり、馴染みある日本語やよく音楽で使われる英語とは違う音の響きやリズムがあるのもいいですね。
 来日してくれ……。


Loreen "Tattoo"(スウェーデン)

 Loreenは2012年にもEurovisionに出場していて、楽曲"Euphoria"で見事優勝を果たしています。2023年が2度目の出場ということで、期待が高まります。人生で2度もEurovisionの舞台に立てるなんて……。(なんとなく優勝しそうなオーラを感じたのは、その風格が故なのかも。)

 はちゃめちゃに力強いボーカルが、他を圧倒して空気までガラッと変えてしまう。その存在感たるや、実際にステージで見たらボロボロに泣いてしまいそうです。
 それにしても、なんでこの姿勢でその声が出るの……? 好き……。
 来日してくれ……。


Remo Forrer "Watergun"(スイス)

 2020年4月にオーディション番組『The Voice of Switzerland』の第3シーズンで優勝したボーカリスト。番組ではLewis Capaldiの楽曲を多くカバーしていたようですが、そのセレクトになるのがよくわかる雰囲気です。

 籠り気味のボーカルで静かに幕を開け、サビで発散されるメロディ。まさにエモーショナルの極み……。3分程度の曲なのにとても壮大。5分ぐらいの尺でも行けそうなところを短くまとめているのは今時な感じもします。
 来日してくれ……。


Teya & Salena "Who The Hell Is Edgar?"(オーストリア)

 キャスティング番組をきっかけに知り合ったTeyaとSalenaのデュオ。女性デュオがオーストリア代表に選ばれるのは、彼女たちが初めてだとか。
 メロウでシリアスな楽曲が多めの2023年の中で、かなり耳に残るパワーポップを決めてくれます。サビの「Poe Poe……」はもちろん、「エドガー(・アラン・ポー)って誰?」という題名も印象的。

 ポップな雰囲気とは裏腹、音楽業界への風刺を込めた楽曲というのも好きです。MVのサビで、さも権威者然としたおじさんたちが躍る戯画的な表現がそれを物語っていていいですね。
 歌詞について詳しく解説してくれている記事を置いておきます。

 一緒にPoe Poeしたい。来日してくれ……。


Sudden Lights "Aijā"(ラトビア)

 2021年結成のオルタナティブ・ロック・バンド。歌詞はほぼ英語で、一部ラトビア語です。何てことない顔をして、ノイジーなシューゲイザー・エモロックとシンプルなオルタナティブロックの間を、違和感なく行き来してるところが好きです。

 MVの出だしがエアバンドなので、シュール枠なのかなと思いましたが全くそんなことはありませんでした。

歌詞抜粋
きみはまだ、ぼくらがとってもきれいな世界に住んでると思ってるよね。ねえ、ぼくはもうこんなの信じないと思うんだ。
泣かないで、ぼくは言うべき時に言うべきことを言おうとしてる。
子守唄を歌ってあげる、起きないで。

※矢向の意訳です

 えええ……。そんなこと、こんなきれいな声で歌うの……?
 来日してくれ……。


Wild Youth "We Are One"(アイルランド)

 2016年にダブリンで結成されたインディーロックバンド。
 「ダブリンで結成されたインディーロックバンド」という、ロック愛好家にとってはお馴染みのフレーズを背負ってリヴァプールに殴り込みかけるアイルランド魂も本当に好きです。

 MVが覆面だったので、もしかしたら顔出ししていないのかしらと思いましたが、普通に顔出してました。
 来日してくれ……。


Lord Of The Lost "Blood & Glitter"(ドイツ)

 やったーーーーーー!!!!!ジャーマンメタルだーーーーーーー!!!

 2007年結成のインダストリアル・メタル・バンド。2022年のドイツ代表は、今時な多重録音を操るMalik Harrisでしたが、今年はお国柄というか原点回帰したんですね、ドイツ。
 私は普段メタルを聴くわけではないのですが、メタルを聴くとやっぱりテンションが上がりますね。特に、2023年の出場楽曲は割としっとり目な印象があるので、こう……。

 腹から声出さなきゃやってられない! うおーーーー!!!来日して!!!!


何となくの今年の傾向

 こんなにがっつりEurovisionを見たのが2022年だったので、2022年との比較になることも多いのですが、2023年は以下のような傾向があるなと感じました。


ソロのアーティストがえらい多い気がする

 バンドよりもソロアーティストが多いのは、2022年も(というかもしかしたら音楽業界全体を見ればまあ)そうなのですが、それにしてもソロが多い印象があります。
 2021年の優勝は今や飛ぶ鳥を落とす勢いのイタリアのバンドMåneskin、2022年の優勝はウクライナの6人組バンドKalush Orchestraですから、決してバンドの人気がないってわけではないと思いますが、不思議ですね。

 余談ですが、一年経っても、この笛の「ぴろぴーぴーぴろぴーぴー」のメロディが忘れられません。(字で書くと格好良さが伝わらない……。ぜひ動画でご確認を。)

 私は普段、あまりソロアーティストの楽曲を聴く機会がないので(注目しているアーティストのセレクトをご覧いただいた通り、よく聴くのはバンドが多いです)、今回のEurovisionで音楽の幅をぐいぐい広げて行きたいな~と思っています。


似た雰囲気の楽曲が多いのは、全世界共通の「あるある」の影響?

 なんとなくですが、2023年の参加楽曲って全体的に雰囲気が似ていませんか。シリアス目の曲調を、ソロシンガーが圧倒的な歌唱力でエモーショナルに歌い上げる……。なんか似てる。
 その分、趣向を凝らしたパフォーマンスが見られると思うので、そういった点で今からワクワクしています。

 例えば、イスラエルのボーカリスト・Noa Kirel "Unicorn"のパワフルなボーカルが大好きなので、ライブでどんなことをしてくれるんだろうと相当期待値が上がっています。

 最近の洋楽を見ると、60~90年代回帰の傾向は火を見るよりも明らかですし、ポップスからメロウな雰囲気への移行といった傾向もちらほら見えますよね。それをより色濃く反映すると、こういう曲調になるのでしょうか。

 音楽は人の心の現れです。
 みんながどこか共通した雰囲気のある歌を歌うっていうのは、世界中の人々が似たような思い(プラスもマイナスも)を抱いているということの表れかも? なんて思いました。

 現実世界を見てみれば、世界共通の困難だった新型コロナウイルスの影響は、かつてより弱まっています。ウイルスの流行のせいで生まれた亀裂や不安。長いロックダウンの果てに、仲間や家族と再会して日常を取り戻した喜びなどなど……。
 ここまで大規模な世界共通の「気持ちあるある」を受けて音楽が作られたのは、2023年ならではの特殊な特徴だと言えるでしょう。もしかしたら、多くの人が同じあるあるから楽曲を作っているから似てるのかな。そう思いました。

 ざっくり一纏めに「似てる」と思う出場者は多いのですが、特に「この2組めっちゃ似てるな」と思ったのはこちら。

 デンマークのSSW・Reiley "Breaking My Heart"とマルタ共和国のバンドThe Busker "Dance"。しっかり刻むビートにハイトーンなボーカル、メロウなメロディと居心地悪そうな歌詞……。
 こういう楽曲が私は好きなので、やったぜ!と思っているのですが、37組が参加している中で、ここまで方向性が似ている出場者が並ぶのは興味深いです。(つまりは、その国の人たちが選んだということですからね。)

 こうなって来ると、お国柄が出た楽曲はやっぱり際立ちます。
 例えば、スペインのボーカリスト・Blanca Palomaの"Eaea"はフラメンコなリズムで印象的でした。

 スペイン行った時に、フラメンコ鑑賞の前に言われた「鑑賞中は絶対に手拍子をしないで下さい。リズムがずれた手拍子をされると、演者の邪魔になりますんで」的な言葉が脳裏を過ぎる……。


5月が楽しみですね

 今年もこのお祭りが、賑々しく楽しいものになることを祈っています。開催日まで、公式チャンネルで予習をしておきたいと思います。

 それでは皆さん、当日まで元気に過ごしましょう💪


追記:2023/4/17に、Grand Finalでパフォーマンスするゲストが発表になりましたね。個人的には、シュールなパフォーマンスとキャッチ―なダンスサウンドでお馴染みDaði Freyrが楽しみです。



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© 2023 Aki Yamukai

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