Foo Fightersの"All My Life"はこれからも私の背中を押してくれる
勝負曲。そう言われると真っ先に、この曲が思い浮かびます。
新卒で就活をしていた私も、社会人になって大きなプレゼンに挑む前の私も、転職活動で面接に向かう私も、フリーで受ける初めての仕事の打ち合わせに赴く私も、この曲を聴いていました。
Foo Fightersはアメリカ出身のロックバンド。"Nirvanaの元・ドラマー"なんて冠を付けなくてもお馴染みのDave Grohlを中心に、1994年から活動しています。
”All My Life”は、彼らにとって4枚目のアルバム"One By One"の1曲目を飾る曲です。（余談ですが、このアルバムは2002年リリース。私の就活時期とはズレているので、きっと当時の私は、この曲をなんとなくではなく「今の自分に必要だ！」と自覚して聴いていたのでしょう。）
これが何について歌った曲なのかは、様々な解釈が出来ると言われています。題名通り人生についてとか、性的な意味合いだとか、薬物の話だとか……。
だけど単純に、”All My Life”で鳴る音に私は励まされてきたのです。
冒頭、抑えて刻まれるギターのリフだけでは、曲がどう展開するのかわかりません。だけど確かに感じるのは、何かが始まる前の気配。それが一気に弾け飛び、激しいドラムとベース、ボーカルが加わりうねり出し、全体的にアップテンポでノイジーなロックが響く……！
心臓を掴んで揺さぶるような激しいベースとドラムを聴くと、体の内側から力が湧いて来ます。叫び続けるボーカルとギターは、私の代わりに大声を上げているようです。
私が大好きなFoo Fightersの音！ 手を握って穏やかに導くのではなく、エンジンになってくれる音楽。そういう、普段とは違うエンジンが欲しい時。少し喧嘩腰になるくらいぶつかって行く力が欲しい時。私は、"All My Life"を聴くのです。
ですから、ドラマー・Taylor Hawkinsの訃報が飛び込んだ時は、我が目を疑いました。
— Foo Fighters (@foofighters) March 26, 2022
Foo Fighters公式のリリース、英語の記事、日本語の記事、Twitterで嘆く世界中の人の声……。何を見ても湧いてくるのは、「嘘だと言ってくれ」という気持ちばかり。
発表は日本時間の深夜のこと。そして、浅い眠りから覚めた翌朝に。普段音楽の話題にあまり触れないメディアまでもが彼の死を悼んでいるのを見て、じわじわと悲しみが体中を覆いました。
だから私は、イヤフォンを耳に入れ音楽をかけることにしたのです。Foo Fightersの"All My Life"を、爆音で。
何かが起きる前の気配、爆発寸前のギター。力強いドラムとベース。叫び続けるボーカル。
Taylor Hawkinsの訃報に落ち込む私の心臓を、彼のドラムが叩きました。何度も何度も、昔と変わらぬ力強さで。私はぽろりと泣いて、ようやく、彼の死を実感しながら息をしました。
いつだって、私の背中を強く押してくれるのはこの曲。エンジンが必要な時に、前を向いて走る力をくれる曲。
Foo Fightersの"All My Life"は、これからも私にとっての「勝負曲」であり続けます。Taylor Hawkins、勝負の時にいつも私を突き動かしてくれてありがとう。
そして、Taylor Hawkinsの家族やFoo Fightersのメンバーを始め、彼の死を悼む多くの人の心に、早く平穏が訪れますように。
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