
囲炉裏がもたらすかもしれない、小さな小さなきっかけ。
ヒッチハイクをしていて、ある運転手に出会う。
その方は、息子さんとのことを話してくれた。
『囲炉裏という場がすれ違う親子関係に
小さな “ きっかけ ” をもたらすかもしれない!』
ぼくは、そう思った。
− 親子の間にできた埋まらない溝 −
運転手さんには息子がいるけど、
ある時から親子の間に溝ができてしまい
しばらく顔を見ないことがあったそう。
「だんだんと元に戻せなくなっていた。」
ある時、3年ぶりに偶然顔をあわせると
涙を浮かべながら話をし、和解したのだという。
ぼくは、この話を他人事とは思えなかった。
父親に対して長い反抗期があったから。
中学校から高校までの6年間。
今でこそ両親の偉大さを感じるし、父親のことは尊敬してる。
でも、顔を見るといまだにうまく話せない。
一緒にお酒を飲めるようになったし
互いに話す機会は少しずつ増えたけど
まだ“ 何か ”が引っかかってる。
− みんな、“きっかけ” が欲しいんだ。 −
『そういうことは、“ 時間 ”が解決してくれる。』
そう思ったこともあった。
だとすれば、どれくらいの“ 時間 ”が必要なんだろう。
昨年、一緒に暮らしてきた祖母が亡くなった。
なんの前触れもなく。
前日までいつものように話していたのに
そんな日常は一瞬で消え去った。
人の命は永遠ではない、と知った。
ぼくが待っている“ 時間 ”とやらがやってくるまで、
父親は元気でいてくれるんだろうか。
ぼくは元気でいられるんだろうか。
そんな保証はどこにもない。
何か、きっかけが欲しい。
この状況を変えるきっかけが欲しいんだ。
運転手さんも、こう話してくれた。
「おれは、きっかけが欲しかったんだ。
もしその時、一緒に囲炉裏をかこむような機会があったら
少し違ったかもしれねえなあ。」
届けたい。
そんなわだかまりを抱えた人たちのもとに
この温かい火とコミュニケーションを届けたい。
そんな場があることを知って欲しい。
− 最後に −
まだまだこの挑戦は先が長いけれど、
ぼくには1つのゴールがある。
それは、茨城にいる家族と囲炉裏を囲むこと。
自分自身ではなかなか向き合えずにいた
父との間に残ってしまったわだかまりを
少しでも解消するきっかけになれば、と。
だから、簡単にはこの挑戦は終われないんだ。
− end −
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