宝塚記念を見たって話。壱
熱狂。滾るボルテージ。
酔狂。散る紙くずとマークカード。
発狂。張る声援の受け手は。
「イクイノぉぉぉぉックスぅぅぅぅぅ‼️」
(ゆっくり何回かに分けて書いていきます)
(競馬場での出来事がメインです)
(競馬知識あんまないトーシロです)
6月25日。阪神。
起きて直ぐにチーズを背負った食パンをトースターをセット。トイレと洗顔を済まし、というか澄まし、そしてコンタクトを付ける。顔の水滴を拭き取り、オーブンの様子を覗き込めばいつも少しお焦げの付いたチーズトーストが居る。
ソイツを口に押し込みつつ11Rのオッズを見る。イクイノックス、1.8。何だこれは。
宝塚記念はファン投票で出走馬が決まる夢のグランプリ・春。並び立つ馬は全て実績人気共に豊富な馬ばかり。レースの格式が最も高いGⅠで勝利をあげたアイドルホースも出走する。特に今年は豪華な顔ぶれで、昨夜にどの馬が3着までに来るか相談したがなかなか決まらなかった。
しかしイクイノックス、イクイノックスなのだ。この馬だけは友人ともに納得の1着候補。彼は世界一の座につく現役最強馬。昨年の秋に3歳のみが出走できるクラシック戦線を抜け出し、ベテランたちが征く古馬GⅠ戦線に殴り込んだヤベーやつ。しかもそこでちゃっかり1着を獲る。秋の中距離王を競う天皇賞・秋、そしてその年の締め括り、夢のグランプリ・冬こと有馬記念。4歳以上の実力馬が出走するレースで何故か1位を獲ってくるバケモン。後者に限ってはマジでなんでだよ。
中略
阪神競馬場に到着。朝っぱらから既に開門ダッシュ列が待機していたが、調べたら前々前日の木曜よる夜から既にいたらしい。は?
まぁそんな待機列はいまだに長蛇であり、開門まではしばらく待つことになる。
中略。
競馬場に入場。8時ピッタの入場は入場券獲得の時点で既に叶わぬ夢ではあったが、宝塚記念プレイバックがレース中央のモニターに映し出されてちょっと過ぎたあたりで入場できたので満足。で済んでたのに偶然にもゴールから程遠い場所ではあるが最前列を確保できてしまった。競馬を始めてまだ半年も満たない不束か者が。すまぬ〜😇
天気は生憎の曇天だが6月の癖に梅雨らしい連日の雨がないのは幸いである、というか晴れはフツーに暑いのでこれぐらいが良い。
さて、宝塚記念プレイバックでゴルシの120億円事件が流れたあたりで軽く会場で笑いが起きたりしたあたり。
そんなにガチ勢ではなくそもそも馬券を買うこと自体が初めてなワタクシだが、愚かにも愚かを重ね一人で来た。馬券は誰かの予想をパクる気でいる。愚々奴(ググツ)ってね。は?
話を逸らさずに。一人で競馬場に来たのはいいが、これ最前線だし下手に動きたくない。今でこそ開門から1時間も経たない、第一レースが始まるまで六十分に時間がある時間であるが、レースが始まりだしたら人がドッと増えて少しでも離れた瞬間にこの場所も取られるんだよな。というかこれは馬券を買いに行けないのでは?ぬ〜んこれは困った。仁川駅内のローソンで思い出したように買った競馬エイトを広げ、赤ペンでカサっと叩く。この一連の動作に競馬ファンっぽさを見出してる自分がいる。
「おにーさんの買い目はなんですか?」
声の主に振り向くと、ダンディーな白Tシャツのお兄さんがいた。
「ワタクシはっすね…安定のイクイノックスですかね…あとジャスティンパレス…安定ですけどね、1番人気と2番人気で (笑)」
ジャスティンパレス。生まれ変わった淀の舞台での最初のGⅠ「天皇賞・春」で見事レースを制した馬。オッズは7.8ほどとボチボチ。いやこれはイクイノックスが強すぎるだけだが。
「まあそうなりますよね…イクイノックスが強すぎる」
「本当にそうですよね…でもワタクシ的にはドゥラエレーデくんを推したいですね」
ドゥラエレーデ。ワタクシの推し。2歳GⅠ「ホープフルステークス」を1着でゴールした後、ドバイに飛んで「UAEダービー」で7番人気評価で好走し2着、帰国後は3歳サラブレッドの頂点を決めるクラシック2戦目の「日本ダービー」でスタート直後に躓き体制を崩しジョッキーを振り落としてしまいまさかの競走中止。前代未聞のクソキショローテで大波乱を巻き起こすヤベーやつ。
「出たドゥラエレーデ」
ワタクシの推しの名前を復唱するのはさっきとは別、右側にいる青チェック柄のおにーさん。
「ドゥラエレーデ…ちょっと期待しちゃいますよね。」
「そうですよね…イクイノックス順当に行きそうですけどメンツがメンツですし確信できない。そこにドゥラエレーデという問題児がいるとね (笑)」
「にしてももう人が多いですね〜。まだ1Rも始まってないのにゴール前が11Rの時ぐらいいる」
「去年の有馬記念も現地で見て凄かったですけど今年はコロナも明けましたし尚更ですね〜」
「え、有馬記念!?現地行ったんですか??」
有馬記念。『宝塚記念はファン投票で出走馬が決まる夢のグランプリ・春』と言ったがこっちは夢のグランプリ・冬。また1年の締め括り的な意味合いも含有しているため、このレースが1番盛り上がると言っても過言ではない。てか実際そう。開催地は千葉・船橋に佇む中山競馬場。
「凄かったですよ〜人が多すぎて。やっぱ有馬って凄いですよ」
「ワタクシもいつかは現地行きたいですね…そういえば今日はどこから来られたんですか?」
白Tのお兄さんは答える。
「僕は愛知県です。」
なんと。ワタクシは住まいを阪神地区に構え、阪神競馬場へは電車で1時間もかからず、何度か散歩と題して何度か徒歩で出向いたこともある。言ってしまえば、学校より競馬場の方が近い。そのため競馬場に来るのは遠出という類には全く当てはまらず、そして毎週末に競馬場通いをしているため宝塚記念Dayとは言え特別感がない。いや、あるにはあるが、なかなかそうした実感を感じなかった。
しかしこの白Tのお兄さんはわざわざ飛行機に乗って阪神までやってきたのだ。うお。なんか急に「異」の実感が湧いてきた。
「僕は岐阜ですよ。」
青チェック柄のお兄さんも答える。
岐阜。実在したんだ。君の名は。の聖地があるらしいとしか聞かなかった伝説の都道府県。(地理弱)
でも凄いな、本当に全国各地から競馬ファンが集ってる…。本当にグランプリなんだな。と、おセンチなワタクシの頬に伝うは汗…いや暑いな。
「でもこうして話し相手がいて良かったです。」
そうなの?あ、因みに一堂を会した面子、白Tのお兄さんは単独、青チェックのお兄さんは後にご友人と合流されている。
「いや~競馬場やポジションに因っては本当に会話が続かなかったりと。」
そうなんだ。競馬場って傍から見たら一人の人がまぁまぁいるけど、もしかしたら偶々友人に競馬に興味を持っている人がいなかった人達なのかもしれない。かく言うワタクシは友人が「行けたら行くわ」で「あ~これは来ないヤツだな~理解理解」と一人分の入場券のみ確保したら、後から「は?俺の分は?」とキレられた身です。そういうパターンもあるんかよ。
まぁかれこれ話していたらあっという間に第一レースの馬場入場の時間。1時間以上も喋っていた。
「人と話していたら時間が経つの一瞬っすね」
と青チェック柄お兄さん。
…この記事なんだか長くなりそうだな。ようやく第一レースが始まるとこまで進んだけど本命の宝塚記念についてはノータッチ過ぎる。ということでチャプター的に分けます。といっても次で書き終わると思うけど。てことで。(3,028文字)