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Follow-Through Dayの意義

Follow-Through day (FTD)とは、Investor’s Business dailyが認定している、調整局面の終焉、新しい上昇局面の始まりを合図する、強い買いのサインです。FTDの定義と、本当にその後は株価が上昇するのかを考察していきます。

Follow-through dayの定義

Step1: 上昇の試み (New Low)

下落局面の中、安値をこれ以上更新せず株価上昇した日をday1とカウントします。終値で株価上昇日でなくとも、寄りで売られてその後ずっと買われる、大きくGap-downしてその後ずっと買いが続くなど、安値が切り上がっていれば、終値が前日より下落していてもday1とカウントされます。

Step2: ラリーの継続 (Attempted Rally)

day2とday3は終値では下落でもいいですが、「弱気相場、調整相場の底」を推測するものなので、day1の安値を下回ってはいけません(Never undercut)。出来高や値幅は重要ではなく、安値を下回らずにラリーが持続しているかが大切です。

Step3: FTDの登場 (Big Gain in Rising Volume)

day4以降で、指数が前日から大きく出来高を増やして上昇した日がFTDです。いずれかの指数が1.25%以上の上昇となり、かつ前日の出来高を上回ればOKとされています。そのため、FTDの日の出来高が平均出来高を上回る必要はないとされています。しかし、すべての指数でFTDを満たし、さらに出来高も平均以上であれば、かなり強いサインです。

FTDの注意点

FTDのあとに下落しても、ダマシであったというわけではありません。Day1より前の安値よりも株価が上であれば、より強い上昇の基盤が作られたと認識します。

またFTDは上昇への急いで好き勝手に買うことを意味しているわけではなく、素晴らしい売り上げと収益率をもつ高品質な銘柄が、しっかりとしたベースから抜け出たら(breakout)買い始めてもいいという許可にすぎません。典型的にはFTDのその日にリーダー株がbreakoutし、またその後どんどんbreakout銘柄が増えていきます。個別株の多くのbreakoutをもって、上昇が成功していることを知らせる第2のサインとなります。

FTDは信頼できるのか?

2023年のSP500指数の値動きである。黒がFTDとその上昇幅であり、薄くて見づらいがオレンジ色の点線を辿るとその日の出来高がわかる。

2023年にFTDは5回点滅しました。①2023年1月6日、②3月29日、③8月29日、④10月6日、⑤11月2日です。

2023年のNASDAQ指数の値動きである。黒がFTDとその上昇幅であり、薄くて見づらいがオレンジ色の点線を辿るとその日の出来高がわかる。2023年はNASDAQは強かった。
2023年のDOW指数の値動きである。黒がFTDとその上昇幅であり、薄くて見づらいがオレンジ色の点線を辿るとその日の出来高がわかる。DOWは2023年は非常に弱く、①後に唯一安値を更新してしまった。

この中で定義上、底を更新しておらず成功したものはSP500とNASDAQでは①、②、⑤ですが、①はその後DOWが安値を更新してしまいました。③、④はすべての指数で3番底を形成しているので、明確な失敗です。⑤2023年11月2日は上昇幅、出来高、3指数すべて揃っているので、申し分ないFTDで、その後は素晴らしい強気相場が待っていました。

FTDの成功率は2023年で60%程度とそこまで高くないですし、勇足の場合もあります。しかし成功すると、力強い強気相場についていくことができる可能性が高まります。これらを考慮すると、FTDは弱気相場や調整相場の底を推測するのには十分役に立ち、第1の号令でありあくまで買いの許可サインなので、第2の号令であるその後の個別株のbreakoutを持って、成功と捉えるべきでしょう。

現在の環境は?

2024年8月13日、生産者物価指数(PPI)の結果を受け株価上昇し、FTDが点灯しました。上昇幅はSP500 +1.68%, NASDAQ +2.43%, DOW +1.04%と申し分なく、良い形で安値が切り上がっており、出来高は平均よりは低いですが前日よりも高く、DOWは+1.25%に届きませんでしたが、2/3指数でのFTDでした。ただ、FTD日なのにbreakout銘柄はほとんどありませんでした。また個別株ではベースの高値で推移している銘柄は少なく、よいベースが形成されているものは一部あるものの($NEE等)、少ないことは大いに懸念しています。$NVDAですら、強いpull backで値戻ししていますが、未だ50日平均線未満で推移しています。個別株breakoutの第2の号令がくるのか、しっかりとpivot pointで逆指値を入れておきつつ、本日の消費者物価指数(CPI)を楽しみに待ちたいと思います。

参考

チャート MarketSurge (外部リンクに飛びます)
MarketSurgeに関する記事:MarketSurge(旧MarketSmith)の紹介
オニールの成長株発掘法 第1部 第9章 M=株式の方向「マーケットの底を見極める方法」
Investor’s Corner “What Is A Follow-Through Day?” (外部リンクに飛びます)
"Stock Market Bottoms" (外部リンクに飛びます)


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