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ふるい落としを見極める パート2

自分が株式を売った、その次の日からスルスルと株価が上がったことはありませんか?「買いのタイミング」 ② ふるい落としを見極める の記事の閲覧数が多く人気のようですので、この記事はふるい落としの考察第2弾です。ふるい落としとはなんなのか、どういう特徴があるのか、再確認し、2024年8-9月の直近の相場で見事にふるい落とされた例と、(おそらく)ふるい落としを見極めであろう例、ふるい落としが終わって今後株価が上昇する可能性の高い株を交えて(答え合わせは1ヶ月後です)、紹介したいと思います。

ふるい落としとは

株価は、需要(demand)があると上昇し、供給(supply)があると下落する、そのバランスの中で変動しています。ふるい落とし(shakeout)とは、Cup-With-Handleなどのbaseを形成した後、breakoutの直前または直後で起こる最後のsupplyで、弱者が株式を売却させられる現象です。具体的には、自分が買った直後から株価が下落し、どんどん下落していくためたまらず損切りを要したが、その次の日からは嘘のように株価が上昇し高値を更新していく、この現象がふるいおとしです。損切りを厳しく置き管理しているLow-Risk Traderの最大の敵のため、ふるいおとしをしっかり見極めることが、トレードの成功率をあげるには有効です。

ふるい落としを見極めるために

左図は典型的な良いCup-With-Handleであるが、Cup(赤)の形成後、handle部分でしっかり安値が下がって(緑)売り枯れていっていることがわかる。一方右図では、handle部分で安値が切り上がる楔型(水色)であり、だましのパターンとして知られている。

ふるい落としには、ある程度の痛みを伴う必要があります。有名な例では、Cup-With-Handleのhandle部分では、連続で安値を更新する(Lower low)ことで、しっかりとふるい落としが起きているとされます。これは、連続で安値を更新することで、徐々に精神的に追い詰められていき、たまらず最後の安値更新で損切りさせられているのです。1日で大きく下落し、その後はじわじわ株価が上昇する楔形のhandleは、精神的な追い込みが足りず痛みが足りていないので、失敗しやすい形として有名です。ふるい落としを見極めるためには、少なくとも1回、できれば複数回の、痛みを伴うような一連の下落の動きを確認する必要があります。私は株を購入しトレードする上で、まだ時にゆるく見積もってしまいお手つきすることはありますが、「このベースではふるい落としは起きたか?誰か痛みを感じているか?」ということを大切にしています。

ふるい落とされた$LLY

iPad版のMarketSurgeの画面である。振り返ってみると、8月14日にFollow-Through-Day(FTD)がでたこともあって、若干強気になりすぎていた感がある。

Elli Lillyは、抗肥満薬であるGLP-1受容体作動薬の売り上げと需要が高く代表的ですが、いろいろな薬を売り出している製薬会社です。直近で出来高が軽く(黒矢印)値動きも小幅で下落している領域(黒丸)があったため、8月20日の上値抵抗線を超えたところで購入していましたが、痛みが足りずに見事にふるい落とされました。直近の下落で短期的なサポートラインである21日指数平滑移動平均線EMA21D(黄緑線)を割り、50日単純移動平均線SMA50D(赤線)に到達しています。これはおそらく、ふるい落とし不足、つまり痛みが足りませんでした。潤沢なキャッシュで待機していたので、お手つきしてしまいました。株価値動きをよく観察し、次なるentry pointを探っています。

ふるい落としを見極めたであろう$GEV

iPad版のMarketSurgeの画面である。とあるUS Investment Championはふるいおとされたようなので、個人的には満足しているエントリーだ。今後も株価上昇し14〜20%近い利益が1回転とれて始めて成功と言えるだろう。

GE Vernovaは、General Electricから2024年3月24日にスピンオフしたGEのエネルギー部門であり、再生可能エネルギーや電力インフラ、エネルギー変革に特化した企業です。初回のベースである$185.5を上値抵抗線とする、深さ18%、長さ39日の短いIPOベースを形成しており、8月15日に抵抗線を超えましたが、その後株価はするすると上昇せず、8月23日のイギリスでの洋上風力発電所でのタービンブレードの不具合のニュースでふるい落としがおきました。しかし終値は高い高需要型のチャートパターンで、翌日以降も出来高が軽く、8月29日に購入しました(赤矢印)。IPOベースなので、Up/Down Volume RatioやAcc/Dis ratingはあまり参考にしていません。直近の下落相場でも株価は耐えており、RS ratingは94と高く、RS line(青線)も上がり続けています。今後も株価上昇が続いてくれることを期待しています。

ふるい落としが起きているであろう$NOW, $COST

iPad版のMarketSurgeの画面である。2月9日からのflat baseもカウントすると、VCPパターンで考えると29w-22/5-3T(29週かけて、22%→12%→5%と、valatilityの収縮が合計3回おきている)であり理想的だ。RS ratingとlineも申し分ない。

Service Nowは、クラウドベースのプラットホームを提供する企業で、企業や組織が業務を効率化し、デジタル化を進めるためのツールやソリューションを提供しています。テクニカルな分析としては、上昇トレンド持続中で、株価変動のリスクを示す標準偏差であるβは1.34でVolatilityは高くなく、指数変動の影響を取り除いた株自身の超過収益の指標であるαは0.04でややプラス、Up/Down Volume Ratioは1.2で高く、Acc/Dis RatingはC-でやや低いです。またRS ratingは88で高く、RS lineは直近の下落環境でも上向きです(青線)。深さ12%、長さ25日間の短いflat baseを形成しており、先週の相場で①上値抵抗線を超えて下落しており、②2回程度安値を更新しふるい落としが起きており、直近高値$863.85から安値$863.85と深さ5.2%にvolatilityが収縮してきています。まだ若干ふるい落としが十分ではない可能性はありますが、RS lineをみると強いサインのため、注目しています。


iPad版のMarketSurgeの画面である。、VCPパターンで考えると9w-12/5-2T(9週かけて、12%→5%と、valatilityの収縮が合計2回おきている)でやや小さい。handleの形はきれいで、RS ratingとlineは申し分ない。

Costco Wholesaleは、日本でもなじみがありますが、会員制のビジネスモデルで倉庫型の卸売店舗を運営している企業で、低価格かつ大量購入を可能にし、さまざまな商品を提供している小売業者です。テクニカルな分析としては、上昇トレンド持続中で、β=0.83でVolatilityは低く、α=0.12でプラス、Up/Down Volume Ratioは0.8で低いですが、Acc/Dis RatingはC+でやや高いです。またRS ratingは91で高く、RS lineは直近の下落環境でも上向きです(青線)。深さ12%、長さ34日間の短いCup baseを形成しており、先週の相場で①上値抵抗線を超えて下落しており、②直近では連日安値を更新しておりしっかりふるい落としが起きています。そのHandle部分は、直近高値$918.93から安値$868.70と深さ5.4%にvolatilityが収縮してきています。Up/Down Ratioは低いですが、他の条件は十分なため、注目しています。

参考

チャート MarketSurge (外部リンクに飛びます)
MarketSurgeに関する記事: MarketSurge(旧MarketSmith)の紹介
ふるい落としに関する記事①:米国株投資を極めるシリーズ 「買いのタイミング」 ② ふるい落としを見極める

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