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「ポジションサイズ」 ② パフォーマンス尺度 “Profit Factor”
Profit Factor
あるトレードシステム(口座A)のパフォーマンスを考えます。今まで何回かトレードして、勝ちトレード合計利益が$20,000で、負けトレードの合計損益が$10,000の時、このシステムでトレードをずっとつづけていれば資金はどんどん増えていきます。これはProfit factorと呼ばれる概念で、Profit factor = 合計利益 / 合計損益で表現されます。Profit factorが大きいトレードシステムは、パフォーマンスが高いと言えます。これをわざわざ分解してみます。分母分子にそれぞれ確率を追加します。
分子:合計利益 / 勝率 x 勝率
分母:合計損失 / 敗率 x 敗率
分母分子それぞれに総トレード回数を追加すると、
分子:合計利益 / (総トレード回数 x 勝率) x 勝率
分母:合計損失 / (総トレード回数 x 敗率) x 敗率
となり、総トレード回数 x 勝率 = 勝ちトレード数、合計利益 / 勝ちトレード数 = 平均利益ですから、Profit Factorは
分子:平均利益 x 勝率
分母:平均損失 x 敗率
と分解できます。つまり期待値の概念と同じで、Profit factorには平均利益と勝率が関わってくるのです。どうすればProfit factorは増大するかというと、「平均損失を抑える」「勝率を増やす」ことが大切です。平均損失を抑えるには損切りを設定し、損切りの程度をより厳しくすればいいことがわかります。勝率を増やすには、トレード銘柄の選定ももちろんですが、せっかく得た利益を損失に変えないこと(トレーリングストップやバックストップ)、そして利確の程度を下げればいいのです。
Profit factorを上げるために
自分のトレードシステムを利確 +20%、損切り -10%に設定していて、成績が平均利益+20%、平均損失が-10%、勝率が40%としましょう。この状態だと、Profit factorは1.33です。Profit factorを挙げるには、まずは勝率をあげたいですね。そのためには、marketの環境が良くなるまでトレードを我慢するのはもちろんですが、利確 +16%、損切り -8%に設定し、利食い幅を下げて損切りラインを上げれば、平均利益は減りますが、平均損失は下がるかつ勝率はあがるでしょう。勝率が50%に上がれば、Profit factorは2.0に上がります。自分の管理で成績が向上した場合であれ、bull相場になってなんでもうまくいっている場合であれ、パフォーマンス尺度=トレードの成績=Profit factorが上がってきたら、投資する個別株の株を増やしたり、ポジションを増やしたりしていけばいいのです。トレードの成績を上げるのは、トレードの記録がないと今の状態がわかりません。つまり、自分の成績を上げるのは、自分の成績を把握すること、トレード成績表を作成することが、トレードの成績を上げる第一歩です。
悲観的リターンレシオ Pessimistic Return Ratio
Profit factorは、トレード回数が多ければ将来的にも同じパフォーマンスが得られる可能性が高いですが、トレード回数が少ない時にも使える尺度が悲観的リターンレシオです。悲観的リターンレシオは、トレード数が多く信頼性が高くなってくると、良い値になるように調整されています。Profit Factorの勝ちトレード数や負けトレード数から、その平方根を引いたり足したりしたものが悲観的リターンレシオです。計算式は以下の通りです。
分子: 平均利益 x (勝ちトレード数 – 勝ちトレード数 ) / 全トレード数
分母: 平均利益 x (負けトレード数 + 負けトレード数 ) / 全トレード数
悲観的リターンレシオの目安として、2.00を上回るシステムはとても良いシステムで、2.5を上回ると非常に優れたシステムと言われています。
参考:Ralph Vince 「投資家のためのマネーマネジメント」