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損切りは素晴らしい行為である

グロース株の保有期間が数日〜数週間のスイングトレード、特にリスクリワードレシオ(利益確定:損切りの比率)を重要視してトレードしている場合、どれだけ損切りをタイトに設定し、損失を減らすかがProfit Factorの向上につながります。数学的に優位があるだけではなく、損切りさせられてしまう良くない動きの個別株から早々に資金を撤退させ、他に潜んでいる素晴らしい個別株に資金に移動できる、素晴らしい行為なのです。今回は値動きの荒い、臨床段階の小型バイオ株でのトレード例を交えてその必要性を再確認したいと思います。

小型バイオ株のスクリーニング

Minervini師匠流のトレードテンプレートや株価選定基準といったいつものスクリーニングに加えて、私は利益の出ていない小型バイオ株においては経営陣の株価保有率(Shares Held by Management)を重要視しています。経営陣の保有率が多いことは、株価の変動が保有株の価値変動に大きく直結し、明るい未来に対して自信を持って保有していることが示唆され、株価上昇が期待できるからです。この概念は、William O’Neilの本のCANSLIM投資のS (Supply and Demand)の項目にも記載されています。私は、取りこぼさないようにスクリーニングは経営陣保有率(Mgmt) ≥ 8%でかけていますが、実際にエントリーする場合はMgmt ≥10%を目安としています。

先に保有していた$PHVS

Pharvarisは、ブラジキニンという血管浮腫に関係するタンパク質を研究しており、代表的な治療対象は遺伝性血管性浮腫(HAE)である、臨床段階(clinical stage)にある小型バイオ株です。Mgmt 12%であり、Minervini流トレンドテンプレートでも問題なく、RS lineとRS値も高い状態でした。黒丸で示す株価の変動は小さく、出来高も少なく、形はきれいではないですが、抵抗線$26.86を越えた1月12日にentryしました(黒矢印)。しかし、1月19日に損切りさせられました(赤矢印)。

$PHVSのチャートと、右に自分で設定したスクリーンリストの達成項目と達成率が記載されている。スクリーンリストはMinervini先生のup-trendの基準や銘柄選定ルールに従っているものが多い。臨床段階の小型Bio株は、利益の項目を除しており、経営陣の株価保有率(Shares Held by Management)を入れている。黒丸で示したチャートの値動きと出来高は自分が好きな形であった。しかし抵抗線を越える際の出来高は弱く、1週間も立たないうちに損切りさせられた。結果的にshakeoutをくらったことになる。

小型バイオ株は値動きが荒いので、そもそもposition sizeは10%未満に設定することが多く、また一度損切りさせられたらそこで売り切る、タイトなトレードに設定しています。そのため、半分損切りなどせず、売り切りました。その後は2月5日までするすると株価上昇し、ふるい落とし(shakeout)であったわけですが、ルール通りのトレードでしたのでやむなしですし、次に紹介する小型バイオでより良い利益を得ているので、損切りして良かったと思っています。

損切り後に注目し利益を得た$ALPN

Alpine Immune Sciencesは、自己免疫疾患や炎症性疾患に対する免疫療法を研究している、臨床段階(clinical stage)にある小型バイオです。Mgmt 32%であり、Minervini流トレンドテンプレートでも問題なく、RS lineとRS値も高い状態でした。1月19日に$PHVSを売却し資金が余っていることもあり、ちょうど他のバイオ株を物色していた所$ALPNを見つけ、よく見るとVolatilityが収縮しており、出来高も少なく、理想のbaseを形成していました(黒丸)。抵抗線$20.94を越えたところで注文をしておき、1月25日に出来高を伴って株価上昇(黒矢印)、entryし理想的なbreakoutとなりました。

$PHVSの損切りで浮いた資金で物色した$ALPNであるが、こちらの黒丸で示した値動きの方が、VCP patternで出来高も少なく理想の形だった。1月25日の見事な出来高を伴ったbreakoutとなった(黒矢印)。

教訓

$PHVSはまず形が良くなく、抵抗線を越えた日も出来高は高くはありませんでした。一方$ALPNは理想的なbreakoutで、株価はどんどん上昇しています。損切りとはトレードが失敗であることを認める行為に他なりませんが、このように、失敗しても切り替えて、次に素晴らしい株式を物色することができる、成功への助走、第一歩なのです。一時期Xで岡本真夜さんのTOMORROWを替歌にした動画が流れましたが、真理をついていると思います。損切りの数だけ、トレーダーは強くなります。

私が尊敬するメンター達も、すべての物事がうまくいくわけでもなく、間違っていることは当然あります。しかし切り替えが早く、間違っていることを認識したら、もうすでに次の戦略を練っています。株式投資の情報の賞味期限はいつだって早いので、先週までおっしゃっていたことと真逆のことをおっしゃることだってあります。間違えること、失敗することは素晴らしいことです。よくないことは、間違っていると認めないこと、失敗から学ばないことです。これもまた、トレードのみならず、職場や家族、友人といった人間関係でも、同じことが言えるのではないでしょうか。

参考

チャート:MarketSmith (外部リンクに飛びます)
MarketSmith(現MarketSurge)に関する記事:MarketSmithの紹介
Poifit Factorに関する記事:「ポジションサイズ」②パフォーマンス尺度 “Profit Factor”
損切りに関する記事:「売りのタイミング」①損切りの必要性
William J.O’Neil 「オニールの成長株発掘法」「オニールの相場師養成講座」
岡本真夜さんTOMORROW替歌:X投稿 (Xに飛びます)


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