宮台真司・東京都立大教授が切りつけられた事件で、犯人ではないかと疑われていた40代男性が自殺していた問題
最終更新日 2023年2月8日
※男の氏名については、実名表記せず、Kとさせて頂きます。
男の自殺と報道に至るまでの経緯
東京都八王子市の東京都立大南大沢キャンパスで2022年11月29日、都立大教授で社会学者の宮台真司氏が何者かに背後から首付近などを複数回切りつけられて重傷を負った殺人未遂事件。
犯人ではないかと警察から疑われていた40代男性が同年12月に自殺していた事がわかった。
報道があったのは2023年2月1日で、警察が自殺した事実を知ったのは1月30日の事であったという。
男の素性
男は昭和56年生まれの40代で、高校を中退後、引きこもり気味であったという。
また、5年前から別宅で暮らすようになり、自宅へは食事をしに来るだけになり、2~3年前より外出するようになったとの事。
夜になると、男の家から複数人で談笑する声がよく聞こえてきたという。
宮台真司氏が狙われた理由
これに関しては、安倍元総理銃撃死事件後の言動で、統一教会から目をつけられたのではないかと考えられている。
統一教会を舌鋒鋭く批判する学者や評論家、弁護士、ジャーナリスト達を黙らせようと考えた場合、やめなければ危害を加えられるという不安感と恐怖を与える事で、萎縮させるのが最善という事になるのだろうが、有田芳生氏や紀藤弁護士、鈴木エイト氏ら象徴的な人物を狙った場合、統一教会の犯行だと一発でバレてしまう。
そうなれば統一教会の立場は更に悪くなる。
しかし、敵が多いと考えられている宮台教授であれば、統一教会を鋭く批判していたので、統一教会から報復された可能性が浮上するが、それ以外の憎んでいる人、嫌っている人達による犯行の可能性もある為、警察も容疑者像を絞りにくく、統一教会にとっては、自分たち以外の犯行だとしらを切り続けていれば、上手い具合にはぐらかす事もできる。
そういった理由から、宮台氏が狙われたのではないか、というのが、犯人は統一教会説の見立てである。
私怨の可能性は低い
私怨からくる単独犯行と考えた場合、人を殺したいほど憎み、失敗したとはいえ実際に決行し、覚悟を決めていた犯人が、警察の捜査の手が伸び始めた途端に自殺するというのは不自然だ。
この種の犯人は、自分が悪い事をしているとは考えていないし、そう考えるに足るだけの根拠を持っている為、警察に堂々と捕まって、自説を開陳し、自己の正しさを証明しよう、広めようと考えるのがパターンだからだ。
警察の捜査の手が自分に伸び始めてからの自殺というのは、逮捕後の人生を考えて、悲観したり、絶望したりして自殺するか、それ以外のパターンを考えると、組織犯罪において、キーマンとなった人物が、組織から命じられて、指示に従って命を絶つようなケースという事になる。
なお、この事件に関しては、闇バイトとして暗殺を請け負い、失敗したのではないか、との見方も出ている。
想起される赤報隊事件
1987年から1988年にかけて、朝日新聞の本社や支局が襲撃されて、記者が殺害されるに至った赤報隊事件。
この事件では、朝日新聞東京本社に『とういつきょうかいのわるくちをいうやつはみなごろしだ』という犯行声明文と共に空の薬莢が入った封書が届いた事もあり、統一教会の犯行であると言われている。
統一教会は1984年6月2日夜、元世界日報編集局長の副島嘉和氏を、東京都世田谷区の自宅マンション近くで襲撃し、全身をメッタ刺しにする殺人未遂事件を起こしている(犯人は捕まっていない)。
副島氏は一命を取り留めたが、副島のこめかみからはホースから水が噴き出すように真っ赤な血が噴き出しており、止血のために押さえた指が肉の間にめり込むほど深い刺し傷で、自宅玄関付近は文字通り血の海だったといい、殺害しようとして失敗しただけだと見られている。
副島氏が暗殺されそうになった理由は、統一教会を告発した為とされる。
このような統一教会にはカルトによくある敵対者に対する暗殺を行う特徴があり、犯人が絶対に捕まらない、捕まりそうになると何故か犯人と疑われた人物が死ぬという特徴があるのだが、赤報隊事件も同様であった。
赤報隊の犯人は、関西地方に存在する右翼団体に籍を置いていたとされる元自衛官の男性だったという。
男性は孤独な身の上だったそうで、右翼団体を主宰する男Xが、目を掛けて面倒を見ていたという。
Xはこの男性のような境遇にある人物を見つけては目をかけ、世話をし、相手に恩を売る形で心酔させ、オヤジの為だったら何でもできる、という気持ちを抱かせて、自衛隊に入隊できるようなら、入隊させて射撃訓練を受けさせ、その後、自前の軍事教練施設で、そのような男達を鍛えていたという。
まるで漫画やドラマの中の話のようであるが、これが本当の話なのだそうで、自前で鉄砲玉を大量に作り、抱えていたという事のようだ。
この男性は、警察が自宅のアパートに来て、自分が犯人として疑われている事が判明した直後、死亡したと言われている。
その死については、恐らく、団体側から、捕まると団体からの指示で行った事を警察に掴まれる可能性があった事から、自ら命を絶ってくれと言われたのだろうと言われている。
この種のキーマンの自殺は談合事件ではよく見られるもので、決して珍しいものではないが、赤報隊事件でも、鉄砲玉として使われた男性が、慕っている右翼団体のトップを守る為、命を絶ったという事だ。
宮台氏の事件も統一教会の仕業ではないかと疑われていた為、犯人と思われる男が死亡したとの報道で、赤報隊事件と似過ぎていると感じた人達が大勢いたようだ。
男と赤報隊事件の犯人との共通点
二人とも孤独だという事だ。
男は高校を中退し、その後、引きこもり気味になり、知人や友人も実質いない状況にあったようで、社会的に孤立した存在だったようだ。
しかも5年前から親が購入した自宅(中古住宅ではないかと言われている)で一人暮らししていたそうで、実家に戻るのは、食事の時のみだったという。
つまり、親と同居もしていない。
未婚で、子供もいない、40代の男性。
しかも一人暮らしで友人や知人もいない。
カルトや詐欺師、また、他人の心の隙に付け込んで悪さを働こうとする個人や団体の格好にターゲットになる人物像と合致している。
特に報道の中で気になるのは、引きこもり気味だったものが、5年前に一人暮らしするようになって、2~3年くらい前から、外出するようになり、夜になると男の自宅から3、4人で談笑する声がよく聞こえていたという住民の証言が出ている事だ。
これが家族でないとしたら、この談笑していた相手は誰なのか?
2、3年前からの増えた外出(生活リズムの変化)とこの談笑相手との相手に関連性があるとすれば、外出時か、あるいは、ネット上で知り合った人物との関係で、宗教団体だったり、何らかの団体、集まりから勧誘を受け、その団体や集まりのメンバーとなり、談笑していたその相手というのは、その団体や集まりの仲間なのではないか。
それが統一教会だったり、統一教会のダミー団体で、前者の場合は別として、後者の場合は、男は知らず知らずに統一教会に引き込まれ、巧妙にマインドコントロールされた結果、信者になっていた可能性も考えられるのではないか。
家族とは5年前から別居している為、父母も現在の男の交友関係に関しては、詳しく知らないものと考えられる。
また、男の母はキリスト教系の宗教団体の信者であったという。
男が勧誘によって統一教会に入信していたとすれば、その事実を親に語る事はほぼないと考えられる。恐らく隠すだろう。
孤独な人間にコミュニティーに属させて、そのコミュニティー内の人間関係を与え、交友関係を作れば、その人物にとっては、そのコミュニティーと、コミュニティー内で築いた人間関係が全てになる。
それらを守る為であれば、何でもするようになるし、また、それらを失う事に対して、強い恐怖心と不安を覚えるようになる。
カルトやセクトにおいて、信者達の外部との交友関係を断ち切り、世間との関係を一切なくしてしまおうとするのも、カルトやセクトが与えたコミュニティーと交友関係だけに縛り、依存させる事で、脱会できない精神状態に追い込むと同時に、カルトやセクトの為であれば、どのような行動も辞さない人間を作り出す目的も含まれている。
つまり引きこもりで孤立しており、友人や知人が実質いない人間というのは、カルトやセクトからすれば、社会的孤立化政策を採らずとも自身のコミュニティーと信者間交友関係に限定した生活を送る人間を獲得できる事を意味しており、非常に扱い易い人間という事なのだ。
病気の人をカルトやセクトが付け狙うのも同様の理由である。
闘病生活が理由で精神的に参っていたり、情緒が不安定だったり、疑心暗鬼や被害妄想に陥っている人もいる為、社会的孤立化を促し、コミュニティーと信者間の交友関係のみに縛り上げてしまうのが普通の人と比較して容易なのだ。
そうして依存させて、教団から見て重要度が低いと判断された信者に指示を出して、教団の為に犯罪をやらせる。
警察の手が伸びて都合が悪くなると、教団の為だと言って、自殺を迫る。
カルトの典型的な手口である。
印象操作に向かうマスコミ報道
実はこういう報道もあった。
子供が問題を抱えた事で宗教に嵌る。
よくある話ですが、男の母はそのような理由で宗教に走ったそうで、つまり、代々から続く信仰をしているわけでも、宗教二世でもなく、恐らく、男が高校生だった頃に入ったか、ひきこもるようになってから入ったか、そんな感じだったようです。
無論、記事では数年前の話として取り上げている事から、場合によっては、入信歴がさほど長くないのかも知れません。
言うまでもない話ですが、男が宗教に入信していたという情報はどこにもありませんから、あくまでも母親が入信していたというだけの話であって、男が入信していたわけではありません。
この事件で焦点となっているのは、男が統一教会と接点があったかどうかですので、母親が統一教会の信者でなかったという情報は、重要なものではありません、
ところがこの「男の母親がキリスト教系の宗教を信仰していて、統一教会とかではありません」という情報は、統一教会とこの事件とは無関係であるという印象操作に使用されているようです。
統一教会と事件とは無関係であるという印象を広める目的で、この情報をわざわざ報道した可能性も、ないとは言えません。
各種報道を見る限り、統一教会との関わり合いの深い自民党の政治家達は、未だに統一教会との関係を断ち切るつもりがないようですし、また、この事件が統一教会の犯行であったという話になれば、テロ組織の誹りは免れませんし、教団の解散に直結する為、自民党や政府としても、この事件が「統一教会の仕業ではない」という事にしないと、困るという事情を抱えています。
警察に関しても政府や自民党からの政治圧力を受けて動きが定まるわけですから、当然、統一教会の犯行ではないという方向で動くはずです。
そして今日の現時点での動きを見る限り、マスコミの報道、即ち、警察の動きは、Kが宮台氏に対して個人的な恨みを持ち、凶行に及んだという印象を持たせようとするようなものとなっています。
カルト教団が暗殺を行い、しくじれば、ただ実行犯となった信者に自殺を強いるだけでなく、教団の指示があった証拠を徹底的に隠蔽するでしょう。
また、宮台氏の場合、敵が多い人物で、様々な方面からの襲撃が考えられるのですから、カルト以外からの攻撃を受けたという状況を偽装する為の工作を行う事は容易に想像がつきます。
つまりKの自宅から宮台氏の著書が見つかったとしても、証拠にはならないという事です。
エホバの証人の集会所と故意に誤報した謎
smartFLASHが下記の記事を配信しました。
この記事の報道後、ネット上では、エホバの証人は集会所に個人宅を使用する事はなく、王国会館で集会を行うから有り得ないという突っ込みが入っていました。
筆者はエホバの証人に関してはあまりよく知らない為、調べてみたところ、その指摘は事実でした。
そもそも、記事の中でも、下記のように記述されています。
つまり、集会所でなく、単に信者同士がだべる為に使う場所になっていただけのようです。
そうであるにもかかわらず、何故、FLASH側が集会所だったなどと誤解を招くタイトルをつけたのか謎です。
また、記事の中にはこうも書かれています。
どうやら布教活動前に仲のいい信者同士で集まって、家の中で談笑していただけの話みたいです
更に、記事の中では、これらを8年程前の出来事としています。
『印象操作に向かうマスコミ報道』の部分でも取り上げましたが、週刊文春が「自殺の現場となった別宅を10年ぐらい前に買った」と報道しています。
Kが別宅で親と別居を開始したのが5年くらい前の事です。
つまり、エホバの証人の信者達が別宅を訪れて談笑していたのは、Kの自宅として使用される以前の話で、現在の話ではないという事です。
男が自殺した家は、以前、エホバの証人の信者達が、だべるのに使用していた時期のある場所だった、というだけの話でしかないわけです。
この記事には他にも奇妙な点があります。
宗教2世という用語は、特定の宗教を信仰する親の元に生まれた子供を指すものです。
本人の意思とは無関係に、生まれながらにその宗教の信者にさせられ、その宗教の教義や価値観が反映された生活環境で生きる事を強要される。
その為に普通の生活、普通の価値観を知らずに育ち、その為に社会との軋轢を経験したり、苦痛に苛まれる。
これが数年前から問題視されるようになった宗教2世問題です。
報道を見る限り、Kの母親がエホバの証人に入信したのは、「数年前にお父さんとタバコを吸って立ち話をしていた時、『女房が宗教にハマって困る』とぼやいていた」という父親の知り合いからの証言により、Kが生まれた後の出来事のようですし、また、古くからの信者であれば、そのようにぼやく事もないと考えられる事から、入信は、Kが高校生活になじめず、苦しんでいた頃か、あるいは中退後の話だと考えられます。
推測も含みますが、Kは宗教2世ではないと考えられます。
なお、エホバの証人側は、Kが信者であることを否定しています。
センセーショナルになるからという理由でこのような見出しをつけたのか、事件とエホバの証人とを結びつけたい意図があったのか、あるいは、FLASH側が何か情報を掴んでいて、Kがエホバの証人の信者で、事件と関係ありとする未報道の材料を握っていたのか。
この点について考察すると、仮に材料があったのであれば、もっと鋭く追及する筈です。
例えば、夜にKの自宅から「夜になると3、4人で談笑する声がよく聞こえてきました」という近所の男性の証言があります。
この家がK宅に変わった後も、エホバの証人の信者達の集まる場所として継続使用されていたのであれば、声の主はエホバの証人の信者達だったという事になります。
だから、8年前の、Kが別宅で独居するようになる以前の話でなく、Kが別宅で暮らすようになってから、エホバの証人の信者達が別宅にやってきていた、という報道の仕方をするはずです。
そうした報道になっていない点を踏まえれば、Kがエホバの証人の信者で、同宗教団体と事件とが関係ありとする未報道の材料を持っていたわけではないと考えられます。
残る可能性は、センセーショナルになるからという理由だった、事件とエホバの証人とを結びつけたい意図があった、という事になりますが、これらに関しては確認の取りようがありません。
夜になる数名で談笑する声がよく聞こえてきたというのがKが別宅で暮らすようになって以降の話であるとすれば、声の主は誰だったのか。
2~3年前から外出するようになったという生活の変化には、どのような理由があったのか。
Kは統一教会の信者だったのか、統一教会との接点はあったのか。
謎は何一つとして解明されていない事になります。
犯人の死により真相は藪の中へ
統一教会絡みの事件は、政府と自民党からの強い政治的圧力により、徹底的に隠蔽される傾向があるものと考えられます。
理由は先述の通りで、統一教会と深い繋がりを持った自民党の大物政治家達が、統一教会の解散を阻止したいと考えている為です。
そうなれば、統一教会の犯行であった場合、犯人が生きて捕まって、統一教会からの指示で犯行を行ったと供述しない限り、闇に葬られる事を意味します。
教団側の犯行ではないと考えられる物証を多数用意し、私怨から犯行に及んだとする偽装工作が行われている事は容易に想像がつきますので、警察側の動き自体が、政治的な圧力もあり、そちらの線で動くと考えられる以上、そのような方向での幕引きを図ろうとするのは、目に見えています。
ですが、先程も指摘しましたが、仮に政治的な動機に基づいて宮台氏に支援を抱いたような覚悟の上での凶行の場合、この種の犯人は自分を正しいと信じており、凶行自体も正しい行いであると信じ切って実行している為、自ら命を絶つ可能性はありません。
相模原障害者施設殺傷事件のU等がその好例で、寧ろ、裁判を受けて、法廷の場で自説を開陳し、俺は正しいと堂々と弁舌をぶち、一人でも賛同者を集めようとするものです。
警察の捜査の手が伸びたと気づいて自殺している点で、この種のイデオロギー的な動機を起因とする支援という説は、ないだろうと思います。
結局、この事件は、犯人と目されるKの自殺によって、真相が藪の中に入ってしまったわけです。