僕はずっと人に愛されたかった。嘘でもいい、ずっと僕を見て、そばにいてくれる人が欲しかった。
でも、それはとても難しい事だった。人は僕のことに構ってられないくらい自分に忙しい。僕はずっと1人だった。

僕は自分で自分を愛せなかった。愛とは何か分からなかった。どうしたらいいか分からなかった。僕のどこがこの世界に必要とされているのか。僕にこの世界で生きる資格があるのか。
ただ、 上辺だけで取り繕った関係が愛と呼べないことだけは分かっていた。

僕はずっと生きていた。いつか必要とされる日が来るのを信じて。僕の事が必要だ と そう言ってくれる人が現れるのを信じて。

気付いたらもう何日も、何年も、過ぎていた。
期待し続け、諦めきれなかった心はぼろぼろだった。
それでもまだ、僕は独りだった。

絵本みたいなお話。 瀬梛 翔

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