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お得な性別

「女子」は「女子」であるだけで、チヤホヤされる特別な存在。一方で「女子」だから対等に見られない。そんな空気がないだろうか。

今日、ある記事を友人から紹介された。

「美術館女子」が「インスタ映え」に夢中な「無知」である存在として宣伝された結果、その宣伝に批判が集まり終了した、という内容だ。

考えてみれば趣味の名前にわざわざ「女子」を強調した単語はかなりの数になる。

鉄道好きなら「鉄女」、カープが好きな「カープ女子」、もっと昔に遡るなら文学好きな「文学少女」。

昔、医者に女性は少なく、わざわざ「女医」と呼ばれた。そして今も同様に、女性においてはマイナーな趣味を楽しむと「女子」が強調される。

もちろん、これはかなり失礼な話だ。女性・男性でどちらかに割り振るなんて、時代錯誤ですらある。

しかし、女子である当人、つまり自分としてはもう一つ思うことがある。

「女子って、お得」

映画を観に行けばレディースデーがある。

ちょっとマイナーな趣味を楽しめばチヤホヤされる。

多少無知でも「可愛い」で済まされる。(こう言うと人格を疑われそうだが)

ついでに言えば男女平等が叫ばれる世の中、少しでも女性を下に見るような発言があれば大反発できるのだ。

対等な立場で議論を盛大にかました後に、「女子」として扱われることも可能になっている。

女子でありたい。

特別視されたい。

でも見下されたくない。

「女子」を利用したい。

もちろん、これはまだ社会の荒波に揉まれたことのない大学生の意見だし、一面的なとんでもない暴論だとは理解している。

周りに恵まれてきた「甘ちゃん」だからこそ言えることなのかもしれない。

社会全体を見れば女子であることによって苦しむ人も一定数、いやたくさんいて、いつ私がそうなるかはわからない。

また、苦しんではいなくとも、女子を利用したくはないという人もいるはずだ。

また、女子だけが特別扱いでこんな恩恵を受けていて良いのか、とも思う。

なら、男子も女子もそれ以外も、みんな特別扱いしてしまえば良いのだ。

レディースデーがあるならメンズデーも作れば良い。男も女もマイナーな趣味を楽しむ人が人気者になって、男が無知でも「可愛い」となればいい。

男女平等で、両方特別扱いしてしまえばいい。

黒人差別の問題で「白人も大切」と言っているような論になってきたのが悩みどころだが、今はこう思う。

最初の話に戻ろう。

「美術館女子」がチヤホヤされるなら「美術館男子」もチヤホヤしたらいい。

女子がインスタ映えに夢中で無知だ、とされるなら男子はきっと「感動を人に伝えようとしないなんて」と批判されるのだ。

いや、ひょっとすると男子の方がインスタ映えに夢中かもしれない。

そうなると差別も批判も果ては性別までだんだんと訳がわからなくなってきて、みんながお得な生活を送る。

「女子だからお得」「男子だからお得」

「どちらも選ばなかったからお得」

馬鹿みたいな世界だけど、こんなことを妄想するのがたまらなく楽しい。

さしずめ私は「妄想女子」か。

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