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クーポンは何なんだ。少なくともディスカウント機能だけで語って欲しくない理由。

「クーポンでグロースしましたね」「クーポンを扱うアプリが増えてきましたね」社内外でよく言われる。その度になんだかなぁと思う。悪意はないと思うのですが「うまくやりましたね」「よく見つけましたね」みたいなニュアンスで言われることが多くて。クーポンは何なんだ。

そもそもブランド主の視点に立つとクーポンって単価を下げて集客するツールで、無いなら無い方が良いと私は思ってます。ブランドを統括するチームの方は同意いただけるかもしれない。だからこそクーポンを単にディスカウント機能だけで語って欲しくない。クーポンがコモディティ化した今だからこそ、私が本気で向き合ってるものが何なのかお伝えしたいです。

1.店舗ブランドにとって「クーポンは何なんだ」

改めて「単価を下げて集客するツール」です。いわゆる販売促進。例えば新商品が出た場合はこんな感じ「新商品を試してみませんか?しかも今なら100円引き!」けど、本当は単価を下げずとも来店して欲しいですよね。新商品ならなおさら。割引だから買うじゃなくて、好きだから買うにしないと継続性がない。

とはいえ新しいお客さんを増やす上でクーポンは有効です。実体験でもクーポンをきっかけに購入したことってありますよね。なので「クーポン掲載で新規顧客をどこまで増やせるか」が肝です。利益を削らないように本来は定価で買ってくれる方にクーポンを配りすぎてもいけない。各社はその数値を徹底的に計測している。もちろんその数値に貢献したい。

もっと大事なのはクーポンを使った後に「ブランドに定着してもらう」こと。単価を下げて集客して終わりじゃなくて、違う商品を買ったり、そこでしかできない体験をしてもらう。クーポンをきっかけにファンの数を増やすこと。それが商品を扱うブランド側の視点。その視点を持つことが最低限のマナーだしスタート地点だと思う。

2.掲載メディアにって「クーポンは何なんだ」

まず、ブランドを預けていただくことを意識しないといけない。例えば飲食店のクーポン。そのメニューを考えて、食材を揃えて、流通を揃えて、店舗で調理して、お客様のもとに届くまでに莫大なコストがかかっている。駅前にあるような全国規模のチェーン店を思い浮かべて欲しい。すらすら名前が出てくるブランドは私が生まれる何十年も前から、心血を注いでそのポジションを築いている。

その強い認知度のおかげで「そのメディア(アプリ)は使ったことないけど、クーポンがあるなら見てみよう」とユーザーに感じていただける。スマートニュースなら「ニュースを読みませんか?」でダウンロードしなかった人に対して「クーポンを見ませんか?」とオファーできる。それによって興味を持ってもらえる可能性が増える。

3.利用ユーザーにとって「クーポンは何なんだ

アプリをダウンロードする作業の手間。その代わりに得られるディスカウント。そんな2つを強制的に天秤にかけて「そのクーポンを1回使ったらすぐ消して大丈夫なのでダウンロードしませんか?」は絶対に成立しない。私が大好きなアプリをそんな雑に紹介したくないし、私が大好きなブランドを安い期間だけ試してなんて口が裂けても言えない。モチベーションをすり替えてもサービスは継続的に使われない。もしこんなマーケティングなら誰も幸せにできない。

クーポンをきっかけにアプリを知ってくれたら、まずはクーポンを継続的に使って欲しい。そのために画像は大きくて見やすい方がいい、処理が早い方がいい、毎日更新された方がいい、人気ブランドがあった方がいい、企画モノの限定クーポンがあってもいい。だから画像ひとつ、掲載位置ひとつで私はめちゃくちゃキレる。美味しそうに見えて欲しいし、楽しいと感じて欲しい。まずはその体験からアプリもブランドも好きになって欲しい。チームではその状態を「三方良し」って呼んでる。

となると、半額のクーポンよりも、50円引きのクーポンの方が価値がでる瞬間があり得る。お昼を考えるのが面倒なとき、おいしそうな料理画像をニュースのように見てみる。するとお腹が空いてきて、今日はハンバーガーが食べたい気分だったと気付く。食べたい気分になってしまったでも構わない。それは割引額の相対価値じゃなくて、自分の欲望に対する絶対価値。食事の意思決定ツールとも言える。それはディスカウントじゃなくて需要創造ではないでしょうか。ちなみにスマートニュースのトップページは必ず主要ニュースがあるので、クーポンのみ活用は低いです。調理の待ち時間に読んだニュースをより詳しく知りたければ、該当カテゴリーの記事が集まったチャンネルも登録できる。

自分が好きなプロダクトだからこそ、そこでしかない体験を作りたいし、パートナーに還元したい。提供できる価値を勝手に決めつけて思考停止してはいけない。クーポンに限定した話じゃない。機能開発から広告企画まで、ニュースアプリだからこそできる価値と向き合い続けるのがプロだと思う。

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