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インテリアに関する本

インテリアに関する本のなかでも、僕が好きなものを以下に並べておきます。1つ目だけは熱く語ってますが、2つ目以降も好きな本です。

▼『LIFE MEETS ART』

建築とランドスケープのデザインを学んできたから、デザイン史についてはちょっと詳しい。様式主義や帝冠主義というのがどういうもので、だから「北欧風」とか「イタリア式」とかいう言葉がデザイナーたちの間でどういう評価になっているかを知っている。それを乗り越えるためにモダニズムが何に挑戦し、何と闘ってきたのかも学んだ。その結果、白くて四角い建物がどのように揶揄されて、それを乗り越えるためのポストモダンが何をしでかしちゃったのかも見てきた。
そんな人間が、自宅兼仕事場を設計することになった。コロナ禍になり、自宅で仕事をする時間が増え、それなら快適な自宅兼仕事場をつくろうという気持ちになったのだ。さっそく狭い土地を手に入れ、そこに思い通りの設計をしようと思った。そこから2年。自宅兼仕事場はまだ建たない。
いろいろ考えすぎなのはわかっている。過去150年近いデザインの歴史が重たく自分にのしかかっているのを感じる。参考になる雑誌も書籍もほとんどない。そこに書いてあることは、生意気に表現すれば「まぁ、知っている」ような事例なのだ。
そんなとき、本書を見つけた。日本語のタイトルにあるとおり『世界のアーティスト250人の部屋』を紹介した本である。これがすごく参考になった。気分が楽になった。インテリアのアイデアがどんどん湧いてきた。すごい本である。著者の自己紹介や自己主張が一切ない。訳者のそれも皆無である。だから潔い。とにかく、デザイナーや建築家や小説家や音楽家や画家や彫刻家といった、広義の「芸術家」の自宅を紹介し続ける本だ。1人のアーティストにつき、写真1枚と文章26行。これが250人分続く。そのうち200人くらいは知っているアーティストで、50人くらいは初めて目にした名前だった。
端的にまとめられているからだろうか、250人の部屋を紹介しているのに合計330ページに収まっている。余計なことは書いていないが、知りたいことはちゃんと書いてある。何年に生まれて何年に亡くなった人なのか、どこの国のどこの地域にある家なのか、どんな分野で有名になった人なのか。そういう前提情報はちゃんと示されている。
ありがたいのは、ほとんどすべての家が「自宅兼仕事場」であるという点だ。コロナ禍を意識したわけじゃない。しかし、アーティストの自宅ばかりを集めた結果、多くが自宅兼仕事場、アトリエ、ギャラリーになっているのだ。
何歳くらいに土地を購入し、何年くらい設計や建設に費やし、その後何年くらいその家に住んだのかも書かれている。若い頃に土地を購入して、すぐに建てて、長く暮らしたという人もいる。70歳で土地を購入し、建設に10年かかり、完成した翌年に亡くなったという人もいる。仕事場を20箇所以上もっているという人もいるし、1箇所の自宅に20以上の部屋を持ち、壁の色がすべて違うという人もいる。既製品の家具を購入する人もいれば、友達に作ってもらった人もいるし、自分で作り続けた人もいる。シンプルなインテリアもあれば、混沌としているものもある。「あのデザイナーはこういう家に住んでいたのか!」「ここがあのアーティストの仕事場か!」と驚くやら、感心するやら、尊敬するやら。世界中を旅して、普段は入ることができないアーティストの家に上がり込み、その人の人生とともにインテリアを観察し、写真まで撮らせてもらうなど、ほとんど不可能なことだろう。それが本書にはまとめられている。よくぞやってくれたものだ。
僕にとっては、どんなおしゃれなインテリアデザインの本よりも参考になった。どんな家具を選び、どこまで自分でつくり、何を友人の家具屋につくってもらうのかがはっきりした。46歳で土地を購入し、48歳まで2年間も設計を続けていたということも、決して遅くもないし長くもないと思えるようになった。80歳くらいでもう1軒くらい建ててみてもいいかもしれないとさえ思えた。たとえ数年しか暮らせないとしても。
あまりに気に入ったので、同じ興味を持つ人たちとオンラインで集まり、僕が面白いと思ったページについて解説する講座をやろうと思っている。

▼『HANDCRAFTED MODERN』

インテリアの本は写真が多く、それを眺めているだけで学びが多い。だから外国語の本でも楽しめるのだが、できれば日本語に翻訳されているほうがいい。「これはどうなっているのかな?」と思った問いに答えてくれていることが多いからだ。「手作りモダン」に関するこの本は、アーツ・アンド・クラフツとモダニズムの間に位置する、デザインの歴史の本流には乗らないタイプの住宅ばかりが特集されている。しかし、そのいずれもが心地よさそうで、自宅に取り入れたくなるアイデアだらけである。

▼『wabi inspirations』

アクセル・ファーヴォルトは好きなコレクターだ。アンティークコレクターであり、アートコレクターでもあるファーヴォルトは、自宅のインテリアデザインが冴えすぎていて、インテリアデザインや建築デザインにも携わるようになった人だ。この人の本はいずれも好きだが、中でも好きなのがこの本。これはファーヴォルトが設計したのではなく、彼が好きだと思う空間についての写真集である。これが素晴らしいものばかり。本人の空間づくりのネタ本のようなものだろう。私もまた、これを自分の空間づくりの指標のひとつとしている。

▼『Portraits of Interiors』

大好きなコレクターであるファーヴォルトが監修したインテリアデザインの作品集。こちらは少し新しすぎる気もするが、選ばれている家具やアートなどはさすが。長い間、そこにあったような落ち着き具合である。

▼『Timeless Interiors』

少し前に出たファーヴォルトの作品集。クラシカルな家具を選んでいるものが多いので、個人的には『Portraits of Interiors』のほうが好みだが、こちらにもまた優れたコーディネート事例がいくつか見られる。だからやっぱり購入して手元に置いておきたいという気持ちになる。

▼『Living With Art in Belgium』

ファーヴォルトはベルギー人であり、そのつながりで見つけた本。ベルギーにおけるインテリアデザイン集。特に、アートを取り込んだ室内空間に特化した本。ファーヴォルトが監修した空間も掲載されているが、ほかのデザイナーによるものもたくさん収録されている。1/3くらいは自分の趣味とは違うものだったが、2/3くらいは新たなヒントを与えてくれるものだった。

▼『アートと暮らすインテリア』

ベルギーの本に近い本がないかと探したところ、日本で出版された「アートと暮らすインテリア」の本を見つけた。さっそく購入してみる。ベルギーのものとは重みが違いすぎるのだが、爽やかな空間がたくさん掲載されている。また、日本語でコーディネートのポイントなどが書かれているので、読んでいて参考になることが多い。ただし、室内に置かれているものの大半が新しい。古い家具が置かれた空間も多いのだが、構成要素の8割が新しいものなので、ものすごく魅力的かと問われれば「まぁまぁ」と答えざるをえない。もちろん、これは個人的な好みの問題なのだが。

『古いものと暮らすインテリア』

そんなに古いものが好きなら、そういうタイトルの本を探せばいいじゃないか。そう思って検索してみたら本書を見つけた。そのものズバリである。まさに古いものと暮らしている事例ばかりだ。が、今度はアートが足りない。わがままな性分である。できれば「アートと古いものと暮らすインテリア」に関する本が欲しい。いや、自分で作るしかないか。

▼『THE OLD THINGS』

副題は「世界の古いものと暮らす」。好みの内容だ。建物自体も古いものが多く、落ち着いたインテリア写真が掲載されている。アート作品はそれほど掲載されていないが、珍しいアンティークやかわいい家具などが掲載されているのは魅力的である。何より、日本語で解説されているのがいい。

▼『ファイン・リトル・デイ』

アートとか古いものとかに囲まれたインテリアが好きなのだが、それはつまるところ「好きなものと暮らす」ということなのだろう。そんな本がある。著者であるデュンケルさんが好きなものだけに囲まれて暮らしている家の写真と解説が掲載された本だ。しかも日本語で解説してくれている。これを読んでいると、インテリアのスタイルとか形式なんてどうでもいいということがよく分かる。

▼『KINFOLK HOME』

有名な雑誌「KINFOLK」の住宅特集。しかも日本語。明るいインテリアが多い。日本人の住宅もいくつか登場するので、我々の暮らしの参考になる。海外のものは、憧れるけど寸法が大きすぎたり、身近に見つけられないものばかりだったり、法律が違うから可能なことだったりすることが多い。その点、日本での事例は自分にもできると思わせてくれる。

▼『芸術家の家』

冒頭に揚げた『LIFE MEETS ART』が好きなのは、古いものとアートと一緒に暮らしている事例ばかりだから。しかし、この本にたどり着くまでに多くの「芸術家の家」本を読んだ。これはそのうちのひとつ。14人のアーティストの家を詳しく紹介してくれる。『LIFE MEETS ART』が250人のアーティストの部屋を紹介しているのに比べると少ないが、その分じっくり紹介されている。『LIFE MEETS ART』が気に入った人は、その続編として本書を購入してみると良い。日本語に翻訳されているので、内容を詳しく理解できるのもありがたい。

▼『芸術家の愛した家』

17人の芸術家が愛した家を掲載した本。『芸術家の家』と重なる人もいるが、視点や写真が違うので十分に楽しめる。こちらのほうが写真の撮り方がうまい気がする。いや、「私の好みに合う構図で撮影してくれている」というほうが正確な表現だろう。巻末には、芸術家の相関図や年表もまとめられているので、インテリアだけでなく芸術家の生涯についても学ぶことができる。

▼『ヤンソンとムーミンのアトリエ』

50ページほどの本。それでもハードカバーで、良い紙を使っている。トーベ・ヤンソンの自宅写真がたくさん掲載されている。本人も登場する。長く暮らした家の充実した空間を感じることができる。

▼『作家の家』

こちらは小説家の家を特集した本。世界の作家の自宅が紹介されている。その数、20人。「芸術家の家」と違って落ち着いた事例が多い。また、本棚のまとめ方などが参考になる。もっと本に囲まれた暮らしをしているのかと思ったが、多くの作家は身の回りにあまり本を置いていない。むしろ一箇所にまとめているようだ。同じく本をたくさん持つ身としては参考になる。

▼『作家の家』

同じタイトルの本だが、こちらは日本の作家15人。手描きの平面図も掲載されているので分かりやすい。また、日本の住居の寸法なので、狭い空間にどうやって本を収納しているのかがわかって微笑ましい。世界の作家に比べて、日本の作家は本に囲まれて執筆していることが分かる。

▼『作家の住まい』

こちらは12人の日本人作家の住まいが紹介された本。手描きの平面図が掲載されている点は、同じコロナ・ブックスの前書と同様。秋岡芳夫や武満徹など「小説家」以外の作家の住まいも紹介されているのが嬉しい。

▼『文豪の家』

日本の文豪36人の自宅を紹介した本。ひとりあたり4ページから8ページ。写真がたっぷり掲載されていて、文字はそれほど多くない。現存する家ばかりを掲載してくれているので、本書を片手にひとつずつ巡りたい気持ちになる。

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