韓国訪問、劇的に変わる日韓関係をリードする20230710
weekly newsletter 064/20230710
韓国との関係改善、日韓が協力して解決すべき課題
7月4日から6日まで、立憲民主党日韓友好議連のメンバーとして、韓国を訪問しました。
与党「国民の力」議員、野党「共に民主党」議員との懇談、韓国外交部訪問、相星駐韓大使との懇談、金鈗(キム・ユン)韓日経済協会会長、千英宇(チョン・ヨンウ)元外交安保首席秘書官との懇談の他、烏頭山統一展望台視察、国立墓地(顕忠院)での献花など、日韓の懸案事項と共に、今後の二国間関係について相互理解を深める貴重な機会となりました。
文在寅(ムン・ジェイン)政権から、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に代わり、日韓関係は劇的に変化しました。慰安婦問題、旧朝鮮半島出身労働者問題などで冷え切っていた関係が、ユン大統領の決断により大きく改善、日韓のシャトル外交も再開し、政治・経済・文化など多岐に亘る分野での日韓の協力関係の再構築が進んでいます。ユン大統領は日米韓の関係を重視する路線に大きく舵を切っています。こうした流れを受けて、立憲民主党としても国益最優先で野党外交を展開してきました。
核武装する北朝鮮にどう向き合うか
北朝鮮の核武装について脱北者である国会議員、核問題の専門家である千英宇氏から話を伺いました。
金正恩(キム・ジョンウン)体制になって核兵器に対する考え方が変わっており、これまでは最終兵器という位置づけであった核が、今は具体的な使用、それも先制使用をも想定した形で配備されているという説明がありました。
北朝鮮にとっては、通常兵器による国防には武器の購入から兵員の確保維持のためにばく大なお金がかかるが、それに対してミサイルと核兵器であれば通常兵器に比べれば大幅なコストダウンが可能となる、また、核兵器の電磁波で敵の兵器を無力化したり、海中で使用して大津波を発生させるなど、その使用方法も多様化、具体化しているとの説明がありました。
韓国ではそうした北朝鮮の変容を受けて備えを強化しており、核兵器の発射の兆候があった場合、核基地を10分以内に先制攻撃することができる体制をつくっているとのこと。
日本が配備しようとしているトマホークでは北朝鮮まで到達するのに2時間かかるため、攻撃力としては意味がないという指摘を受けました。地理的な関係もあり、核基地の攻撃は韓国が担う、日本には偵察衛星など監視のための体制強化に協力してもらいたいとの意見がありました。極めて重要な指摘です。
東電福島第一原発のALPS処理水問題
韓国では海洋放出が近づく東京電力福島第一原発のALPS処理水の問題が大きく取り上げられていました。背景には来年に迫った国政選挙に向けて野党は市民を結集する材料としてこの問題を利用しているという側面もあり、日本としては慎重に対応する必要があります。
韓国政府、与党議員からは不安払拭のために検査と情報公開の徹底、特に韓国への影響を測定するための検査ポイントの追加などのリクエストを受けました。私からは、万が一、韓国に影響の出るような処理水の放出があれば、日本国民も大変な被害を受けることになり、そういった事態は絶対に起こさせない。そのために野党としても、これから30年と言われる放出期間を通して東京電力を厳しく監督していく旨を伝えました。
処理水問題では、トリチウム回収技術の実用化など海洋放出以外の方策の検討継続、処理水のもとになっている水による冷却の見直し等、廃炉作業の再検討も必要です。
安定した日韓関係のために
韓国は、経済面でも安全保障面でもまた文化・芸術の分野においても重要なパートナーです。韓国でも深刻な少子化など協力して解決すべき社会課題も数多くあります。今後も、政府間の関係が良いときも悪いときも、韓国との絆を大切に、安定した日韓関係構築のためにシャトル外交を積極的に展開していきます。