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不適切にもほどがある!はなし
今年も、あと1ヶ月を切って来た。
私としては、今年面白かったドラマは『不適切にもほどがある!』だ。
我々世代としては、極々普通な日常が。
今や、不適切にもほどがある!レベルの非常識が横行していたことが、とても新鮮で夫婦で爆笑しながら昔話に花が咲いたりした。
そんなリアル不適切時代を生きてきた私の話も、若い世代には面白かろうということで・・・。数回、シリーズで書いてみたいと思っている。
今回書くのは、私が高校生だった30ン年前のお話。
当時、私は私学の女子校に通っていた。
頭の程度は下の下~中の下くらいまで。科によって、学力の差がある学校だった。中等部もあったので、中学からエスカレートの生徒もいた。
商業高校だったから、基本卒業したら就職をする。
学業というより、礼儀作法と働く為に必要な知識を詰め込む為の高校。
そんな位置付けの学校だったのを覚えている。
4月に入学し、2ヶ月スパルタ指導をされ。
6月には、簿記3級を取るのがベースの学校だった。
2年生に進級する際に、3級を取らない人間は落第。
2級まで取得しているのが、普通。
正直、生まれて初めてここまで必死に勉強をした。
そんな学生時代だった。特進だったからかも知れないけれど(笑)
そんな、学校生活での出来事だ。
担任は、某大手企業から引き抜かれたエリートサラリーマン。
学校からの指示は、就職後に即戦力になる生徒の育成。
社会の裏側もきっちり教え込むように。
まあ、そんな感じだったらしい。
まず、1番最初に驚いたのが夏休み明けと、冬休み明けの「保護者への申し送り事項」に長い時間を割いたこと。
夏休みといっても、ほとんど補習という名の登校をし。
朝から、深夜まで(保護者には深夜帰宅になると通達済)学校で缶詰状態だったから。夏休み明けもへったくれも無い状態ではあったけれど(笑)
休み明けのホームルームの時間。
担任が教壇に上がり、ファイルをおもむろに開く。
そして、あの申し送りが始まるのだ。
「今年も、生徒の皆さんの保護者各位にはお中元というご温情を賜り。私自身は、非常に感謝申し上げている。ついては、君達生徒諸君にこの事実を開示し感謝を伝える物とする」
まあ、こんな感じで始まるのだ。
内容としては、こんな感じだ。
「まずは、今年も保護者様より25点ものお中元を賜りました。1つも無駄にせず、美味しくかつ、有りがたくいただきました事をご報告申し上げる」
ここからが、見せ場だ。
「安藤、親御様から牛ステーキ肉をいただいた。非常に上品なお味で心から感謝している。美味しくいただいた。ご両親によろしく伝えるように。
石橋、親御様から水羊羹をいただいた。夏には非常に風情があり。素晴らしい選択であると思う。だが、水羊羹は和牛には勝てない。だが、大変美味しくいただいた。お礼をお伝えしてくれ」
まあ、こんな感じで貰ったお中元全てに関して。
誰の保護者から、何を貰ったのか。
貰ったものが何で、あったのか。
貰ったものの感想まで、事細かに報告する時間になる。
中には、デパートの商品券を贈った親もいたりして。
子供心に「そうか、贈り物というのは色々な選択肢があるのか」と学ぶ。そして、貰う側もただ「ありがたい」だけではなく「金額」もキッチリ見ていると言う事を知ることになる。
担任はお中元を贈った全ての人を挙げた後に、こう言い放つ。
「日本には、お中元とお歳暮という美しい習慣がある。
お世話になった方には、お世話になった度合い合わせて金額を選び。
その方の喜ぶ顔、ご家族構成を考えながらお品ものを選びお送りする。
中には、それっていわゆる袖の下で卑怯だと思う人も居るかも知れない。
賄賂ですよね?と、今リアルに批判している人もいるかもしれない。
しかし、これが君達の生きるリアルな世界だということを覚えて置きなさい。当たり前の様に、お中元・お歳暮特集などとデパートがやっている以上。これが、紛れもない現在の社会構造だということだ。
良いか、良く聞きなさい。
私は、お中元をいただいた生徒には戴いたなりの贔屓をする。人の感情というものはそういうものだからだ。教育現場は聖域だというが、ここは社会の構造や、人と・・・もっと言うと上司との付き合い方を学ぶ場と私は思っている。
社会にでたら、頼れるのは自分自身と家族。それだけだ。
正々堂々勝負したい人間は、誰にも・・・そして何も贈らなくて良い。
ただ、自分が弱い立場で有ったり。
何か人と違う利益を得たいと思った場合、社会で認められている。もっと言えば、刑事事件にならない贈り物という正統な手段を使うことも必要な時がある。そう言うことを学ぶ場に、私はしたいと思う。
私は保護者から、金品を受け取りたいのではない。
君達が将来結婚し、夫を応援する立場になり。
夫の印象を良くしたいと思った時、今日の事を思い出して欲しい。
では、今日からの新学期を全力で走り切ってくれ」
そんなホームルームから、新学期が始まった。
柔らかい頭に、ここまで強烈な「社会のリアル」はショッキングに他ならなかった。
こんな感じで、担任は自分が大企業で得た「社会人」としての生きる術を3年掛けて生徒達に叩き込んでいった。
今思えば、人生でこれ以上の生き残る為のノウハウを勉強できた時期は無かった。不適切にもほどがある!と言えるのは事実だが。
高校3年間の厳しい教育が、私の人生の基礎になっていることは言うまでもない。今は、高校の担任に心から感謝している。
また、時間がある時に「不適切話」を更新したいと思う。
期待してるよ!と思ったら、ぜひとも「スキ」をお願いしたい。
きっと、そうしたらまた不適切な話を更新できるかと思う。
余談だが、私の祖母の両親はいわゆる「つけとどけ」が嫌いな清廉潔白なタイプだったらしい。祖母が学生だった頃。
同級生の親に、事あるごとに教師に「つけとどけ」をしていた人がいたらしい。
その生徒は、祖母と一緒に「師範」を受験したそうだ。
結果は、祖母が合格。もう1人は不合格。
教師は「つけとどけ」を貰っていた手前。
「つけとどけ」をしていない生徒が合格したとは言えず。
祖母にも「不合格」を申し伝えたという非常に酷い話も聞いている。
昔から、あるいみ。
つけとどけというファイナルウェポンは存在したらしい。
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