旅人として“理想の住まい“を考えて、自宅の一部を宿にするというライフスタイルにたどり着いた話
こんにちは!ゆかです。会社員をしながらリモートワークを駆使して夫婦でノマド生活していましたが、コロナの終焉とともにオフィス回帰の波に飲まれて定住。
様々な暮らし方を検討した結果、家の一部を宿にするというライフスタイルを選びました。
どのような経緯で家の一部を宿にするということになったのか。
どんな宿をつくったのか。
今はどんなライフスタイルなのか。
旅好きで、いつか宿やってみたいなぁとぼんやり思っている人。
純粋に「こんな暮らしあるの?!」と興味を持ってくれてた人。
この記事を通じて、こんなライフスタイルもあるんだな、と、ここまでに至る経緯も含めてワクワクした気持ちになってもらえるといいなという気持ちで綴ります。
はじめるきっかけ
仕事しながら全国を旅する会社員
冒頭でもご紹介しましたが、私たちは約1年半、夫婦2人で定住する家を持たず、車一台で旅暮らしをしていました。
よく「フリーランスですか?」と聞かれるのですが、当時も今もどちらも会社員で、コロナ中で普及したテレワーク制度を駆使していました。
フリーランスだと、オシャレなカフェやコワーキングで仕事♪ バンライフやキャンピングカーライフもできちゃうかも?!ですが、なにせ我々は会社員。日中は社内外とのミーティングが多数。そして第三者には聞かれないような個室であることが前提です。
そのため私たちは、同じゲストハウスやホテルを2部屋予約したり、AirBnBのようなアパートや戸建てをまるっと貸している2LDK以上の部屋を選んで滞在し、昼間はそれぞれ別の部屋で黙々と仕事をしていました。
オフィス回帰の波
コロナが終息に向かい、多くの会社がテレワークからオフィス勤務に回帰していった頃、私たち夫婦にも出社の機会が増えるようになりました。
それまでは出社の際、オフィス近くのホテルを予約し、そこから通勤していました。しかし、出張や海外渡航が解禁されると、ホテル料金は一気に値上がり。そろそろどこかに腰を落ち着けるべきなのかと、ふたりで話し合うようになりました。
二重家賃生活?
とはいえ、旅する暮らしを心から楽しんでいた私たちは、定住を考える一方で「気軽に旅を続けたい」という思いでも一致していました。この頃の私たちの考え方は、宿泊費を「家賃や水道光熱費の代わり」と捉えていました。つまり、どこかに定住する代わりに、旅先で宿泊費を支払う。それが私たちにとって、旅する生活の自然な理屈だったのです。
しかし、定住生活では家賃を毎月支払うことが当たり前になる一方で、休暇中にホテルや宿に泊まるとなると、その上で宿泊費を負担する必要があります。それはまるで「二重家賃」を支払っているような感覚でした。
この感覚が厄介なのは、旅先で宿泊費を支払うことがなんとなく「もったいない」と感じられ、旅に出るハードルを無意識のうちに高めてしまうことです。本来、旅は心を解き放ち、日常を離れるためのもの。しかしいつの間にか、頭の中でお金の計算がよぎり、それが旅そのものをためらう理由となる。そんなジレンマを抱えていたのです。
私たちの理想の家とは
自分たちが住んでいないとき貸せる家
幸いにも、私たちはそれぞれシェアハウス暮らしの経験があり、「誰かが貸している家」に住んだ経験もありました。なので「自分たちが住んでいない間は、誰かに貸せる家がいいね」という結論に自然とたどりつき、夫の前職が宿泊業界で立ち上げの経験があったことから、だったら思い切って、家の一部を宿泊施設にしてしまおう、というアイデアが生まれたのです。
この考えを後押ししたのは、私がスイスで学生インターンをしていたときの経験です。フランス人カップルが空き部屋を貸し出している家に滞在させてもらっていました。
家に帰ると誰かがいる安心感。異国の地で、慣れない仕事に挑む私に、彼らはスーパーの場所やメトロの使い方など、生活に必要なあれこれを親切に教えてくれました。そのおかげで「この町に暮らしているんだ」という実感を得ることができました。
その家では、職場の同僚を招いて小さなハウスパーティを開いたりもしました。カップルとは長い時間を一緒に過ごしましたが、彼らはもうすぐ結婚を控えており、結婚式のペーパーグッズを準備しているところを見せてもらったこともあります。異国でのこの経験は、私に「はじめての土地で人と繋がる心地よさ」と「ただの観光ではない暮らしの豊かさ」を教えてくれました。
私たちがつくりたい宿
では家を宿にするとして、どのような宿をつくるのか。
ノマド生活をして年間300泊しているうちに、私たち夫婦の中に「こういう滞在スタイルがいいね」というものが、少しずつ明確になってきました。それは、単なる観光や滞在ではなく、旅先で「その地に住むように」過ごすこと。地元の生活の一部に触れることこそが、私たちにとって心地よい旅の形だと気づいたのです。
地元のスーパーで買い物をして、「ここではこんなご当地のお惣菜が人気なんだ」と知ったり、地元の銭湯に足を運び、耳に入ってくる方言混じりの会話にその土地の温もりを感じたり。観光地での華やかな体験も楽しいけれど、それ以上に心を惹かれるのは、裏通りの小さなお店や、ふと目にする地元の人々の日常の風景。そんな場所には、まるでその土地に少しだけ住んでいるような感覚がありました。
ただし、「住むように旅する」ためには、いくつか欠かせない条件があります。キッチンがあれば、地元の食材で料理ができる。机と椅子があれば、いつも通り仕事ができる。そして、安定したインターネット環境があれば、どこにいても日常の延長として過ごせる。これらの基本的な生活インフラが整っていることで、旅先でも「家に帰ったような安心感」を得られるのです。
大切な前提条件:会社員をしながら運営できること
そして、宿を立ち上げるにあたって、もうひとつ大切な条件があります。それは、住みながら運営できることです。なによりも第一に住居なので、自分たちが心地よく暮らしながらゲストを迎え入れられる空間を大切にしたいと思いました。
そのために、満室稼働を目指さず、必要以上にゲストを受け入れることはしません。連泊してくれるゲストを優先することで、私たち自身にもゲストにも、ゆったりとした時間が流れるようにしました。「暮らしの延長線上でゲストを迎える」という感覚です。
理想の家を作り込む!
あえて選んだ、広いお家。
そうと決まれば、さっそく家探しです。
家を持たないミニマルな暮らしをしていた夫婦なので、ふたり暮らしの住まいだけ考えるなら1LDK~2LKDで十分だったのですが、あえて個室が4つある一軒家を選びました。
一部屋を私たちの寝室にして、残りの部屋はゲストが泊まれるゲストルームにする計画です。
「働く旅人」経験からの譲れないこだわり
個室には仕事がしやすいように、モニターとワーキングチェアを完備。しっかりと仕事ができるように、ワーキングチェアは長時間座っていても疲れないものを選んでいます。
計画から実行まで、およそ5ヶ月。
家を探し始めたのが春、物件が決まったのが初夏で、それから夏のあいだはインテリア探し。宿泊業を営むための申請をして、はじめてのゲストを迎え入れたのが秋。およそ半年のプロジェクトとなりました。
今のライフスタイル
いろんな人が訪れるシェアハウスみたいな雰囲気
共用部分も多いので、朝出かけるときに「今日はどこに行くの?」とか、帰るタイミングが一緒になったときは「今日はどうだった?」などと声をかけています。家主が同居している宿であることをあらかじめ伝えているので、ゲストも私たちと話したいと思ってくれている人が多いようです。
私自身もこの友人同士のようなコミュニケーションを楽しんでいるおかげか、ゲストたちものびのびと滞在してくれているように感じます。
そして家が夫婦2人だけの空間から、ゲストに開かれたオープンな空間になったことで、心なしか家と夫婦関係の風通しが良くなったように感じます。
家のなかに旅の空気が流れている
世界中のゲストと会える。日常の中に旅の空気を感じられる。自分たちが旅行に出かけていない日々でも、家の中には旅の空気が流れています。
その地に住んでいるとあえて観光地のようなところに行く機会もないですが、有名な観光地から、どこで見つけたの?!と思うような隠れ家スポットまで、ゲストが楽しんでいる様子の話を聞くのはとても楽しいです。
近所のおすすめを聞かれることも多いので、私自身も意識的に近所の飲食店を新規開拓したりするので、生活圏内の新しいお店を発見したりできて、まるで旅先で新しい発見をするようなワクワク感があります。
できることを、できる範囲で。
長期滞在してくれるゲストを優遇しているので、多くの人が1週間ほど滞在してくれます。初日と最後の日に挨拶を交わし、それ以外の日はちょっとした同居人のような感覚。
対応が必要なときは、夫婦のどちらかができる範囲で動くというスタイル。電車アクセスの質問に答えたり、荷物を預かったり、レストランの予約を手伝ったり。友達の手助けをする感覚で、無理せず出来ることを出来る範囲でやるというスタンスが、この家のリラックスした雰囲気を保ち、結果としてゲストにくつろいでもらえる環境に繋がってるのではないかな、と思っています。
ちょっと余裕があるときは、たとえば記念日の滞在と聞いてお花屋さんで簡単なブーケを用意することも。「喜んでくれたら嬉しいな」という、おもてなしの心を発揮する機会が日々のなかにあることが、なんとなく生活に優しさをもたらしている気がします。
さいごに
家をライフスタイルに合わせて、柔軟に楽しむ。
もともとは「住んでいない間だけ貸せる家」というコンセプトで始めたこの生活ですが、結果として「住みながらも貸し出す家」という形に落ち着きました。
これから先の未来のライフスタイルは、正直まだわかりません。子どもが大きくなったら、貸しているスペースの一部を子ども部屋にするかもしれないし、逆に長期で家を空けるときは、家全体をまるごと貸し出すようになるかもしれない。
ライフステージや気分に合わせて、私たちらしく柔軟に形を変えていければいいなと思っています。
「具体的にどうやって立ち上げたの?」「知らない人を家に上げるの、大丈夫?」「ほんとに会社員と両立できるの?」など、今回で書きれなかったことは、ゆくゆく書いていきたいと思ってますので、どうぞお楽しみに◎
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