空腹は最高のソース
◆健康は食事管理から
我が家の飼い犬、ミニチュアダックスフンドのシモンは、好きな時間に食事をしているようである。だらだらと食べ、ドッグフードがいつまでも食器に残っていることがある。
盲導犬の場合、食事管理も厳しい。朝夕の二食である。太りすぎるとフットワークが悪くなる。また、種々の病気にもかかりやすくなるからだ。
当初、毎回120グラムと、訓練士から指示されていた。それをきちんと守った。体重は22キロ台で推移していた。
◆うれしい増量
県内の盲導犬が、一堂に会する機会があった。
「エヴァン、痩せてますねえ」
何人かから聞いた。
県内には六頭の盲導犬がいるが、言われてみれば、みんな存在感がある。そんな中で、エヴァンは顔も小さく、背骨が手ではっきりと確認できた。
動物病院へ、定期健診に連れて行った。健康面に何ら問題はなかったが、少し食事の量を増やしては、と言われた。訓練士に相談したところ、130グラムに増量することになった。
効果はてきめんだった。体重は24キロに増え、体にやや丸みを帯びてきた。
◆空きっ腹を抱え
考えてみれば、かわいそうなことをした。なかには、盲導犬におやつなどを与えていたユーザーもいたのだ。
一方で私は、ドッグフードの量を厳格に計量していた上、執筆が乗ってくると、ついエヴァンの食事時間さえ忘れてしまうことがあった。
先日も、クーンクーンと哀れそうに鳴く。夜の七時半を過ぎていた。
こんな時に気づかなければ、実力行使に出る。パソコンに向かっている私に、前足でちょっかいを出す。やがて「もう、我慢たまらん」とばかりに、のしかかってくるのである。
いつも腹を空かせていたのか、目を盗んでは、シモンの残したエサを食べに行った。ある時など、福島の友人から贈られたデラウェアの高級品をやられた。
散歩から戻り、私が玄関でもたもたしている隙に、テーブルに一目散、ガブリとくわえている。味見はしていたから良かったものの「おいしかった。ありがとう」などと、嘘をつくはめになるところだった。
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