壺算で150円あったのに50円のアイス二つしか買えない謎を解く
150円持っていって50円のアイスクリームが二つしか買えなかった。
そういうことって起こりうるでしょうか?
それを可能にするのが、壺算です。
壺算は元々は落語の演目。
極々簡単に要約すると、
(1)千円の壺と二千円の壺がある。
(2)客が千円の壺を買って帰ろうとする。
(3)思い直して二千円の壺にしようと交換する。
(4)店員が、あと千円払って下さい、という。
(5)客は、最初に壺の代金千円を支払った、今、千円の壺を渡した、あわせて二千円と言いはる。
(6)店員も訳が分からなくなり結局騙される。
こう書くと、騙されそうもないのですが。
落語では最初に壺を買う際に値切ったりして複雑にしています。
で、冒頭のアイスクリームの件ですが。
ご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、漫画「ドラえもん」に出て来るエピソード。
のび太がアイスクリームを二つ買います。100円のと50円のをひとつずつ。
ドラえもんとのジャンケンで、勝った方が100円のを食べるかわりに、店に買いに行くという設定。
帰り道、のび太はジャイアンに遭遇します。
取り上げられるのかと思ったら、
「店までいくのが面倒だから」と、50円払って、のび太から50円のアイスクリームを受け取ります。
その直後、ジャイアンは
「やっぱり100円のにする」といって、50円のアイスを返して100円のアイスをもらいます。
のび太が、
「あと50円ちょうだい」というと、ジャイアンはこういうのです。
「最初に50円渡したな?今、50円のアイス渡したよな?50円と50円でいくら?」
のび太は心の底から嬉しそうに、「100円!」と納得。
それで50円のアイスクリームを二つ買って帰り、
「150円持っていったのに、どうして50円のアイスクリームしか買えないんだ」
とドラえもん。
のび太は、
「ぼくも初めは変だと思ったんだ、ドラえもんも頭よくないね」だとさ。
実は、ドラえもんの「150円持っていったのに」のセリフがないと理解出来ませんでした。
大人になってから読んだのに!
壺算は金銭トリックの名作といえましょう。
文章にするとともかく、耳から聴く落語では、分かっていても錯覚しそうになる。
少女漫画家の魔夜峰男さんも「パタリロ!」で使っています。
こちらはオリジナルの壺算に近く、やり口もちとあくどい。
ドラえもんバージョンの壺算の方が、児童向け漫画である点と、その後の展開がメインであるためにシンプルで分かりやすくなっています。