五箇山を楽しむ(菅沼集落)

2023年11月24日(金)
T2G計画第三日目の後半の後半(4分割?)は、五箇山の菅沼集落です。旅行記が長くなりすぎて、今年中に終わるのか不安になりますが、まあ忘れてしまうよりはいいや。

上梨から菅沼集落まではバスで6分(14:47→14:53)です。バス停「菅沼」で降りると、すでそこは別世界の趣が漂います。上梨にも合掌造りの建物があるとはいえ、全体的には近代化されているんですよ。「近代化」というとおかしいかもしれませんが、現代の建物が多く、その間に合掌造りが建っている感じ。

それに対して、菅沼集落は合掌造りの家ばかりが立ち並び、あたかもタイムスリップしてきたかのような景色でありますよ。

まあ実際には金属製の屋根の建物もあったんですけどね。
例えば、これはカフェとして使われている建物。家本体は木造で古そうですが、屋根は鉄板です。ただし北海道には見られない形をしています。上部が薄い刃物のように立っています。

これは「雪割り瓦」を応用した形だと思われます。雪割り瓦とは、積もった雪がその重みで屋根の両側に割れて自然に落ちるようにしたもの。高岡で見学した「菅野家住宅」のガイドさんに教えていただいた知識が活きました!(間違っているかもしれないけど)


ともあれ、そういう別世界感の強い中で異彩を放っていたのが「エレベータ」の看板です。
「……エレベータ? いったい、どこに?」と思うでしょう。
集落の奥にトンネルがあって、そのトンネルを通って合掌の里へ行けるそうです(時間が足りなかったので、行きはしませんでしたが)。
その地下トンネルから、展望スポットにあがるエレベータがあるらしい。こんなひなびたところに、本当にエレベータがあるのかしら……。ああ、いかにも手作りっぽい(と記憶しているが写真を撮ってない!)看板を辿ってだんだんと山奥に入っていきます。折からの雨で道が悪いので、側溝の蓋(コンクリート製)の上を歩きますが、山の斜面を流れてくる水で押し上げられたりして、足元の不安も大きくなります。

半信半疑で歩き続けると、ふいにトンネルのが口を開けていました。まるで地獄へと続くトンネルみたいですが、これが展望エレベータへの入り口です。

と、ここでGoogleストリートビューを発動してみました。季節は夏みたいですが、折れ曲がった棒に設えられた「エレベータ」の看板が確認できます。手作りっぽいということはなかったか。記憶違いでした。

看板の右に伸びているのが、前述の側溝とその蓋。そしてこの道にはストリートビューカーが入れませんので、トンネルの入口は確認できません。

太い道を先に進んだところの画像が下の写真。左上、赤い矢印の先にあるのがトンネルの上端です。
ちなみに写真の中央にあるゴツい建造物は、右手にかかっている吊り橋のケーブルのアンカーです(ケーブルとアンカーの関係や吊り橋の構造は、自分で調べてください)。


入り口にはこんな案内板がありました。

トンネル内は吸音板が貼られていて、足音や声が変に反響することがありません。トンネル内の反響音は、時には不気味ですからね。
数分歩くとエレベータが本当にありました(ウソを書いているはずはないのだが)。エレベータのそばに、そこから合掌の里までと菅沼集落の距離(所要時間)が書かれた案内板もあったのですが、これも「しまった、写真を撮るのを忘れた!」ですよ。

エレベータを上がった展望スポットからは、こんな景色が眺められます。

だんだん、菅沼バス停方面に下っていくと。

こんなふうに景色が変わっていきます。


展望スポットはバスが通る道を百メートルばかり先に進んだ場所にあるのですが、「雨だから、よしとこうね」としておいてよかったです。エレベータで行けるんですもの。

ふたたびエレベータでトンネルにもどり、菅沼集落に入りました。

中でも、この景色が一番のお気に入りです。

季節的に田んぼがあまり美しないのは仕方ありませんが、山を背景にしたニ軒の合掌の里の家。絵に描いたような長閑な風景です。実はこの田んぼの手前に、「とやまビューポイント」というプレートが設置されており、「ここからの景観は県民の貴重な財産です」と記されています。いい眺めだな、と思ったらやっぱり!


※「とやまビューポイント」のプレート(これは瑞龍寺の前にあったもの)

そんな感慨にふけっているうちに、上梨に戻るバスの時間(16:31)が近づいてきました。この日の富山県南砺市の日没は16:39ですので、ずいぶん暗くなってきました。そろそろ引き上げの時間です。名残は惜しいですが、菅沼集落を後にしました。

と、そこで前方から欧米人のカップルがやって来ました。すれ違いざま、女性がにこやかに「コンニチワ」と声をかけてきました。ぼくも「コンニチワ」と返しましたが(何故かカタコト調で)、別にそれ以上の会話に発展することもなく、彼女としてはせっかく覚えてきた日本語の挨拶を試したかったのでしょう。

どうでもいいけど、もう暗くなるよ?
ライトアップなんてないけど、観光するなら急がないと暗くなるけど?

振り返ってみると、ふたりは別に急ぐようで慌てるようでもなく、楽しそうに集落に入っていきました。その後ろ姿は、ごく自然に合掌造りの家々に吸い込まれるかのようでしたよ。

というのは、創作ですけどね。