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日本猫島探訪―愛媛県・青島の猫たち―

大好評の猫島探訪企画で今回お邪魔したのは、瀬戸内海に浮かぶ島民がたった5名だけの愛媛県・青島。いま暮らしている猫たちは6年前に全頭不妊去勢手術が終わり、島で餌やりをする方とボランティア団体の方、そして一般の来訪者によって支えられている猫たち。車はもちろん、バイクも自転車もない、穏やかな島で暮らす猫たちを紹介します。

島民がたった5人しかいない「青島」。

瀬戸内海海上に位置する、愛媛県大洲市にある青島。最盛期には900人近くいた人口も、今では5名にまで減っている。自動車はもちろん、バイクや自転車もなく、島唯一の二輪車はリアカーというのどかな島だ。現在暮らしている島民は5名だが、猫はその10倍以上の70〜80頭いると言われている。

青島を訪問するにあたって、今回は『青島猫を支援する会』代表の瀧野起一さんに話を伺った。「猫たちの餌やりは、島在住の直子さんご夫婦が毎日行っています。エサやり箇所は2箇所で、直子さんのご自宅の前と、少し歩いたところにあるエサ場です。猫のエサやり場に関しては猫目当てで来られるお客様にも利用いただけるところになっています」。

島に住む80頭弱の猫たちは、すべて不妊去勢手術が終わっている。「6年ほど前に、島に住む猫たちの不妊去勢手術を全頭行いました。そのため、今いる猫は一番若くて5〜6歳の年齢です。全体的に高齢化してきており、できる限りのケアは行なっていますが、必ずしも状態がいい子ばかりだけではありません。島に来る際には、その辺りも留意していただけると幸いです」と瀧野さんが続ける。

ボランティアの人たちに支えられる猫たち。

撮影で島に伺った日も県内だけでなく、京都や大阪など全国各地から『青島猫を支援する会』の方々が支援に訪れていた。「10年以上前から活動を始め、定期的にボランティアメンバーが訪れています。ヘアカットやノミダニ駆除の薬を塗ったり、爪切りや目薬をさすなど、やることはさまざま。今日も緑色の印が付いている子たちは、ノミダニの薬を塗ったというマークです」

「島に来始めた12年ほど前は、船着場に着くと猫たちがワーっと寄ってきて、間違えて踏んづけてしまうくらいいたんです。当時はエサの供給も行き届いていなかったので、『エサくれ、エサくれ!』という感じで、来訪者の方にも寄っていっていました。飢えた状態だったんだと思います」

 活動を始めるようになって少しずつ状況は変わっていったという。「僕らが通い始めてから、少しずつTNRを行なっていき、これ以上頭数を増やすことがないようにしていきました。またエサに関しても、足りなくならないように『青島猫を支援する会』を通じての支援のお願いなどをしています」。

ブームの時は船に乗り切れないくらいの来訪者数に。

青島が海外メディア等で紹介されるようになって注目され始めた頃は、来訪者が多すぎて船に乗り切れないほどだったという。「青島に来るためには1日2便ある船に乗ってこなくてはなりません。今でも1日10~15人ほどは猫目当ての方が訪れますが、当時は船に乗り切らないほどの人が来ることもありました。青島には車はもちろん自転車もないだけでなく、自動販売機やコンビニ、飲食店などは一切ありません。いらっしゃる場合には、その点も理解したうえでお越しください」と瀧野さんは続ける。

また島内には、一般の方々は入れない区画もある。「島の人たちが暮らしている居住地区は一般の人が入れなくなっています。立ち入り禁止になっている箇所には、その旨が記載されているためご了承いただけますと幸いです。来訪者の方がメインに訪れるエサ場にも猫はたくさんいるので、エサやり等はそちらでお願いできればと思います」と話す。

今回ヤマト運輸の取材だとお伝えすると、島で暮らす直子さんを始めボランティアの方々も口々に「いつもお世話になっている」と言ってくれた。「先ほども伝えたように島にはなにもありません。そのため、ヤマト運輸さんで送られてくる荷物には本当にお世話になっています。ほとんどの荷物がヤマトさんを通してくるので、猫たちのエサに関してもヤマトさんがいないと始まりません」。

「猫たちは年々高齢化が進んでいます。ボランティアで面倒を見られる範囲にも限界があり、家猫のように全てをケアするのは難しいのが現実です。大なり小なり病気を抱える猫たちも増えてきて、島全体が猫の老人ホームのような感じになってきています。随時支援物資も求めていますので、チェックしていただけますと嬉しいです」とメッセージをもらった。

青島の行き方は……?

青島へのアクセスは、松山空港からリムジンバスでJR松山駅まで向かうところからスタート。そこから、JR予讃線に乗り、1時間ほどで伊予長浜駅へ。徒歩2分ほどの場所に長浜港があるため、そこから定期船に乗って青島へ渡ることができる。

船は午前と午後で、それぞれ一往復ずつ。午前は、長浜発8時の便、午後は長浜発14時30分の便だ。午前の便では青島に停留する時間が10分間のため、猫たちと戯れることができないが、午後の便では70分間停留するため猫たちと十分な時間が過ごせるはず。

もしも午前便で渡って、午後まで島で過ごすつもりであれば食事や飲み物などの用意はマスト。島には屋根付きの場所もほとんどないため、基本的に屋外で過ごすことになることも覚悟していったほうがいい。そして、帰る時には必ずゴミを持ち帰るように。

高齢になってるとはいえ、まだまだたくさんいる猫たち。美しい瀬戸内海の海を眺めながら渡る青島への旅は、忘れられない思い出になるはず。

青島猫を支援する会
https://www.facebook.com/ehime.aoshima

スタッフクレジット:
photo:Yu Inohara edit&text:Makoto Tozuka
Produced by MCS(Magazine House Creative Studio)

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