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松島花さんと考える 未来に繋げる保護猫活動
5月25日は「保護猫の日」。
記念日を通じて多くの人に保護猫について考えてもらうために、今回はご自身のSNSで保護猫や保護犬についての発信を続ける、モデルの松島花さんをゲストに迎え、保護猫の現状から未来についてまで語ってもらいます。つらい現実を見つめつつも活動を続ける原動力や、保護猫活動を始めてから知った実情など、リアルな声をお届けします。
5月25日は保護猫の日。
ホ(0)ゴ(5)ネ(2)コ(5)という語呂合わせから生まれたのが、5月25日の保護猫の日。岐阜県の保護猫カフェが制定した記念日です。この日を通じて多くの人に保護猫がなぜ生まれるのかを考えてもらい、ひとつの命を最後まで大切にする文化を日本に根付かせるために制定されています
動物保護ボランティア活動を始めたきっかけ。
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――松島さんが保護猫や保護犬のボランティア活動を始めたきっかけからお伺いできますか?
もともと私が幼い頃から母が個人的に、地域猫の餌やりボランティアやTNR(野良猫を捕獲して不妊去勢手術を行い、元の場所に戻す)活動をしていた影響があります。日本には地域猫がいたり、殺処分があるという現実を幼い頃から教えられていました。それもあり、中高生の頃はペットショップではなく保健所やシェルター等で保護猫を引き取りましょう、というポスターを動物病院などからもらって、仕事で訪れるスタジオに貼らせてもらったりしていました。当時はその程度のことしかできず、そのあと仕事も忙しくなってしまって、そういった活動からは離れてしまっていました。
――活動を再開されたきっかけはありますか?
私が8歳の時に、母の友人宅で産まれた猫を2匹迎え入れたのですが、そのうちの1匹は20歳まで長生きしてくれて、28歳まで自宅で一緒に暮らしていました。その子が亡くなったあとに、いわゆるペットロスになり、亡くなったあとも家のどこかにいるんじゃないかと錯覚するほど、心にぽっかりと穴が開いてしまったんです。
SNSがだいぶ普及したことにより、Instagramで猫の写真ばかりを見ていました。その中で命の期限が迫っている、保護猫・保護犬たちが目につくようになり、改めて何か自分ができることを始めようと思ったのがきっかけです。
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――Instagramでアニマルアカウントを作ったのは、そのタイミンングですか?
20年連れ添った猫が亡くなったのが2018年の1月で、そのあと4月にアニマルのアカウントを作りました。母にも相談し、中高生の頃よりは私自身がメディアやSNSで発信することで、少しでも拡散できるのではないかと考え、まず自分ができることから始めたんです。
(https://www.instagram.com/hana_matsushima_animal/)
始めた当初は、保健所にいる殺処分の期限が迫っている猫や犬の情報をシェアし、拡散力という面でお手伝いができればと思っていました。最初のうちは無我夢中で拡散をし始めたということもあり、ボランティアの方々からご指摘をいただくことも多かったです。
主な活動内容について。
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――現在はどんなことをメインに活動されていますか?
ボランティアの方々とやりとりを続けるうちに、まずはボランティアさんの元で預かっている猫の里親さんを、1匹でも多く見つけることが最重要だということに気づきました。1匹決まれば、ボランティアさんが新しい猫を助けることができる。つまり1回に2匹助けることができるので、ここに重点を置いていこうと思いました。今もメインの軸はそこに置いています。
当初は殺処分の期限が迫っている子たちの情報を多く上げていたのですが、フォロワーさんの中には見ることができない……という方もいらっしゃって。活動を続けていく中で、皆さんの目に止まるようにするためにはどうするのがベストかと考え、私自身の考えや想いなども少しずつ投稿するようになりました。そうすることで、皆さんが応援してくださるようになったり、力を貸してくださるようになりました。
――実際に現場でボランティア活動されることもありますか?
シェルターにお伺いすることもあるのですが、基本は正しい情報を皆さんに拡散することがメインです。あとはボランティアの方が必要としているトイレやフードなどを支援したり、そういった内容を投稿したりすることですね。迷子猫や迷子犬の投稿や、譲渡会のお知らせをストーリーズでシェアすることも多いです。ただ情報は正確なものなのか、きちんと見極めてからお伝えするように心がけています。
活動を始めてから知ったこと。
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――2018年からこの活動を始めて、そこから知ったことはありますか?
最も愕然としたのは、保健所への持ち込みで一番多いのが飼い主という事実です。その理由も、子供が生まれたらアレルギーだったから飼えなくなったとか、引っ越し先がペット不可だったとか、長期の旅行に行くから、というものばかりで……。命を飼うことへの重みがあまりにも軽く、驚かされました。
あとは迷子猫や迷子犬であっても、保健所では1週間程度しか期限がないこと。飼い主さんが気づかないまま殺処分されてしまうこともある、ということを知りました。また、繁殖猫や繁殖犬という存在も、活動を始めてから知りました。使い物にならなくなったら、処分されるという事実を目の当たりにしたのも、辛かったですね。
続けるうえで支えになっていること。
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――活動を続ける中で辛い思いをすることもあると思うのですが、どのようにして乗り越えていますか?
私の投稿を見たことがきっかけで、保護猫を迎えましたという方や、ボランティアを始めましたという方がいたりして、皆さんのそういった声をいただけることが大きいです。こんな私でもやっていて意味があるのかな、と思えることで、一つ一つを乗り越えてきたと思っています。
あとはやはり、ボランティアの方とやり取りをする中で皆さんが「無理のない範囲で続けてください」という言葉をいただくことも大きいです。自分なりに休憩しつつですが、頑張って続けていこうと思えます。
――メンタル面できついこともあるはずですよね……。
もちろんきついこともあります。けれど、私なんかがそんなことを言っていられないというか。ボランティアさんの中には自分の生活を犠牲にしてまで活動を続けている人もいるなかで、私ができることは続けていこうという気になります。それにしゃべることができない動物たちを救えるのは人間だけ。そう思って続けていますね。
自宅で迎え入れた猫について。
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――松島さんは現在、保護猫を迎え入れて一緒に暮らしているそうですが、出会について教えてください。
私と母がInstagramでフォローしていた個人ボランティアさんがいらっしゃって、そこで見かけたのがきっかけです。ビビビとくるものがあり、ものすごく惹きつけられて会ってみたいと思いました。もともと飼うことになったら、寂しくないように1匹ではなく、相性のいい子と一緒に2匹で飼おうと思っていたんです。それで話を聞いていたら、「最近すごく仲がいいです」と言われたのが、生後3ヵ月くらいの黒猫2匹の兄弟だったんです。これはもう、2匹でも3匹でも変わらないからと思って、3匹受け入れることにしました。
――ビビビときた子は、どんな子なんですか?
ごろりんという名前なのですが、負傷猫として東京都動物愛護センターに収容されていたところ、保護主さんが引き出して治療をし、里親を募集していました。当時、推定6歳と言われていたので、今は推定12歳ほどです。人懐っこい子でセンターの方にもごろごろ、すりすりして、ごろりんと呼ばれて可愛がられていたことから、そのまま名前を譲り受けました。黒猫2匹は民家の屋根裏で野良猫から産まれ、害虫駆除業者の人に山に捨てられそうになっていたところを、ボランティアの方に助けられた猫です。
保護猫を迎え入れるための心構え。
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――松島さん自身も保護猫と暮らしていますが、迎え入れるための心構えがあったら教えてください。
保護犬や保護猫だからって、特別なにかっていうことはないと思います。それまでにどんな環境で生きてきたかで、人慣れしている子もいれば、そうじゃない子もいます。だから、長い気持ちで打ち解ける、向き合っていくことが大切だと思っています。いろんな過去がそれぞれにあるので、当たり前のことですが、一生の家族になるという気持ちが大事。この子の安らげる場所、環境を作ってあげるということが大切だと思っています。
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――動物を飼ううえでは当たり前の心構えですよね。
本当に当たり前のことで、その子がリラックスできて、寝たい時に眠れて、お腹が空いたらご飯が食べられて、喉が渇いたら水を飲むことができる。当たり前の安心を与えてあげる、ということができればいいと思います。人間と一緒で、1匹1匹性格が異なるので、何が好きで何が嫌いで、何で怖がるのかなど、その子のことをいろいろと理解しようとすることで、どんどん心を開いてくれるはずです。だから、保護猫だからという心構えは必要なくて、当たり前のように愛情を注いでいればどんどん可愛くなるはずです。
松島さんが目指す、最終的な目標は?
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――現状だと殺処分ゼロを達成するのは難しいと思うのですが、松島さんが思い描く最終的な未来や目標はありますか?
私の中では、アニマルアカウントがなくなることが理想です。そしてボランティアさんの活動がなくなることですね。それには日本も生体販売がなくなることが目標です。街中のペットショップに、常に子猫や子犬が並んでいることを、疑問に思う世の中になってほしいです。
――そのためにはどんなことが必要ですか?
日本の法律だと犬や猫は、いまだに「モノ」としての扱いになります。この活動をしていると、少しずつ輪が広がっている気がするのですが、不幸な子が出なくなることが、私の願いというか理想です。それには、なかなか大きくて難しい話になってしまいますが、教育で変えていくしかないと思っています。
――具体的にはどんな教育が必要ですか?
私は幸いにも、幼い頃から親に教わってきたけれど、学校などでもしっかりと教えて欲しいですね。だいぶ広がってきてはいますが、保護猫や保護犬、そしてボランティア活動のことなどを知る機会を、子供たちにもっと持って欲しいと思っています。そうすることで、少しずつでも世の中が変わっていくことが目標ですね。
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松島花(まつしま・はな)
モデル。1989年、東京生まれ。11歳の時にスカウトされ、モデル活動をスタート。
数々のファッション誌で表紙を飾り、モデルとして活躍。大手企業の広告やテレビ、
イベントなどにも多数出演し、活躍の場を広げている。
https://www.instagram.com/hana_matsushima_official/
スタッフクレジット:
photo:Yuichi Sakakibara styling:Mayumi Ando(Super Continental)
hair&maku-up:Reiko Ito(SHISEIDO)
edit&text:Makoto Tozuka
Produced by MCS(Magazine House Creative Studio)
服クレジット:
ワンピース¥52,800(TEECHI/info@teechi.jp)ピアス¥ 37,400、ダブルリング¥29,700(ともにRieuk/info@rieuk.com)シューズ/スタイリスト私物