谷干城が語った「平和」と「人権」 三浦小太郎(評論家)
西南戦争時に熊本城を西郷軍の猛攻から死守した谷干城の名は、日本史に興味のある人ならば誰しも知っていることだろうが、谷がそれ以後政治家として、日清、日露戦争に反対したことは意外と知られていないのではないか。しかも谷は、日清戦争が日本側の勝利に終わった後も、講和条約の際、将来の日清両国民の友好感情を確保するためには、『領土割譲』の要求をしない無併合原則の必要なことを力説し、とくに清朝に縁故の深い遼東半島の要求には強く反対した。
さらに谷は、列強が干渉し、日清戦争によって日本が得