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【ノルマ達成のために自腹で買う「自爆営業」はパワハラ】

昔話をしてはいけないが、私がスーパーの社長だった頃、クリスマスケーキの予約獲得数を全社員で競って、たくさん予約を取った店舗や従業員を表彰する恒例行事があった。

ルールは「みんなどこかでクリスマスケーキを買うと思うから、年に一度はスーパーの売り上げに協力してね🙏🏻」と、一人「最低1個」のケーキ購入のノルマを課したことがある。

他のスーパーでは、クリスマスケーキだけに留まらず、丑の日の鰻、恵方巻き、おせちセット、お中元やお歳暮など、いわゆる「イベント」の際、従業員やパート社員に(ほぼ強制的に)商品を買わせる習慣が確かにあった。

上層部もあまり良く無いことだとわかっているため、あからさまに「買わない人は◯◯だ!」とか「給料を貰ってるんだから店で買うのは当たり前」などとは言わないが、その圧は従わざるを得ない雰囲気である。

デパートなども衣料品(スーツや着物)を買わされると聞いたことがあるし、自社の従業員に限らず、断り難い「取引業者」に(お付き合いと言って)買わせるケースも多いと聞く。

話は違うが、保険の担当者が自分や家族の名前で契約したり、銀行員が身内に定期預金や投資信託をお願いすることもある。今なら郵便局員の年賀はがきか。(警察官の「ねずみ取り」のノルマは…不明w)

☝️厚生労働省は、これを「パワハラ」に指定し、ノルマ達成のために従業員自社製品の購入を強いる「自爆営業」の防止に乗り出すことになった。

自腹で購入してノルマを達成しても、直ぐまた次のノルマに追われることになる。頑張れば達成できるレベルなら、従業員を競わせたり、報奨制度等を設けて営業成績を上げることもできるだろうが、大体は早晩会社に居場所がなくなることになる。

それを見越して「ノルマ達成が出来なくなった従業員は使い捨て」の様な状況になり、追い込まれる人も多かった。テレビドラマで、売り上げの棒グラフが一人だけ低くて詰められるあのシーンである(^^;

考えてみればどんな業種でもまかり通ってきたこの「自爆営業」、これが「パワハラ」と認定された今後、どの様になっていくのだろうが?まさかなくなることは考えられないのだが…?

【自社の一番の顧客はそこで働く従業員である】

「買った」のではなくて「買わされた」なら、この解釈(教え)は大きく変わってきそうだ。



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