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古事記神話と言霊信仰


興味深い論文を見つけましたので、簡単にまとめてシェアしたいと思います。
この論文では『古事記』における言霊信仰を分析し、特に 言葉が現実を変える力 を持つと信じられていたことを考察しています。主に、①他者に影響を及ぼす発言、②「言挙げ(ことあげ)」という概念に焦点を当てています。

1. 言霊とは何か?

日本古代では 「言葉は単なる音ではなく、現実に作用する力を持つ」 と考えられていました。『古事記』には、神々が発した言葉が そのまま現実を創造し、変化させる 事例が多く記されています。

2. 言葉が幸・禍をもたらす事例

『古事記』の神話には、発言によって 幸福(幸) または 災厄(禍) がもたらされる事例が数多く見られます。例えば:

  • イザナミの呪詛
    「あなたの国の人々を、一日に千人殺す」と発言 → 人間に死の概念が定着。

    • イザナギの対抗
      「ならば一日に千五百人生まれるようにしよう」と発言 → 生と死のバランスが保たれる。

      このように、発言の内容が直接 現実を決定づける ものとして機能しています。

      3. 予言と願望の違い

      因幡の白兎の物語では、傷ついた兎がオホナムヂ(大国主命)に「あなたこそがヤガミヒメと結ばれる」と語ります。この発言は単なる未来予測ではなく、 「言葉によって未来を形成する」 という言霊的な性質を持つものと考えられます。

      4. 「言挙げ」とは?

      日本では「言葉にすること」そのものが、 慎重に扱うべき行為 とされてきました。『古事記』の中で「言挙げ」を行う場面では、発言が慎重に選ばれ、発言者の意図が強く反映されています。

      慎重な発言の重要性

      →倭建命(ヤマトタケル):「この山の神は、手で直接捕らえよう」と発言 神の正体を誤認し、神罰を受ける。

      つまり、「言挙げ」は単なる言葉の発声ではなく、 世界に影響を与える発話行為 であり、慎重さが求められるものでした。

      5. 現代への示唆

      『古事記』の言霊信仰は、単なる神話的概念にとどまらず、 言葉の影響力 という点で現代にも通じる示唆を含んでいます。
      現代心理学でも 自己暗示やポジティブ・アファメーション(肯定的な自己宣言) の効果が研究されており、言霊信仰の思想と重なる部分があります。

      ※本投稿は、岸根敏幸(2024)「古事記神話と言霊信仰(後編)」(福岡大学人文論叢49巻3号)を参考にしています。

      6. 「名前」にも言霊が宿る?

      私たちが日々使っている 「名前」 も、音や響きに特別なエネルギーを持つと言われています。
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