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本仁田山
月の最終日が土日だとうれしくなる。
山に登り、一新した自分に生まれ変わって次の月を迎えるからだ。
晩秋と初冬に揺れる11月30日(土)。令和元年の55座目に選んだのは奥多摩にある『本仁田山(ほにたやま)』
標高1224m。「奥多摩富士」という愛称もあるピラミダルな山。奥多摩駅から30分も歩けば登山口に着くことから人気は高い。
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この山の名物が大休場(おおやすんば)尾根。
鷹ノ巣山の稲村岩尾根、三頭山のヌカザス尾根と並ぶ「奥多摩三大急登」と言われている。
朝5時40分、始発の混雑から1本遅らせ、大久保駅に独り立つ。念のためチェーンスパイクと熊撃退スプレーをザックに詰めて準備万端(両方使わなかったが)。
立川で青梅線に乗り換え、ここから1時間ちょっとで奥多摩駅。すぐに眠りについたが、軍畑駅で強烈な朝日に起こされる。
目覚めると、そこは登山靴と大きなザックの猛者のみのクライマー列車に一変していた。どうやら自分が一番軽装らしい。
7時40分、奥多摩駅。ここから2.3キロ先の登山口を目指す。終わりなのか始まりなのか、少し紅葉が色づいている。30分で登山口である安寺(あでら)沢へ。
山に入る前から沢沿いというのは記憶にない。民家が登山口というのも面白い。
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おいおい、ここを登るのかよ!?というガレ場。高揚感が増してくる。
というのはフェイクで、きちんと歩きやすい登山道がある。しかし、遭難癖のある自分は分かりやすい目印に気づかず、ガレ場を直登。同じく遭難した単独クライマーと鉢合わせ、ルートを間違えたことに気づいて引き返す。
樹林と急登。いい感じの勾配だ。三大急登の名に恥じない。
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晩秋の山色が苦しさを紛らわしてくれる。いつの間にか急登に来るとクライマーズハイに陥るようになっていた。令和元年の一番の変化だ。
大休場尾根はアップダウンが一切なく、ひたすら上を目指す。まるで富士山。奥多摩富士の真実はここにある。急登が好きにな人はおすすめ、嫌いな人は絶対にやめた方がいい。登る人を選ぶ山。
山頂へ導くビクトリーロード。最後の最後で急登がギアを上げてくる。2時間足らずで1000m以上を登ってきた。奥多摩ブルーが見えたら、もうそこは本仁田山の絶頂。
スカイハイ。とんでもない至高のご褒美が待っていた。奥多摩富士から本家に愛を込めて。
なんと神々しく、妖美なフォルム。日本の峰々は富士山を眺めるためにある。いつまでも眺めていたいが、午後から仕事。大休場尾根を下る。
これほどの急登だ。登りの「困難」から「危険」の下山に変わる。2度ほど滑って尻餅をついた。
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鷹ノ巣山の美しき山容。奥多摩富士の名誉は、この山にこそ相応しいかもしれない。仕事がなければ1day 2 summitしたかった。
下山後のヤマ飯は柳小路にある、そば処『おく』。奥多摩駅から100mほどで徒歩1分。昔ながらの田舎せいろ(1000円)に、本わさび(300円)を追加。
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擦っている間も涙が出て、たっぷりon the 蕎麦するからたまったものではない。しかし、この強烈なワサビこそ奥多摩の洗礼。Welcomeフード。
蕎麦に舌鼓を打てば、あとは登頂の儀。
奥多摩駅の2階にある駅カフェ。店員さんに聞くと3年前にオープンしたらしい。
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次に奥多摩に来るときは鷹の巣山。奥多摩三大急登をコンプリートしたとき、どんなクライマーになっているだろうか。