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Now and Forever〜第57回スーパーボウル
古今東西すべてのスポーツのgoat(史上最高のアスリート)であるトム・ブレイディが45歳で引退。ひとつの時代が終わり、紡いできたNFLの神話は二回り近く下の世代に受け継がれる。両チームのQBは24歳と27歳。合計すると史上最も若いQB同士の対決となった。ブレイディの次の時代を担うQBが27歳のパトリック・マホームズ。
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Kansas City Chiefsをリーグ優勝に導き、プレーオフも勝ち抜いて最終決戦に牽引してきた。ここ4年で3度目のSuper Bowlは異常。特に今季、絶対的エースだったレシーバーのタイリーク・ヒルが移籍したにも関わらず、QBとしての自己記録を更新。野球の世界には大谷翔平という宇宙人がいるが、NFLではマホームズが常識を覆している。
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対するは自分が20年以上も応援しているPhiladelphia Eagles。2008年には弟とフィラデルフィアを訪れレギュラーシーズンを観戦した。チームの戦力では Chiefsを上回るが、アメフトはQBがすべて。果たしてマホームズを止められるか。これほど楽しみなSuper Bowlは2005年に進出したとき以来。
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2月13日(月)朝8時。社会人になって17年間、Super Bowlの日は仕事を休んでいる。移動祝祭日。観戦というより感染。新宿は悪天候の予想だったが、Super Bowlの開幕を祝うかのように雨が昼まで待ってくれた。新宿区役所の隣のビル8階『エレファント・ラウンジ』に入る。2年前の緊急事態宣言下、ほとんどの店が休業するなか、ライブビューイングを実施してくれた数少ないSports bar。あれ以来、新宿の聖地のひとつになっている。
2年前は60席の店内に20人もおらず、隣の席同士の間隔を空けていた。今年は40人以上が集結。外国人グループも3組ほどいる。それにしても日本人は意思表示をしない。9割が黒い服を着ている。アメフトのファッションをしているのは自分以外には外国人くらい。Super Bowl観戦のドレスコードをわかっていない。せっかくの大舞台にふさわしい正装してほしい。
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Super Bowlは「スーパーサンデー」「アメリカの首都が変わる日」と言われ、アメリカで最もピッツァが売れる日。コーラにポテト、パセラチキンを注文する。腹が減っては戦はできぬ。観戦代3,000円と注文代1,940円を入れて4,940円。外の寒さのように厳しいお財布に大ダメージだが、祝祭日にケチを言ってられない。その代わり今日は昼飯も晩飯も抜きだ。
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試合前の国家独唱でEaglesのヘッドコーチであるニック・シリアニが感極まる。監督2年目にしてチームをSuper Bowlに導いた名将。いかにプレーオフを勝ち抜くのが難しいか、今どんな舞台に立っているのかを一粒の流星で物語る。20年間、ずっとこんなヘッドコーチを待っていた。
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8時45分キックオフ。最初のドライブはEagles。勝敗の鍵を握るエースQBジェイレン・ハーツは晴れ舞台でも実力を発揮。今シーズンのEaglesの代名詞、アンストッパブルのQBスニークを発動。前半を終わって10点差リードに広げる。
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このままEaglesに栄冠が来るかと思われたが、その勢いを逆流したのが、やはりトム・ブレイディの伝説を受け継ぐパトリック・マホームズだった。オフェンスコーチの華麗なる作戦がハマり、ラインマンたちが見事な守衛の仕事をしてくれたことで、キャッチボールのようにパスをヒョイヒョイ通す。史上最強に近いEaglesのディフェンスは面目丸潰れ。別のチームのように何も機能できなかった。
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あっという間の鮮やかな逆転劇。Eaglesオフェンスが踏ん張り、終盤には同点に追いつくも、形勢を逆転するだけの力はない。わずか3点及ばずの惜敗。この点差だからこそ「たられば」の無数のifが頭をよぎるが、敗北に受け身を取るしかない。来年以降この悔しさを晴らす楽しみも生まれる。
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Super Bowlに負けたチームは翌年に帰って来れないジンクスがある。しかもEaglesは攻撃、守備の両コーチの離脱。優秀であるがゆえに他チームの監督として引き抜かれた。素晴らしい循環だが、Eaglesがチームの骨組みを再建するには数年はかかるだろう。NFLは毎年のようにチームの住民票が入れ替わる。完成したものをすぐに解体してしまう砂曼荼羅の世界。ゆく川の流れは絶えずして元の水にあらず。
このチームはNow(今)しかない。それがNFL。だが今しかないからこそ、Foreverになる。今年もSuper Bowlが地上で比類なきスペクタクルであることは永遠の胸に刻まれた。どのチームが争おうと来年もここ『エレファント・ラウンジ』に帰ってくる。
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