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滑稽 古代中国の洒脱な弁舌家たち

「滑稽」という言葉がある。ネガティブな意味も含めて「おもしろい」さまを表す言葉だが、当初、中国においては「弁舌さわやか」なさまを表した。初出は『楚辞』と思われ、司馬遷の『史記』や揚雄の『法言』などに見られる。司馬遷は『史記』に「滑稽列伝」を設け、弁舌でもって身を立てた偉人を顕彰しているが、彼らの多くは諧謔で人を諫めることを得意としており、比較的古い段階からユーモアやウィットを含有していたようである(ただし、元来の「滑稽」にユーモアやウィットの意味は含まれていない)。
『史記』「滑稽列伝」には淳于髠、優孟、優旃の3人が取り上げられており、後に東方朔、西門豹らが追記されている。本稿では滑稽の代表例として淳于髠、西門豹、東方朔を取り上げたい。

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