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世界奇談集 第5話 地図から消えた村
かつて青森県の山中に、杉沢村という村があった。昭和の初期、「一人の村人が突然発狂し、村民全員を殺して自らも命を絶った」という事件が起きた。誰もいなくなった村は、隣村に編入されて廃村となり、地図や県の公式文書から消去された。しかし、その廃墟は悪霊の棲み家となって現在も存在するという。
この伝説が流行した時期、「村への道筋を示すキーワード」とされるものが各種メディアで伝えられた。諸説あるが、概ね次のようなものである。
①村へ向かう道路に「ここから先へ立ち入る者 命の保証はない」と書かれた看板がある。
②村の入口に朽ちた鳥居があり、その根元にドクロのような石(もしくは岩)がある。
③奥へ進んでゆくと廃墟と化したかつての住居があり、その内部では事件の惨劇を物語る血痕のようなものが多数見受けられる。
この伝説はインターネット上で話題になり、「杉沢村」を調査・捜索しようとする廃墟マニアやオカルトファン、または「肝試し」目的の者が現れ、各々の冒険譚がインターネットなどで公開された。
2000年8月24日放送のフジテレビ系バラエティ番組『奇跡体験!アンビリバボー』の特番で取り上げられたことで全国的に広まった。同番組では数回にわたり「杉沢村」の特集を行ったが、最後まで村の正体は分からず「杉沢村は時空の歪みの中に存在し、現われたり消えたりする村である」と結論づけた。
1953年12月12日には青森県中津軽郡新和村(現:弘前市)の小友地区にて一家7人が猟銃で射殺される事件(青森県新和村一家7人殺害事件)が発生したが、斎藤充功・石川清は同事件が「杉沢村伝説」の由来になった説を指摘している。また、並木伸一郎は「同事件は津山事件(1938年に岡山県で30人が殺害された事件)を連想させるものだったため、2つの事件が混同されて都市伝説の下地になった」と指摘している。このほか、森村誠一の小説『野性の証明』に登場する「大量虐殺事件が起こった岩手県の『風道』という集落」のモチーフがこの伝説である、とする説もある。
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