黎明期のSF小説をめぐって
SFの創始者と言えるジュール・ヴェルヌとハーバート・ジョージ・ウェルズを比較すると、作品の「SFらしさ」という点ではウェルズに軍配が上がる。しかし、科学的知見に基づいた内容の小説を多く書いたのは、実はヴェルヌの方で、初期の『地底旅行』『海底二万里』『月世界へ行く』などは全て当時の科学で明らかになっていた知見のみを使って書かれている。ウェルズのほうはSFのうちS(科学)ではなくF(空想)のほうが強いようである。
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