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世界奇談集 第10話 ヴェルサイユ宮殿でのタイムスリップ事件

1901年8月10日、社会的にも優れた立場にある教養の豊かな女性2人が、フランスにある世界遺産のヴェルサイユ宮殿でタイムスリップを体験している。
ヴェルサイユ宮殿で不思議な体験をした主人公は、シャルロット・アン・モーバリーとエレノア・ジョルダンという2人の英国人教師。優れた家柄に生まれ、質の高い教育を受けて、名門校のカレッジにおける学長になった、社会的に信頼される人物たちである。シャルロット・アン・モーバリーは当時オックスフォード大学のセント・ヒューツ・カレッジ(学寮)の学長(学寮長)。エレノア・ジュールダンは教科書の執筆にも参画するような人物で、ヴェルサイユの「事件」後には同カレッジで副学長、後に学長になっている。
2人は当時、旅行でフランスに滞在していて、8月10日には初めてヴェルサイユ宮殿を観光で訪れたという。その時点で彼女たちは特にヴェルサイユ宮殿について深い知識を持っていなかったと言う。彼女たちはまず宮殿の中を見て回り、ガイドブックを頼りに宮殿正面の庭に出て、トリアノンパレスにある小トリアノン宮殿を見ようと散策を開始した。小トリアノン宮殿はルイ15世が公妾・ポンパドゥール夫人のために建設したものだが、完成前にポンパドゥール夫人が亡くなったため、ルイ15世は次の公妾・マダム・デュバリに小宮殿を贈り、ルイ16世は小トリアノン宮殿をマリー・アントワネットに贈った。

ヴェルサイユ宮殿の庭園。写真はHISホームページより。

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