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火をつける、タイミングを窺う

深い深い穴を掘りたいと思っていても、
同じ場所を掘り続けるだけでは、おそらく難しい。
深く掘るには、その分広く掘る必要があるのだ。
自分にはどちらもまだまだ足りない。

振り返って逆噴射小説大賞のライナーノーツ的なものを書こうとして、書いて、やっぱり消してしまった。

ここ最近書きたい事が山のようにあるけど、
どれも言葉にすると、酷く頼りなく感じる。感情や訴えるもののエネルギーが不足しているのかもしれない。
美しい景色 とは一体なんの事を言っているのか、何をもってそう感じたのか、描かなければいけないはずなのに 言葉がまるで出てこない。

新しくプロットに向き合っても 要領を得ない、考えがまとまらない。
どうして彼女は死ななければならなかった? その涙の理由は? 考えを巡らせ、メモを取り、後から見返しても、こんなものは世の中にありふれた凡庸なものだと嘯く自分がいる。

本当に書きたいことは何なのか?
書こうとする自分に向き合っていると、暗い夜道で顔を覆い、前後も分からず歩いている気分になる。
ずっと同じ場所に居て、声が一層大きく聞こえる。
そういう自分を張り倒して、狂ったように、書くしかないのは分かってる。

書くことで、自分もまだ知らないなにかが分かるかも知れない。
そう思ってのたうち書いている。もっと違う場所に連れて行って欲しい。薪をくべ火を絶やさないでいたい。
なにか出来たら唐突に公開するかもしれない。


ここからはいつもの

■最近読んだ本

サージウスの死神 / 佐藤究
クジラアタマの王様 / 伊坂幸太郎
短編集富士山 / 平野啓一郎
たゆたえども沈まず / 原田マハ
板上で咲く / 原田マハ
白夜 / ドストエフスキー
三行で撃つ / 近藤康太郎
黄色い家 / 川上未映子
贖罪 / 湊かなえ


短編集富士山の二編目、息吹が個人的に最も好きな作品。他の四編と比べると圧倒的に長いのだけれど、この長さや冗長的な部分によってゆっくりとした揺らぎが入り込んでくる。かき氷の細部のディティールも、そういった質感を伴うからこそ信じるに値する風景になる。
読み終わったあと、暫く茫然として、一体いつからと問いが残った。

最初の富士山に始まり、ストレスリレーで終わるこの構成も読み終わった後の余韻も相まってとても心地良い。

たゆたえども沈まず
タイトルと星月夜のイラストが強烈に焼き付いていたけど未読でした。
ゴッホとテオ、二人の人生は知っていたので。既に知っている人の話を敢えて?読まなくてもねぇ?と思って避けていました。
平身低頭謝罪します。読み始めたら最後、寝る間を惜しんで読んでしまいました。翌日は寝不足で最悪の体調でしたが満足です。
虚実入り混じりながら、哀しい物語だけどそれを越える熱量と深い愛情がひしめいている。こんな風に描けるのはどうしてだろうと、経歴を知って納得。愛ですよ。今までほんとうに勿体ないことをした。
板上で咲くも続けて読破。たゆたえども沈まずを読んでからがおすすめ。
新宿にあるSOMPO美術館へ行き、ゴッホのひまわりを日本で見る事が出来る喜びを味わいたいと思う。

黄色い家
とにかく重厚な人生の一部を確かに共有し垣間見た。
600頁越えの長編は安易に手を出しずらい、
内容的にも重く苦しく、部分的に読み進めるのが非常に辛かった。
特に主人公の花の目線で、なぜその選択をしてしまうのか、もっと方法があるのではないかと 憤りを感じる部分があったのは事実、それを乗り越えて読ませる力がある文章だった。
もっと悲惨な事を描こうと思えば描けただろうけど、最後までたどり着くための絶妙な塩梅だったのではと思う。

母親や黄美子さんたち大人の弱さと、それでもと生きていく悲しさと寂しさみたいなものが 深い所に刺さって残り続けている。
テレビを見ている光景や、膝を抱えて座る仕草、難しい事は分からない、成立しない会話、日々の時間の積み重ねが、ところどころ、自身の記憶にも紐づき揺さぶられ、母親の最後や残していったものに泣いてしまった。
普通に生きてどうやったらこんなものが書けるのだろう。打ちのめされた。


本当なら全部の感想を書きたいところですが、
時間的な問題もあって絞りました。
三行で撃つについても、打ち込まれた二五発の弾について書かなければと思いつつ別の機会に。

サージウスの死神で仙崎が残したメッセージの 「俺は消えるよ。でも勝つってどういうことなんだろうな?」という場面が何故か頭に残っていて、別の本を読んでるとふいにその場面が結びついたりして、色んな本の連鎖が起き始めていて面白い。最近は読んでると別の言葉や場面が次々に出てきたりしてメモを取ってます。いつか使えるのだろうか。

古典も積んでるのが溜まってて、読まないとですが、読みたい本が多すぎて、、、白夜も最初めちゃくちゃしんどかったなぁ。ああナースチェンカ。
ジョージ・オーウェルの1984や、ドストエフスキーの罪と罰にも触れたりしています。なんでこう暗く重いものばかり選ぶのか。

ずっと本を読んでいたいのですが、本を読んでいるとその日は全く書けなかったりしてnoteもままならない。
本も読んで創作したりnoteも書いてる人 本当に尊敬する。


家出するとき、人は「にくむ」ことを知っていたはずです。そのエネルギーは失ってはならないということです。

家出のすすめ

にんげんは、中途半端な死体として生まれてきて、一生かかって完全な死体になるんだ

さらば方舟

ちょっとした移動時間で寺山修司の詩集やまとめたものを読んだりもしています。失っていたエネルギー、なるほど、なるほど。。。


ルックバックがAmazonPrimeで配信されました。
一時間あれば見ることが出来る。寝る前にもおすすめな素晴らしい時間の使い方。
映画館と違って、少し冷静に見れました。画面のサイズとか音楽の感じとかもあるかな。

観終わった後、佐伯紅緒さんの記事を偶然見つけて読ませていただきました。いいねの伸びが半端ない。
自分の言葉で言い表せないダメさを恥じ入りつつ、どうしても良かったのでリンクを貼らせてもらいます。あ、読むのは鑑賞後がお勧め。


映画、近いうちなんとか隙間時間ねじ込んでグラディエーターⅡを観てきたいと思います。

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山兎
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