ギターメンテナンス~ネック編~
こんにちは、ギタリストのYamatoです。
先日突如「去年正月期間は毎日記事投稿していたな」と思い出して今年も7日までの記事を書き連ねようと思い、メンテナンス記事を連投しております。
今回は前回書こうと思っていて文字数が増えてしまって書けなかった「ネック」に関したメンテナンスをご紹介いたします!
※前回の記事はこちら
・ネックのメンテナンスをするにあたって。
前回の指板編でもお話ししましたが、ネックも塗装の有無によってメンテナンス内容が変わってきます。
しかもネックやボディになってくると、塗装しているけども見た目や手触りが塗装なしと勘違いしてしまう艶消し塗装(マットフィニッシュ・サテンフィニッシュ)と呼ばれる塗装が施されている場合もあるので、楽器を買うときに店員さんに確認しておいた方が良いと思います。
万が一ネットショップやリサイクルショップ/フリマ&オークションサイトで購入した場合は、ネット上の情報に頼るしかないので少し手間が掛かったり信憑性がいまいちなこともあるのでご注意を!
※個人的な好みのお話ですが、ネックは着色なしの艶消し塗装が手触りもメンテナンス性も好きです。
艶消し塗装を含む塗装ありと、塗装なし(これはめったにないと思いますが…)の違いは指板と一緒で
・塗装あり→衝撃や温度/湿度変化に強い。
・塗装なし→衝撃や温度/湿度変化に弱い。
ざっくりとした特徴ですがこんな感じです。
「塗装なしはデメリットしか無いやんけ!!」とのお声が上がりそうですが、塗装の有無で楽器の音色が変化するのもあり、塗装なしや極力塗膜(塗料の厚み)が薄い塗装を好む方も多いくらい、塗装だけでも3k~4kくらい書きそうなので、そこは割愛します…w
そしてネックの湿度変化(乾燥具合)によって受ける影響は第一に反りです。
指板と違い割れるか否かは、指板材よりも大きなサイズ(木そのものの大きさ)なので滅多に割れることは無いと思います。
ラミネートネック(ミルフィーユみたく木材を何層にも分けて張り合わせている作り、ネガティブな言い方をすればベニヤ合板と同じですw)は組み合わせて(貼り合わせて)いる木材個々の乾燥具合/水分保有率によって、水分を多く含んで膨張している部分と、水分が少なく縮んでいる部分が顕著に表れると、接合部分がズレてしまったりします。
これは値段的にはハイエンド(いわゆるお高いギター)の部類に入るstrandbergの今はなきOSシリーズ(韓国産モデル)に多い現象で、私の所有しているOSシリーズ4本の内2本がこの状態です(これも書いたら長くなるので以下ry)。
ひとまず接合部分のずれは反りに比べると症例が少ないと思うので、ネックの反りについてのメンテナンス方法をご紹介していきたいと思います。
・順反りと逆反り。
いきなりですが逆反り(ぎゃくぞり)って日本語として少し違和感ありません?「逆なら反ってねーじゃん!w」みたいな。
けどネックの特性を理解したら逆反りの言葉もしっくりくると思います。
まずは順反り(じゅんぞり)ですが、弦が上にくるようにギターを置いたときにヘッド側/ローポジション側が高くなって、ブリッジ側/ハイフレット側が低くなっている状態です。
この状態は弦の張力(ちょうりょく)によってネックが引き起こされ(文字通りヘッド側が弦に引っ張られる力によってヘッド側が少し持ち上がる現象)、ローポジションではそこまで違和感を覚えなくとも、ハイフレット(下手したら7フレットとか9フレット辺り)から異様に弦高が高くなり、弦を押さえることが困難になります。
またギターは基本的に開放弦でチューニングを合わせるので、弦高の低いローポジションは問題ないですが、異様に弦高の高いハイポジションは押弦するだけでチョーキングの原理と一緒で音程がややシャープしてしまいます。
なのでローコードで弾き語りなどをされている方だと、この順反りの状態に気が付かない場合も多いかと思います。
※ローポジションの変化が少ないため。
そして今度は逆反りですが、先述の順反り方向に対して逆に反っている状態で、弦が上にくるようにギターを置いたときにヘッド側/ローポジション側が低くなって、ブリッジ側/ハイフレット側が高くなっている状態です。
※この順反り方向に対して逆だと分かれば、逆反りという単語も納得しやすいと思います。
この逆反り状態になると、真ん中辺り~ハイフレット辺りに常に弦がフレットに当たっている状態になり、ビビりやすくなります(まともな音が出なくペキョとかペンみたいな音しか出ない状態)。
そのため逆反りは順反りに比べると、ネックの状態変化に気づきやすいと思います。
そして各方向の反りですが、一般的に夏場などの湿度が高い時期は順反り、冬場などの乾燥した時期は逆反りになりやすいと言われています。
※水分を多く含んだ木材の方が柔らかく、弦の張力に引っ張られやすいそうです。
各季節の反り方向の理屈は「へぇ」くらいの理解力ですが、言われてみれば夏場は弦高が高くなったと感じたり、冬場はビビりやすいという実体験を毎年しているので、原理は曖昧ですが結果は身に染みておりますので多分一般論の説が正しいんでしょうねw
・ネックがどちらかに反った時のメンテナンス。
それでは各季節ごとにネックが微妙に動いているので、弦高をいじった覚えはないのに弾きにくさを感じた時のメンテナンス方法です。
ちなみにネックの反りを調節するのはトラスロッド(ネック調節用のネックの中に仕込まれた鉄棒)を右回り(時計回り)or左回り(反時計回り)に回して調節を行います。
ちょっとした余談ですが、私がまだ10代のギター始めたての頃に通販で買った安価なギターでメンテナンスの練習(というか何をどういじればどう変化が起こるのかの実験のような行為w)をしていた時に、トラスロッドを限界値以上まで回したら、トラスロッドの先端がネックを突き破ってこんにちは状態になりました…w
なので必要以上に回さない限りは大丈夫ですが、最初の内は購入した楽器屋さんや、口コミで評判の工房にお願いするのが賢明かと思います。
その時にスタッフの方とお話をして「この時期はどっち方向にどれくらい回したのか」を聞けるようでしたら確認しておくと、後々ご自身でメンテナンスをする際に役に立つと思います。
などと脅し文句が入りましたが、実際の所そんな難しいことは無くトラスロッドの仕込み位置や慣れによっては2~3分で調節が出来てしまうので、調節が出来るようになると季節の変わり目ごとに足しげくメンテナンスに持ち寄る労力とお金が節約できますので、ぜひ覚えてみましょう。
・順反りしている時
先述の通りローポジションを主に使う方には絶大な影響があるわけでもないので、とりあえず放置しても乾燥時期を迎えたら、自然とちょうどいい感じのネックの状態になっていたりします。
※むしろ夏場に調節をすると冬場にはビビりが発生する可能性が高いです。
そしてローポジションからハイポジションまで、指板上全てを駆け巡るようなギタリストの場合、圧倒的にハイポジションの弾きにくさが感じられると思います。
その場合はトラスロッドを右回り(時計回り)に少し回してみます。
この「少し」の塩梅はギターそれぞれ異なるのですが、一般的には一度に回す量は20度であったり45度であったり90度であったりと様々です。
私の場合は度数ではなく「何となく瞬発的に回した時に止まった量」で一旦様子を見ます。
※いきなりペットボトルの蓋を開けたり閉めたりするくらいの力加減や回転量ではないのでご安心をw
凄い抽象的な書き方ですが「普段回すことのないネジをたまに点検の際増し締めするくらい」の力加減です。
一旦右回しをしてから弾き心地がどれくらい変わったかを確認して、まだ弦高が高いと感じたらまた少し回す、逆に少しビビり気味になっていたら回した量の半分くらいを戻す。基本はこのように回して確認の繰り返しです。
・逆反りしている時
これは順反りの症状の逆なので、トラスロッドを回す方向も逆方向の左回し(反時計回し)で調節を行います。
回す方向は違えど、回す量は順反りの時と同じくらいを目安に回します。
※左回し(反時計回り)はネジを緩める方向なので「ロッドを回す」という表現より「ロッドを緩める」と表現している方も多いです。
中には主語を抜いて「締める」で右回し「緩める」で左回しの表現も多く見られます。
・回転方向の注意!
ここまで右回し(時計回し)or左回し(反時計回し)と書いてきましたが、トラスロッドの回す位置がヘッド側だったり、ボディ側だったりと「回す方向がどっちに回したらどっちにネックが動くのか?」混乱しやすいと思います。
そんな時は指板が天井を向いている状態(机などにギターを表に置いた状態)でトラスロッドの調節位置が自分側(ヘッド側ならヘッドが自分に近くボディが遠くなって、ボディ側ならボディが自分に近くなってヘッドが近い状態)になるように置いてみて下さい。
その状態から右回し(順反りの修理)なのか左回し(逆反りの修理)なのかによって、適切な方向に回しましょう。
・最後に
やはり前回の記事とまとめてしまうと、途中で読むのが億劫になってしまう文字数になるところでしたね…w
ちなみにネックも指板と一緒で、塗装なしの場合は保湿等のメンテナンスも必要になってくるのでご自身がお持ちのギターのネックは塗装がされているかどうか(ほとんどのギターは何かしらの塗装はされていますが)確認しておくと良いかと思います!
明日は2021年お正月投稿ラッシュの最終日!メンテナンス編も大詰め!
ブリッジ/ナット/ペグのチューニングに多大な影響がある箇所のメンテナンス方法をご紹介をしようと思いますので、明日も20時をお楽しみに!!
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2021年1月現在、私はオンラインレッスン&スクールでのレッスンを行っておりますが今年からはスタジオでの対面レッスンも開始いたしました!!
「オンラインではせっかくのレッスンだからどうやって弾いてるのか実際に間近で見てみたい」という方や、ビデオ通話で生じるタイムラグや機材の導入問題で今まで悩んでいた方にご利用いただければ幸いです。
※私はもちろんの事、レッスンを行う施設もきちんと感染症対策を取っている場所での実施となります。
現状で個人で実施しているレッスン料金はこちらをご参照ください。
wixの支払い機能や予約機能がどんな具合で利用できるかまだ未知数なので、もしお支払いをしてもレッスン日について案内が無い場合は、お手数ですがご連絡下さい…
※一応wixからくる通知はすぐ見れるように設定はしているのですが、まだちゃんと機能しているのか不明なため。
それと「こいつのレッスンだと不安だな…」とお考えの方は、小林信一さんが運営しているONLINE MUSIC DOJO内で、私も所属している全国ONLINE GUITAR LESSONには様々な先生がいらっしゃるので、気になる先生を探してみるのも良いかと思います。
2020年10月から、Twitterにてフレーズリレーという企画が開催されたので、「#MusicDOJO #ギター講師リレー #StayGuitarHome 」で検索していただけると各先生の特色が分かるかと思いますので、ぜひ一度検索してみて下さい!