在宅診療における頻回なカテーテル閉塞への対応
こんにちは、やまとドクターサポートの原田です。毎週開催している「15分間医師カンファ」では、現場での気づきや悩みをテーマに、やまとの全診療所の医師が様々な視点から解決策を考える場を設けています。今回は「頻回なカテーテル閉塞への対応」というテーマで話し合いました。
Take Home Message
カテーテル閉塞の原因を多角的に評価し、適切な対策を選択
尿の性状改善(内服薬の見直し、水分量調整)が基本
カテーテルの材質・サイズの変更も有効な選択肢
カンファでの意見
A医師:「90代後半の女性で、脳梗塞後遺症でベッド上の方なんですが、3-4年間カテーテル留置中で、1-2週間で閉塞を繰り返してしまいます。月3回ほどカテーテル交換が必要な状況です。高圧洗浄もしっかり行っているのですが、何か良い対策はありますでしょうか」
B医師:「おしっこがアルカリ性になると沈殿物が増えやすい傾向がありますね。クランベリージュースがよく言われますが、手っ取り早いのはビタミンCです。安価で害も少ないので、使ってみる価値はあると思います」
A医師:「用量について何かポイントはありますか?」
B医師:「私の場合は倍量まで使用したことがありますが、それでも効果がない場合は他の方法を考えます」
C医師:「基本は水分摂取を増やすことですね。飲水可能な方なら、それを第一に考えます。あとは尿バッグの位置調整も大切です。カテーテルが横になっているところや湾曲している部分に沈殿物が溜まりやすいので、なるべくスムーズに流れるよう工夫しています」
D医師:「材質にも注目すべきですね。カテーテルは異物なので、体が排出しようとしてフィブリンなどを析出させます。シリコンとラテックス、材質を変えてみて改善したケースを経験しています。また、プロテウス菌が関係している場合は、尿路感染も含めて短期間の抗菌薬投与で改善することもあります」
E医師:「私の経験では浮腫や心不全の人には利尿剤の使用も検討の余地があります。ラシックス10mgなど少量から始めて、尿を薄くする方法です。むくみ対策にもなりますし」
F医師:「原因追及も大切ですね。エコーで膀胱内を確認することをお勧めします。私の経験では結石が原因で頻回な閉塞が起きていたケースがありました。その場合は泌尿器科での評価が必要になります」
G医師:「内服薬の見直しも重要です。カルシウム製剤やマグネシウム製剤が沈殿物の原因になることもあります。余りにも改善がない人は膀胱漏に変えるという意見も聞いたことはあります。」
実践的な対応のポイント
原因の評価
尿の性状(pH、沈殿物)
内服薬の影響
膀胱内の状態(エコー確認)
基本的な対策
水分摂取の調整
尿バッグの位置調整
高圧洗浄の方法見直し
薬物療法
グランベリージュース、ビタミンC
利尿剤の少量使用
必要に応じた短期的抗菌薬
カテーテルの工夫
材質の変更(シリコン⇔ラテックス)
サイズの調整
留置の見直し
おわりに
A医師は「内服薬の見直しから始めて、カテーテルの材質変更なども検討してみます。在宅でよく遭遇する問題だけに、様々な工夫があることが分かって参考になりました」と締めくくりました。
排尿管理は在宅医療の基本的かつ重要なケアの一つです。今回共有された様々な工夫を、ぜひ日々の診療にお役立てください。
本日の議論が、医療介護の現場での一助となれば幸いです。
やまとドクターサポートの原田でした。