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【2022浦和レッズ】ロドリゲス式3-3-2-2を4局面戦術分析!~2022 J1第14節 VS 鹿島~
どうも。さかりーにょです。
2022シーズンは浦和レッズにとって勝負の年。「リーグ優勝」を目標に定め、名門復活を期した3年計画の3年目であるが、煮えきらない試合が続きここまで6試合連続のドロー。
今回は、そんな「勝ちきれない」浦和レッズが抱える課題とロドリゲス監督が志向する3-3-2-2戦術を2022 J1第14節 VS 鹿島アントラーズの一戦を基にサッカーの4局面に沿って分析していく。
2022 J1リーグ第14節 浦和レッズ VS 鹿島アントラーズ
スタメン、スタッツは以下の通り。
スタメン
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スタッツ
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ロドリゲス式『3-3-2-2』プレーモデル
“ポジショナルプレーによる立ち位置を重視した攻撃と素早い切り替えによるアグレッシブな守備の遂行”
これが浦和レッズを率いるロドリゲス監督が描く理想図である。
これを実現するために、攻撃面では立ち位置を細かく定めて細かなパスワークで前進。守備面では素早くボールを回収するために「切り替え」を追求し、激しくボールを奪いにいくことを求めている。
局面①:攻撃分析
“GKから丁寧にボールをビルドアップしてゴールを奪う”
そんな理想とする攻撃を実現するためにロドリゲス監督が重要視する項目が攻撃時の選手の立ち位置である。
具体的には、攻撃時と守備時で選手の立ち位置を変える可変システムを採用している。
攻撃時の配置<3-2-2-3>
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攻撃時の特徴は以下の通り分析。
a) 2列目からの飛び出し
ユンカーに楔のボールが撃ち込まれるタイミングをトリガーにして2列目の選手がサードマンラン
ニングを仕掛ける。特に33番の江坂任選手の飛び出しから多くの決定機を創出する。
b) ライン間でのボールの引き出し
浦和のポジショナルプレーの特徴はライン間でボールを受けてファイナルサードの崩しに繋げること。特に、14番の関根貴大選手と33番江坂任選手が相手の中盤とディフェンスラインの間でボールを引き出し、前向きでファイナルサードに向かって前進するシーンを作り出していた。
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c)デザインされた立ち位置で前進
65分の攻撃シーンでは、整理されたビルドアップからフィニッシュまで遂行到達。狙い通りのルートを実現して見せた。
実際のルートは以下の通り。
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局面②:ネガトラ分析
「切り替えのスピードと強度が低い」
これが本試合の浦和レッズのネガトラである。特に前半は切り替え速度と守備の強度において鹿島アントラーズとの圧倒的な「差」を見せつけられ、あらゆる局面で後手を踏む結果となった。
鹿島アントラーズはそのプレースタイルの特性上65分過ぎからプレースピードと連続性が急激に落ちるので後半70分過ぎからはネガトラで優位に立てる場面も増えてきたが、改めて「切り替えスピードの遅さ」は浦和レッズの大きな課題であると分析。
局面➂:守備分析
浦和レッズのハイプレスは2トップが制限をかけてボールをサイドに誘導し、IHがSBのところにプレッシャーを掛けに出ていくところが大きな特徴。この際に、IHとCHがフラットにスライドしてSBからのボールにプレスに行く準備を整えることも約束事の1つであると分析。
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リトリート時にはWBがディフェンスラインに吸収される5-3-1-1の配置を取りゴール前のスペースを消す。
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しかし、6分の失点シーンからも分かるように「ネガトラの切り替えスピードが遅い」ためにライン間と両CBの脇に広大なスペースを空けてしまうことが多く、鹿島アントラーズはこのライン間のスペースを活用し、得点に結びつけた。
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守備時に相手に与えてしまうこの2つのスペースは早急な改善が求められる。
局面④:ポジトラ分析
ポジトラの優先順位はサッカーの原則通りまずは「ディフェンスラインの裏」、そして「縦方向へのパス」という意識が徹底されている。実際に、開始1分20分の浦和レッズのポジトラシーンでは奪った瞬間にユンカー選手の背後へボールを供給している。
一方でネガトラ同様選手の「切り替えのスピード、推進力」が非常に低く、選手間の距離が間延びした結果サポートの距離、角度、タイミングが定まらずボールを受けた選手が孤立するシーンが多い。
さかり―にょeyes
「切り替えスピードの遅さ」
これは浦和レッズが早急に改善しなければならない大きな課題の1つである。また、3番の伊藤敦樹選手の役割はぼやけていて攻守においてチームにブレーキを掛ける存在となってしまっている点も大きな問題である。
ポジショナルプレーをする上で最大の弱点とされる「可変時のボールロスト」が非常に多く、最適なポジションに配置スされる前にボールを失ってしまう点も改善が必要であろう。
これらの改善がなされたとき、改めてロドリゲス監督が思い描くフットボールが展開されると分析する。さかりーにょの分析がJリーグ屈指のビッグクラブである浦和レッズが今一度輝きを取り戻すための一助になることを願って。