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温泉研究家物語 第十話「奥飛騨の秘湯と天空の湯」

温泉研究家物語 第十話「奥飛騨の秘湯と天空の湯」


一 山深き秘湯へ


千路座右衛門と希依の次なる目的地は岐阜県の奥飛騨温泉郷。標高が高く、北アルプスの山々に囲まれたこの地域は、自然と一体となった秘湯が点在することで知られる。特に「新穂高温泉」は、その天空の湯とも呼ばれる景観と豊かな泉質で有名だ。


「奥飛騨は江戸の時代にも険しい山道が人々を阻んでおった。だが、そこに湯があると聞けば、訪れる者は絶えなかった。」

千路座右衛門は、江戸時代の資料を手に旅立つ準備を整えた。


「山間の温泉って、景色も素晴らしいんですよ。新穂高温泉は特に露天風呂からの眺めが最高です!」

希依は地図を広げながら、旅の計画を話した。


二人は電車とバスを乗り継ぎ、徐々に標高を上げながら奥飛騨温泉郷へと向かった。車窓から見える北アルプスの雄大な景色が、旅への期待を膨らませた。


二 新穂高温泉の出迎え


新穂高温泉に到着した二人を迎えたのは、清流が流れる山間の静寂と、木々の間から立ち上る湯けむりだった。周囲は紅葉に彩られ、山々の頂には雪が残っていた。


「ここは……まるで別世界だな。」

千路座右衛門は、山間に佇む小さな温泉宿を見て感嘆の声を上げた。


新穂高温泉の特徴は、露天風呂から眺める北アルプスの絶景だ。二人は宿に荷物を置き、さっそく露天風呂へと向かった。


三 天空の湯に浸かる


露天風呂に浸かりながら見上げると、青空の中にそびえる北アルプスが目の前に広がっていた。澄んだ空気と温かな湯が、身体と心を癒してくれる。


「この湯は、ただ温かいだけではないな。山の息吹そのものを感じさせる。」

千路座右衛門は、湯の感触と景色の融合に感動していた。


「本当に素晴らしい景色ですね。温泉がこれほど自然と一体になっている場所は珍しいと思います。」

希依もまた、その眺めに言葉を失っていた。


湯はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、保温効果が高く、湯冷めしにくいと評判だ。湯船の縁には源泉が勢いよく注がれ、その音が山間の静寂をさらに引き立てていた。


四 山の湯と人々の暮らし


温泉街を散策する中で、二人は地元の人々と交流を深めた。新穂高温泉は、観光地でありながらも地域の人々の生活の一部として大切に守られている。


「湯は観光客を呼び寄せるだけでなく、地元の人々の暮らしを支えておるのだな。」

千路座右衛門は、地元の湯守から湯の管理方法や、季節ごとの温泉の変化について話を聞いた。


「標高が高いからこそ湯の温度管理が難しいんです。でも、山の恵みを活かすために頑張っています。」

湯守の言葉に、千路座右衛門も敬意を表した。


五 北アルプスの魅力を体感


新穂高温泉の近くには、北アルプスを一望できるロープウェイがある。二人は温泉でリフレッシュした後、ロープウェイに乗り込んだ。標高2,000メートルの展望台からは、360度の大パノラマが広がっていた。


「この景色は……湯から見上げるのとはまた違うな。自然の雄大さに圧倒される。」

千路座右衛門は、山々の連なりを眺めながら息を呑んだ。


希依もまた、カメラでその景色を収めながら感動を隠せなかった。


「温泉だけじゃなく、こうして自然そのものを楽しめるのも奥飛騨の魅力ですね。」


六 温泉と自然の未来


滞在の最終日、二人は地元の人々と話しながら、自然環境と温泉の共存について考えた。観光客の増加により経済は潤っている一方で、自然を守る取り組みが求められているという課題もあった。


「湯がこの地を豊かにしているが、自然があってこその湯である。人はそれを忘れてはならぬな。」

千路座右衛門は、地元の人々の努力に感謝の念を抱いた。


「自然と人が一緒に未来を作る……温泉って、そういう場所なんですね。」

希依もまた、温泉地の未来について考える時間を持つことができた。


七 次なる目的地へ


奥飛騨温泉郷での旅を終えた二人は、新たな温泉地への期待を胸に、次の目的地を話し合った。山間の秘湯で得た経験は、二人にとって特別なものとなった。


「奥飛騨の湯は、自然と一体となることでその価値が際立っておる。次はまた新たな土地で、湯の魅力を探るとしよう。」

「じゃあ次は、日本海側のもう少し北の温泉地なんてどうですか?」


次なる冒険への期待を胸に、二人は再び旅立つ準備を整えた。


第十話完

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