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温泉研究家物語 第二十四話「七つの湯巡り・城崎温泉の楽しみ」

温泉研究家物語 第二十四話「七つの湯巡り・城崎温泉の楽しみ」


一 山陰の湯へ


次なる目的地は、兵庫県の城崎温泉。日本海にほど近いこの温泉地は、江戸時代から「七つの外湯巡り」が名物として親しまれている。情緒あふれる温泉街と風情ある柳並木が広がり、湯と街が一体となって訪れる人々を魅了してきた。


「七つの湯を巡るとは、まるで湯そのものが物語を語るようだ。この地でどのような経験が待っているのか、楽しみだな。」

千路座右衛門は城崎温泉の資料を手に、湯巡りの計画を立てていた。


「城崎温泉は街全体が温泉地として作られている感じなんです。浴衣で湯巡りをするのが楽しいんですよ!」

希依は湯巡りパスを手に、早くも楽しそうな笑顔を見せた。


二人は電車で日本海側へ向かい、風情ある城崎温泉に到着した。


二 城崎温泉の風景


城崎温泉に到着した二人を迎えたのは、柳並木が並ぶ大谿川(おおたにがわ)と、温泉街に漂う独特の湯けむりだった。川沿いには伝統的な旅館や土産物店が並び、多くの観光客が浴衣姿で歩いている。


「これは……湯が街そのものを形作っておる。湯と街が一体となった情景は見事だ。」

千路座右衛門は、街の雰囲気に感嘆の声を漏らした。


「ここでは浴衣に着替えて、七つの外湯を巡るのが楽しみなんです。さっそく行ってみましょう!」

希依が湯巡りパスを手に案内を始めた。


三 七つの外湯巡りを楽しむ


二人は城崎温泉の名物である七つの外湯巡りに出発した。それぞれの湯には特徴があり、訪れるたびに新たな発見がある。


最初に訪れたのは「さとの湯」。広々とした浴場と展望露天風呂が特徴で、城崎温泉の入り口に位置する湯だ。


「この湯は、街に入る門のような役割を果たしておるのだな。湯そのものが歓迎しているようだ。」

千路座右衛門は、湯に浸かりながら感想を述べた。


次に訪れた「御所の湯」は、美しい庭園を眺めながら入ることができる湯で、湯船に浸かると自然と一体化する感覚を味わえた。


「湯に浸かりながら庭園を見るのは、なんとも贅沢な時間だ。」

彼の言葉に、希依も大きく頷いていた。


七つの湯を巡りながら、二人はそれぞれの湯の特徴や歴史を楽しみ、温泉街全体が作り出す雰囲気を満喫した。


四 温泉街と風情を楽しむ


湯巡りの合間に、二人は温泉街を散策した。大谿川沿いには、温泉饅頭や地元の日本酒を販売する店が並び、足湯も点在している。


「湯巡りをしながら街を歩くことで、湯そのものだけでなく、この地の文化や風情も楽しむことができる。」

千路座右衛門は、足湯に浸かりながら街の活気に感心していた。


「浴衣で歩くと、なんだか江戸時代にタイムスリップしたみたいな気分になりますよね!」

希依は足湯で温まった後、温泉饅頭を食べながら笑顔を見せた。


五 湯と地域の繋がり


城崎温泉の地元の人々との交流を通じて、外湯巡りが地域全体の活性化にどれほど貢献しているかを知った。また、観光客の増加により、温泉資源を守るための努力も続けられていることを学んだ。


「湯が街を作り、人々を繋げておる。湯そのものが文化と経済の中心にあることがよく分かる。」

千路座右衛門は、地元の人々の話を聞きながら語った。


「観光地として栄えながらも、自然を守る努力を続けているのが素敵ですね。」

希依もその取り組みに感銘を受けていた。


六 次なる旅への期待


七つの外湯を巡り終えた二人は、次なる目的地への期待を胸に旅立つ準備を始めた。湯と街が一体化した城崎温泉での体験は、二人に新たな視点を与えてくれた。


「城崎の湯は、街そのものが湯となっておった。次はどのような湯が我々を待っているのか……楽しみだ。」

「次は四国に戻って、徳島の祖谷温泉なんてどうですか?ケーブルカーで行く秘湯は絶景ですよ!」


新たな冒険への期待を胸に、二人は再び旅立つ準備を整えた。


第二十四話完

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