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第5話: 「保育士の壁」

第5話: 「保育士の壁」


朝の保育園、慌ただしい始まり

さくらは出勤すると、すぐにクラスの準備に追われていた。新年度が始まって数週間が経ち、子どもたちの環境への慣れと共に、保育士の忙しさも増していた。


さくら:

「今日の活動は外遊びと制作。安全確認と材料の準備も完了…よし!」


そんな中、保育士同士の間で「休憩時間が取れない」「保護者対応が増えている」といった声が聞こえてくる。


同僚の三浦:

「さくら、最近大丈夫?なんだか疲れて見えるけど。」


さくら:

「大丈夫です!忙しいけど、子どもたちが楽しそうだから頑張れます!」


そう言いながらも、心のどこかで「もう少し余裕があれば…」と思わずにはいられなかった。


午前中の活動: トラブル対応

外遊びの時間、田中優花と他の子どもたちが砂場で遊んでいた。しかし、優花が作った砂の山を他の子が壊してしまい、優花が泣き出す。


優花:

「せっかく作ったのに!」


さくら:

「優花ちゃん、せっかく作った山が壊れちゃって悲しいよね。でも、この砂を使ってもっと大きな山を一緒に作ってみない?」


優花は涙を拭いながら「大きな山?」と興味を示し、他の子どもたちも一緒に作業を始めた。トラブルは解決したが、さくらはその背後にある「子どもたちの成長を支えることの難しさ」を改めて感じる。


昼休み、さくらの迷い

昼食を終えた後、さくらは職員室で一人、資料に目を通していた。しかし、体が思うように動かず、机に突っ伏してしまう。


園長先生:

「高橋先生、大丈夫?少し休みを取ったほうがいいんじゃないかしら。」


さくら:

「ありがとうございます。でも、子どもたちが待っているので…。」


園長は優しい目でさくらを見つめる。


園長先生:

「私たち保育士が元気でないと、子どもたちも安心できないのよ。無理をしすぎないで。」


田中家での試練

その頃、田中家では仕事の多忙さから、一真と真紀の間に小さな溝が生じていた。


真紀:

「最近、優花と過ごす時間が減っている気がするの。もっと家族の時間を作れない?」


一真:

「俺だって頑張ってるんだ。仕事が落ち着けば時間を作るから…。」


真紀はその言葉に納得しつつも、家族の優先順位をどう考えるべきか、心の中で模索していた。


夕方のお迎え時、親子の変化

お迎えに来た田中夫妻に、さくらは優花が砂場で楽しんでいたことを伝える。優花も「大きな山を作ったんだよ!」と笑顔で話していた。


さくら:

「優花ちゃん、とても楽しそうでした。ご家庭でもその話を聞いてあげてくださいね。」


夫妻は少し顔を見合わせ、さくらに感謝を伝えた。


その夜、さくらの日記より

「今日は忙しさで少し余裕を失いかけたけど、優花ちゃんの笑顔を見て救われた。保育士としての壁を感じる日もあるけれど、その先にある子どもたちの成長を見届けたい。」


次回予告: 「家族の絆」


次回は、田中家が家族として改めて向き合うことを決意するエピソード。さくらの働きかけが家族にどのような影響を与えるのかが描かれます。

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