第2話: 「保護者と保育士」
第2話: 「保護者と保育士」
朝の保育園、玄関での光景
さくらは忙しそうに登園してくる親子を迎えていた。
田中優花は少し慣れてきた様子で、さくらに「おはようございます!」と明るく挨拶をする。
さくら:
「おはよう、優花ちゃん!昨日作ったブロックのおうち、まだ飾ってあるよ!」
田中真紀:
「優花が家でも『明日も行く!』って言ってたんです。本当に助かりました。」
さくら:
「そうなんですね。それを聞けて嬉しいです!」
一方で、他の保護者から「子どもが家で保育園のことを話さない」という相談が寄せられ、さくらは保護者対応の難しさを感じ始める。
保育園の昼下がり
つくし組では、子どもたちが絵の具を使って春の花を描いていた。優花は、友達と一緒に夢中で絵を描いている。
しかし、ある子どもが絵の具を服にこぼして泣き出してしまう。さくらが対応していると、別の子が「ママに怒られる」と不安げに話し出す。
さくら:
「絵の具で汚れちゃうのは、楽しんでいる証拠だよ。大丈夫、お洗濯すればきれいになるから!」
その言葉に子どもたちは安心したような表情を見せたが、さくらはふと保護者たちの厳しい視線を思い出し、不安を覚える。
夕方の出来事
お迎えの時間、田中一真が仕事の合間を縫って迎えに来た。優花は駆け寄って、「今日ね、花を描いたよ!」と得意げに話す。
一真:
「そっか、優花、すごいな!」
一方、別の保護者からはクレームが入る。
保護者A:
「うちの子、絵の具が服についたまま帰ってきました。もう少し配慮してもらえませんか?」
さくら:
「申し訳ありません、楽しんで制作活動をしていたので…。次回からは、エプロンを準備するようにします。」
笑顔で対応するさくらだったが、その場を離れるとため息をついてしまう。
園長室での対話
その日の終わり、さくらは園長に相談を持ちかけた。
さくら:
「子どもたちには自由にのびのびと活動してほしいと思っています。でも、それが保護者の要望とぶつかることもあって…。」
園長先生:
「保護者の要望に応えることも大切。でも、私たちの役割は子どもたちの可能性を広げること。双方のバランスを取るのが保育士の腕の見せどころよ。」
園長の言葉に背中を押されるさくら。自分がどう保護者や子どもたちと向き合うべきか、少しずつ考えを深めていく。
夜、田中家での光景
一真は優花の描いた絵を見ながら、真紀に話しかける。
一真:
「優花、本当に楽しそうだったよ。保育園のおかげだな。」
真紀:
「うん。でも、私たちももっと優花に寄り添わないとね。保育園に頼りきりじゃなくて。」
田中家も、親としての役割を改めて考える夜となった。
その夜、さくらの日記より
「今日は保護者のクレームに落ち込んだけど、園長先生の言葉で救われた。子どもたちのために、私ができることは何だろう?少しずつでも信頼関係を築いていきたい。」
次回予告: 「信頼の種」
保護者との信頼を深めるため、さくらが新しい工夫を始める。優花と友達の間に起こる小さなトラブルも描かれる。少しずつ広がる「つくし組」の絆が見どころです。