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映画レビュー「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

久しぶりに”らしい”映画を観た。
らしいというのはアメリカらしいスケールの大きいコメディ映画ということ。
コメディ映画というジャンルは正しくないかもしれない。
社会派ドラマともしアクション映画とも恋愛映画とも呼べる。

ラストシーンなんてまさにそれ。
いかにもという感じに好感が持てた。
正しくはロマンティックコメディに分類されると思うが、勿体ない気がしてならない。

描かれている世界は1969年。
アポロ11号打ち上げ計画を行うNASA。
その時代背景だけでも素晴らしいが、ストーリーも絶妙。

最近、実話をベースにした映画ばかり観ているせいもあるが、本作も実話に思えてしまう。
フィクションだが現実に起きた事件のようだ。
(実際は本当だったりして・・・笑)

簡単にいえば月面着陸が失敗した場合を想定し、
裏側で月面着陸のフェイク映像を撮影し流すというもの。
ネタバレになるので内容は控えるが、その展開が巧妙で面白い。
登場するのはケネディ大統領、ニクソン大統領やアームストロング船長など実在の人物。
NASAをPRするために時計のオメガをスポンサーにするあたりも見事。
観ている者は事実として受け止めるんじゃないだろうか。
僕も「半分は本当じゃないの?」という感覚で観ていた。

フェイク映像を撮影する指示はアメリカの威厳を保つため。
当時、ソ連と覇権争いをしており、アメリカが優位に立つためには、
どんな手を使っても月面着陸を成功させなければならない。

そのやりとりは現代にも通じる。
55年前も今もやっていることはさほど変わらない。
今の国際社会にも皮肉が込められていると感じた。
人を犠牲にしても自分が一番上に立ちたいという。
幸い悲劇には陥らないが、まっとうに生きる反対側にはろくでなしの偉いさんが跋扈する。
それを笑いものにしてしまえばいいけど・・・。

本作の主役はスカーレット・ヨハンソン。
「ジョジョ・ラビット」の母親役もよかったが、本作で演じるPRのプロも魅力的。
僕がクライアントだったらひとたまりもない。
すぐに大金を積んで契約をしてしまう。
揺れ動きながらも自分を見失わない姿がとてもよかった。
そして想像通りの展開も・・・。

最近のハリウッド作品はなんちゃらシリーズのとてつもないアクションが目立つが、
こんなシャレた娯楽作品もいい。
楽しませてもらいました。

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