複数人で相続した土地の分割が容易に

法務省は4月から複数人で共有する土地について過半数の同意があれば分割(分筆)できるようになります。
これまでは全員の同意が必須な運用を改めるということです。
4月1日に施行する改正民法は土地利用についてこれまでは「軽微変更」でも権利者全員の同意が必要だったものが、過半数の同意で認めると定めました。ここがミゾですが、ただこの軽微変更とは「その形状または効用の著しい変更を伴わない」ものを指し、砂利道のアスファルト舗装、建物の外壁の工事などが対象でした。よって土地の分割は現状は「軽微変更」などは該当しませんでした。
しかしながら、法務省は改正法施行にあわせて4月1日までに通達を出し、「土地の分割(分筆)」を「軽微変更」含めるよう改正することになりました。

4月以降は共有者の過半が入った申請書の提出があれば各地の法務局が分筆の登記変更を受け付けます。これにより、空き家解体後、共有で相続した土地に分割反対者がいても、賛成者が過半であれば、分筆することができるようになり、塩漬けになっていた土地を売却することも容易になります。
分筆が進まないうちに同意者が亡くなり、さらに複数の相続人が発生して所有権が複雑になる事も防げます。
全員が賛成に回らずとも売却できるようになれば、土地売却で現金を早く手にしたい人にとっては利点になる側面もあります。
この改正には、土地所有者の高齢化や相続に伴って所有者の行方がわからなくなる事案が増えていることが背景にあります。

4月施行の改正民法には所有者が不明の土地への対策も盛り込まれました。いまは所在不明の共有者が1人でもいると自分の持ち分の一部だけを売ることができないようになっていますが、改正民放では共有者の一部の所在が分からずに土地の変更などができない場合、裁判所の判断で不明者分の所有権取得ができるようになります。
取得側は土地の時価相当額を供託金として法務局に納付し、不明者が現れたら供託金を支払い、一定期間請求がなければ供託金は国庫に納めます。