全国でも10%しかない!希少な原木しいたけの農業体験。 ー 千葉のおいしいを大切に ー
今回、農業体験を開催したのは1月21日の土曜日。この日に、やると決めたのは1ヶ月も前のことでした。農家さんの日頃の取り組みや、作物の育て方など話を聞いていったり、食べてみたりすると『この美味しさを伝えたいんだよなぁ。』と思うんだけれど、なかなか味覚というものを言葉だけで刺激するというのは、難しいことだと感じてしまいます。なので、ついついこの言葉を口にしてしまう。
「食べれば、わかってもらえるんですよね。」
この「食べれば、わかる。」というのは、食べてもらわないとわからないという裏返しでもある。さらに言えば、この言葉を使ってしまうと、食べてさほど驚きがなかった時には、残念感に変わってしまうから安易に使ってしまうと、印象が悪くなってしまうこともあります。とはいえ、今回の原木しいたけの農業体験を計画するにあたり、生産者の根本さんから話を伺った際でてきた言葉が、まさに「食べれば、わかる。」だった。
今の日本のスーパーとかで手に入る椎茸は、いわゆる菌床栽培という方法で育てられた椎茸が一般的。菌床椎茸のことを知りたい方は、下記サイトを参考にしてみてください。
その「菌床栽培の椎茸」と「原木で育った椎茸」の違いを素人の舌で感じ取れるのだろうか。そんな事が頭をよぎったりもしたが、生産者の根本さんは絶対的な自信を見せていた。
「1月の寒い時期に、原木でじっくり時間をかけて育った本来の椎茸は、本当に味が違うんだよ。」と。
そして当日、根本さんのはからいもあり、多くの原木しいたけを使った料理を参加したお客様をはじめ、スタッフにも振る舞っていただけました。その時そこに参加したお客様も含めたメンバーが感じたのは、
「これは、違う!美味しい。」
という事だった。料理をしていく段階で、熱を加えたり調味料で味を加えたりしてしまうと、似たり寄ったりの味になっても不思議ではないと思っていたが、根本さんの育てる原木しいたけは、存在感がズバ抜けていました。
根本さんが、絶対的な自信を見せた通り「食べれば、わかる。」というのを体感することができた、今回の原木しいたけの農業体験。それは根本さんが、あえてそうなるように、時間をかけ育ててくれたからこそ、体験することができたものだとも思っています。
今回はその農業体験も含め、いまや日本でも全体の生産量の10%程度しか出荷されていないという、原木しいたけの魅力をお伝えできればと思います。
とりあえず晴れて良かった!
農業体験を企画するにあたり、いつも気にしているのがやはり天気です。はっきり言えば昨年の8月からの企画、ほぼ雨によって中止になってしまっていたからです。当日の天気がこちら。
ただ私は、別のことをやらかしてお客様に迷惑をおかけしてしまっていたので、反省せざるを得ない。何をやらかしてしまったかというと、送付した書面で実施場所の住所を間違ってお伝えしてしまっていたのです。
天気が良くても、どこか抜けている。
私の悪いクセみたいなものが、出てしまったのは反省しなくてはいけないところでもありました。
この日はスタッフの集合場所の店舗から、根本さんのお家までの道も混んでおらず、大変スムーズで早めに到着してしまった。晴れているとはいえ、寒波の影響もあり最高気温9℃予報。朝の9時では、まだまだ寒さ残る中だったが、根本さんはみんなを受け入れる準備を進めてくれていました。バーベキュー用のコンロで、火を焚いてくれて待っていました。寒い日のこの焚き火の火というものは、なぜだかホッとする気分にもなるので有り難かったです。
そして用意してくれていたのは火とかだけではなく、普段口にしないイノシシの肉だったり、椎茸を使った料理、さらには献上米でもある音信米(おとずれまい)のおむすびなど、原木しいたけに限らず魅力的な食材の数々に、すでに心が踊り興奮気味になってしまっていました。
収穫後のご飯を楽しみにしながら、しいたけの農業体験をする場所の確認や、プログラムの確認、時間配分などをスタッフと確認した後、焦るようにお客様をお迎えしにいきました。住所を間違えてしまったからです。
案の定ちょっと迷わせてしまったのは、私の至らないところでした。
農業体験のはじまり。
この日の農業体験スタート時間は、10時でしたがまだまだ「寒いなぁ」という印象が拭えませんでした。とにもかくにも無事お子さまも含め、収穫体験を農業体験9名+運営5名という人数で、はじめることができました。
今回、原木しいたけの農業体験を受け入れてくれた根本さんと知り合ったのは、約20年ほど前にもなる。20年にもなるのに、根本さんが農業をはじめるきっかけになったことや、改めて話を伺うと知らないことの方が多かった。
元々、椎茸は高級品でもあったそうですが、いつの間にか中国産の菌床栽培のものが輸入されるようになり、価格が下落しはじめてしまったんだそう。そこから原木しいたけで育てる事を諦めてしまう農家さんも多くなり、原木しいたけが貴重な存在にもなっていったんだそうです。
農家として生きていく大変さなども伺いながら、早速しいたけの収穫体験へとうつっていきました。根本さんも説明の冒頭でおっしゃってくださいましたが、原木しいたけの一番美味しい時期は1月。寒い季節にじっくり時間をかけて育った椎茸が、間違いなく美味しいとのこと。
さらに言えば、今回のスケジュールに合わせて根本さんは通常ハウス内の温度を暖房をつけて、生育を早めることもするそうですが、なんと自然の状態で育つのを待っていただいたとのこと。
根本さんも自信を持って「今回の椎茸は、本当に一番状態がいい時です。』と、何度も説明してくれました。
その椎茸が、こちら。
写真では、なかなか伝わりづらいところもありますが、大きいものは手のひらサイズのものもあったりと、とっても魅力的でした。
見た目では、伝わらない味や食感の違いを、この時はまだ誰も知るよしはありませんでした。
お子さまも楽しめる収穫体験。
原木に育つ椎茸は、取るのが簡単そうでしっかりと根付いていたりして、採り方を間違えると、しいたけの軸の部分がグニャって潰れてしまったりしてしまいます。
ただコツを掴めば、お子さまでも簡単に収穫を楽しむことができていました。こんな感じで。
ちょっと遠慮がちにとっていたこともありますが、根本さんが「もっとガツガツ収穫しちゃっていいですよ。みんな上品だなぁ笑。」という、途中での合図をきっかけに、みんなのスイッチも入り、そこからはカゴいっぱいになるまで、黙々と収穫していました。
時には手のひらサイズにもなる椎茸に、四苦八苦しながらも皆いつの間にか夢中になっていました。気づけば30分から40分くらいでしょうか。時間もあっという間に過ぎていました。
ある程度、収穫した後に原木しいたけの元ともなる原木を、どのように育てているのか。どのように確保しているのか。原木を知り尽くす、根本さんならではのクヌギ林を前に、その育て方などもレクチャーしていただきました。
夏は生い茂ることで日陰になり、冬は冬で落ち葉が土に良い影響を及ぼしてくれる環境を、独自で作り出したそうです。こんなお話も20年ほどのお付き合いにも関わらず、はじめて知りました。私自身、知っているようで知らないことなど多くあるのだと実感。
そう感じるとともに、この椎茸栽培の奥深さをもっと多くの方にお伝えしていかなければいけないな。と思いました。
食べたらわかる、本当の味。
冒頭でも少し触れましたが、根本さんがこの日のために、椎茸を使った料理を準備してくれていました。どれも美味しかったのですが、その中でも絶品だったのが、椎茸のお味噌汁。それがこちら!
食べた時の顔が全てを物語っています。この時期にしては珍しく、なめこも収穫できたそうで、収穫したばかりのしいたけと一緒に、なめこと原木しいたけのお味噌汁を楽しむことができました。
根本さんが「今日は、最高の椎茸です!」というだけあって、食べたお客様もこの満面の笑み。スタッフでさえ、おかわりを欲するくらい人気となっていました。
私は11月の打ち合わせの時にも、事前準備で収穫体験を実施しており、そのタイミングの椎茸も口にしていたので、その違いにも気づくことができました。
同じ生産者が作る椎茸でも、育つ時期や育て方を変えるだけで、食感がまるで変わってきて、存在感がまったく違うものとなりました。
さらには、朝方にバーベキューコンロで焚き火をしていた上に鉄板を置き、ジビエ料理に加え、焼いただけの椎茸に醤油を垂らして、食べさせてくれました。
この食べ方もまた絶品で、しいたけの風味もそうですが、食感をもろに感じることができ、また醤油との相性も抜群。きっとこの椎茸に出会った人は、同じ食べ方をおうちでもやっちゃうんだろうなぁ。と想像しながら、モグモグ口いっぱいに、ほおばっていました。
収穫から、原木しいたけの育ち方、育て方のレクチャー。さらには、収穫したての椎茸をその場でいただくフルコースに、参加いただいたお客様も喜んでいただけたのが、本当によかったです。
根本さんのはからいもあり、今回は収穫した原木しいたけのほとんどをお土産としてご用意してくださいました。いっぱい収穫できて、お子さまも笑顔を見せてくれて、こちらも嬉しい気持ちになりました。
最後に今回根本さん含め、参加いただいた店舗スタッフをはじめ、お味噌汁やおにぎり、ジビエ料理の準備に徹してくれたスタッフみんなで写真撮影。
今回の企画を8月の稲刈りの時からご相談し、快諾してくれた根本さんには本当に感謝の言葉しかありません。さらには「食べれば、わかる。」に、出会わせてくれた、そのプロフェッショナルな姿勢には、とても学ぶ部分もありました。
生産者、お客様、そして店舗スタッフが喜んで楽しめる、そんな農業体験を開催し続けて行ければいいなぁ。と改めて感じました。まだまだグダグダなところもありますが、しっかりと修正してより良い農業体験にできるようにしていきます。
ひとまず、1月は原木しいたけの農業体験を定番にしていきたいと思います。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。