遊ぶとは何か
私たちゲーム開発者にとって、遊びとはなにかというのは永遠のテーマのひとつです。
この遊びとはなにかについては、1958年のロジェ・カイヨワ著書『遊びと人間』がよく参考にされます。(ゲーム開発に関する書籍にもよく登場します)
今回は、この「遊びと人間」に登場する「遊び」の4つの分類について簡単に紹介したいと思います。
※ちなみに、厳密にはこの4つの分類をそれぞれをパイディア(秩序や様式がない遊び)とルドゥス(ルールが明確で一定の技能の習得が必要な競技)という基準でさらに2分割して合計8分割にされるのですが、今回はここまでは分けないことにします。
アゴン(競争)
ラテン語の競技が語源で競争的要素のある遊びを指します。
かけっこや腕相撲などの遊びが含まれます。またスポーツ全般もこのアゴン(競争)に含まれます。
個人の技能によって勝敗が決まるのが特徴です。
アレア(運)
ラテン語のサイコロが語源で運の要素がある遊びを指します。
じゃんけんやビンゴゲームがここに含まれます。ギャンブル全般、ガチャシステムなどもここに含まれます。
運に勝敗が左右されるというのが特徴です。
ミミクリ(模擬)
ラテン語の「模倣」、「ものまね」が語源で何かを演じる遊びを指します。
おままごとや秘密基地ごっこなどがここに含まれます。落語や演劇、コントなどもこのミミクリ(模擬)に含まれます。
イリンクス(眩暈)
ギリシャ語の「渦巻き」が語源で眩暈を含む遊びを指します。
ブランコやジェットコースターなどが含まれます。
ミミクリ(模擬)とイリンクス(眩暈)には勝敗の概念がないのも特徴です。
それぞれイメージできたでしょうか?
上記で例に挙げている遊びはそれぞれの特徴のみを持つ、もしくはそれぞれの特徴が顕著な例を挙げました。しかし、ゲームを含む多くの遊びはこれらの4つの要素を複合的に持つことが多いです。
例えば、すごろくならサイコロを使うのでアレア(運)の要素が強いですが、ミミクリ(模擬)の要素もあります。
すごろくをベースにした人生ゲームなどはゲームの中の人物の人生を模倣しているという点で、すごろくよりもさらにこのミミクリ(模擬)の要素が強く、さらにアゴン(競争)の要素も少し入ってきます。
ドラゴンクエストで考えるとまず勇者になって冒険するというミミクリ(模擬)的要素が思い浮かびますね。戦闘中の会心の一撃は確立なのでアレア(運)の要素、強い敵に負けそうになっている瞬間はイリンクス(眩暈)的要素です。
さて、それぞれのゲームや遊びにおいて、この4つの要素がそのゲームや遊びにおける最適のバランスになっていることが重要です。
例えば、プレイヤーはアゴン(競争)的要素のゲームだと思ってプレイしていたら、思いの外アレア(運)に左右されたとなると運ゲーという印象を与えてしまいます。
私の場合、α版を試遊するタイミングでは、答え合わせとしてこの4つの視点+以前の記事(下記のURL)で書いたリスクとリターンの視点で評価を行います。
知っておくと役に立つ?面白いゲームの共通点
https://note.com/yamashun/n/nd1c40d78fea9
それまで論理のみで組み立てていたものが、実際に動くようになって初めて、面白くない部分、クオリティーが足りない部分、というものが見えてきます。これは人間の脳内での再生には限界があるので、出来上がったものを触るとほぼ必ず出てきます。
このときに、「なんとなく面白くないね。」で終わってしまうと、進めようがなくなってしまいますが、この要素で答え合わせが出来ると何が原因でそう感じるのかが整理することができ、次のアクションが決めやすくなります。
ゲーム開発のスケジュールを組む際も、このクオリティーアップの期間が織り込まれているのが理想的です。
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