仕事で遊び、遊びで学び、学びを仕事に活かす
この文章は、パーソルホールディングスがnoteで開催する「 #私らしいはたらき方」コンテストの参考作品として主催者の依頼により書いたものです。パーソルさんの掲げる「はたらいて、笑おう。」はとても素敵なコピーだと共感してます。
Hard Work と Direction of Curiosity
「#私らしいはたらき方」というテーマを聞いたときに、真っ先に浮かんだのは、私はずっとハードワーカーだなw、ということでした。もはやハードワークという言葉が死語なのかも知れないですが、昔から友達や同僚に「本当に仕事好きだよね」と言われ続けています(苦笑)今は体力的に徹夜はできないし、全くそんなはたらき方ではないですが、20代の頃は徹夜もしたし、オフィスで寝たこともあります(今思えばすごい時代でしたねw)。でも、当事者としてはたらく事をつらいとか嫌だと思っているわけではありません。
むしろ好きだし楽しいと思っています。今回のテーマを機に「なぜだろうか?」という事を考えてみたいと思います。
私のキャリアは周りから面白いキャリアだと興味を持ってもらうことが多いです。
新卒でコンサルファームに入って、個人としてはプレーヤーからマネジメント、会社としてはベンチャーから東証一部まで上場を経験させてもらい、その後全く門外漢のチョコレート業界に飛び込んで起業しました。
今でも思い出すのは、辞めるときに前職の社長に「チョコレートで起業します」と伝えたら、真顔で「病院にいけ」と心配された事(笑)。そのくらい私からチョコレートという言葉や業界への違和感があったのだと思います。
2014年に前職を辞めて、全く未経験から異業種でMinimal - Bean to Bar Chocolate -(ミニマル)というチョコレートブランドを立ち上げて、7年間が経とうとしています。
周りから見ると大胆に見える私のキャリアですが、戦略的に考えて決めた!と言うことは残念ながら無く、がむしゃらに目の前の仕事をやっていたら、その時その時で次の道が見えてきて、結果として今にたどり着いたという表現がしっくりきます。
振り返ってみると、一貫して私のはたらき方の根底にあるのは、「好奇心」だと思います。大事だと思ったのは「Direction of Curiosity(好奇心の方向)」をきちんと知っておくと言うことです。
私らしいはたらき方とは何かと考えてみる上で気づいたのは、自分の興味関心がどこに向いているか、好奇心の琴線が何触れるかを知る事がとても大事だったと言うことでした。
ただ自戒も込めて、やはり大人になるに従い、やるよりも、やらない言い訳をつくる機会が増えたと思います。そんなときにもう一人のリトル山下が、こう呟く様にしています。
「少しでも興味があったり、好きだなと思ったらとりあえず手を出してみろ!やってみて嫌ならやめればいいんだ!」と。
よく言うと、楽観的なのかもしれないし、適当とも言えるかもしれませんが。
そんな「好奇心の赴くままに」、素直に生きてきた結果が私の場合は人生の現在地なんだと思います。
♯私らしいはたらき方を20代から30代の仕事の変遷を見ながら少し振り返ってみたいと思います。
仕事の報酬は仕事
学生時代にやりたいことがあったかというと、残念ながら特にありませんでした。あの頃の私に、「30代になったら、起業してチョコレートの会社をやっている」といったら、嘘だといって鼻で笑われそうです。
20代の頃は何がやりたいと言うこともなく、ただ目の前の仕事にがむしゃらに、遮二無二にはたらいていました。ではそれがなぜ出来たというと、今思えばその当時の私は「何をやるか」という事よりも、「誰とやるか」を重要視していたからだと気づきました。ありがたいことにとても気持ちの良い上司・同僚、そしてお客様に恵まれていたと思います。
仕事は忙しく、成果はなかなか出ませんでしたが、困難な仕事も諦めることなく走り続けることができたのは間違いなく当時の仲間のおかげだと思います。とんでもなく高い目標予算がありがたいことに毎期毎期更新され(笑)、良い意味で仲間のみんなと達成に向けて、高校の文化祭前夜のような毎日が続いていたのだと思います。
その中で気づいたことがあります。
それは、「仕事の報酬というのは、本当の意味ではその仕事でのパフォーマンスによる私自身への周りから信頼であり、その信頼が結果としてもっと面白くて責任のある仕事の機会を提供してくれる」と言うことです。
仕事の報酬は仕事であるというと、ヤバいワーカホリックにように聞こえますが(笑)、中身は至ってシンプルで一生懸命仕事をすると、信頼されてもっと大きな仕事や成長機会、他の人が出来ない仕事ができる。その結果として私は26歳という若さでマネジメントを任せてもらったり、ナショナルクライアントの大きな案件も任せてもらったりと、思い出しても楽しくエキサイティングな仕事を経験できました。
いろんな仕事の中で、いろんな人に出会うことでき、毎日が刺激的だった経験で、面白い仕事とつまらない仕事があるわけではなく、自分がいかにその仕事を真剣にやれるかの程度の問題なんだと思うようになりました。
そして、その中でもより面白いと思う仕事を通して、自分の好奇心の琴線に触れる事が何なのかを知れたことが私のはたらき方に大きな影響を与えました。
好奇心の矛先は、未来の変化
誰とやるかで目の前の仕事をがむしゃらにやっていた私のはたらき方を転機は30歳の時です。
29歳の時に前職を退職して、30歳でチョコレートの世界に飛び込みました。
自分の好奇心の矛先が漠然とわかってきたのが30歳でした。
私の好奇心は、“未来の変化に向いている”と気づいたのです。
唐突ですが、少子高齢化の日本は何もしないとGDPが下がっていきます。
内需だけに頼っているとグローバル化していく社会の中で取り残されます。この国が50年、100年もずっと豊かであるためには、量ではなく質で、日本が外貨をとれる手段が必要です。
20代にコンサルとして色々な企業に関わらせてもらえたことで、産業を横断して少しだけ俯瞰して日本という国を眺める機会に恵まれ、未来にポジティブな変化を与えるには、日本の良さを活かしながら外貨が取れる日本発のブランドを自らやってみるのは面白いんじゃ無いかと考えたのです。
そして、30歳の時にたどり着いたのが、新しいクラフトチョコレートブランドのMinimalの創業でした。
経営しているMinimalがつくっているチョコレートは原材料であるカカオ豆とお砂糖だけでできています。豆からチョコレートを全て自社工房で製造する新しいスタイルです。
西洋初のチョコレートは多く原料を“足し算”していくスタイルで栄えてきました。そこを和食の発想で捉え直し、原材料のカカオ豆以外を“引き算”して、土地ごとのテロワールからくるカカオの風味を表現した引き算のチョコレートのスタイルを確立したら面白いんじゃないかと考えたんです。
※詳しくはぜひAboutから
チョコレートは日本国内市場だけでなく、最初からグローバル市場があります。そこに日本人の発想でチョコレートを捉え直し、カカオ豆の風味を表現した引き算のチョコレートとして勝負できれば、外貨が獲得できるし、日本のブランディングにもなるし、ポジティブな未来にも繋がるということで、私の好奇心がMAXにくすぐりました。
未来の変化に目を向けて、そこに働きかける事が#私らしいはたらき方の要素の一つ目です。
変化が起こっている現場が好き
チョコレートを始めた私の好奇心を最もくすぐったのは、チョコレートの原材料であるカカオの生産現場でした。
カカオは北緯南緯20度以内の赤道直下の国々に生育します。簡単にいうと熱帯のジャングルの中です。
コロナの前は年間の約4ヶ月程度はこのジャングルの中に良質なカカオ豆を買付に直接足を運んでいました。
会社の代表が4ヶ月も電波の届かないジャングルにいるというのははたらき方として破天荒です。
なぜ私は自らジャングルにいくのか?というと、そこが、チョコレート業界の新しい胎動があり、未来の変化が起こっている現場だからです。
チョコレート業界は今でも植民地貿易の構造が残っており、消費国=先進国、生産国=途上国で、生産国の農家は生活水準は低く、貧困である事が多いです。
もし、ワインやスペシャルティコーヒーのように、土地ごとテロワールや農家にフィーチャーした、私達の新しいチョコレートのスタイルが文化として浸透すると、農家の貧困の解決と消費者の新しい楽しみ方を同時に実現できます。
そのためには、カカオ豆も生産現場であるカカオ農家と協働して個性的なカカオ豆を作らないといけません。
50年100年後に新しいチョコレートの消費文化になるかもしれない胎動がジャングルの中の農家の現場にはあるのです。
そんな変化の先端が私が最も好奇心をくすぐられるのです。
変化が起こっている先端である現場が好きで、そこに自ら足を運ぶのが#私らしいはたらき方の要素の二つ目です。
趣味と仕事の境界線を曖昧にする
私の趣味は、食べることや飲むことと、あとは小さい頃から建物が好きです。
実は、チョコレート事業を始めてから、市場調査もかねて、レストラン、カフェ、パティスリー、商業施設など話題になったり、新しくできたお店や建物に、休日も平日も仕事もプライベートも毎日たくさん行きます。
それは結果として、趣味と実益を兼ねることになります。
初めて行ったお店の内観外観を見ることやメニューを見ること、席数の配置、そして実食は趣味と言えば趣味であり、そのインプットがすべて本業に活きるので仕事と言えば仕事です。
自分の好奇心のある事を仕事にしていると、ある意味で趣味と仕事の、プライベートと仕事の境界線が曖昧になるのです。
例えば海外旅行に行っても現地で人気のレストランやお店に行くことは世の中流れのリサーチとも言えるし、純粋に新しい場所を楽しんでいる遊びとも言えます。
流行を知ることは、トレンドのリサーチや消費者のインプットとも言えるし、単純に消費者として楽しんでいるとも言えます。
ブランドであり、小売であり、メーカーであり、商社である、という今の仕事の特性もあり、世の中の全ての体験が仕事につながっています。
多くの人から「忙しそうだね」と言われる事がありますが、内心では「忙しい…かな?そんなに忙しくないんだけどな」と周りと自分のギャップを感じる事が多々あります。
それはどこまでが仕事で、どこまでが趣味かが曖昧だからだと気づきました。遊んでいると言えば遊んでいるし、仕事しているといえば仕事している。
趣味と仕事の境界線が曖昧なことが#私らしいはたらき方の要素の3つ目です。
仕事で遊び、遊びで学び、学びを仕事に活かす
「#私らしいはたらき方」を考えてきましたが、それは、好奇心の赴くままに未来の変化に目を向けて、変化が起こっている先端の現場に赴き、遊ぶように仕事して、仕事から学び、学びを仕事に活かすということになるでしょうか。
書いていてきづいたのは、私の場合は、仕事とプライベートの境目が曖昧で、はたらくこと自体には、あまりネガティブもポジティブもなく、仕事の中で好奇心が触れる事に熱中している(一生懸命仕事していると時間が経つ)という、文字にすると小学生のような状態でした。
良いか悪いかはわかりませんが、はたらいている事が人生そのものに近い感覚で、遊びも学びもその中から得ていると感じた次第です。
とはいえ、仕事は楽しいことばかりではなく、現実はつらいことやしんどいことばかりですが、自分の仕事が未来のポジティブな変化に繋がる事を信じて、好奇心の赴くままに遊ぶように仕事していくという#私らしいはたらき方をこの先も続けていきたいと思います。
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